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■ドリンク剤の成分の「タウリン」、難病の治療薬に 川崎医大が効果を解明 [健康ダイジェスト]

 栄養ドリンク剤の成分としておなじみのタウリンが、難病「ミトコンドリア病」の治療薬として初めて承認されました。効果を突き止めた研究の中心となったのは、川崎医科大(岡山県倉敷市)の研究チームでした。研究開始から約20年かけて、ようやく難病患者への福音にたどり着きました。
 ミトコンドリア病は、細胞の中でエネルギーを作り出すミトコンドリアの働きが低下することで起きます。いろいろなタイプがあり、その中では、けいれんや意識障害といった脳卒中に似た発作を何度も起こす「MELAS(メラス)」という型が最も多くみられます。患者の脳は発作の度に傷付いていき、発作が起き始めてからの余命は平均16・9年とされています。
 2000年に太田成男・現順天堂大大学院客員教授らが、MELAS患者の遺伝子異常と、アミノ酸の一種であるタウリンのかかわりを報告しました。川崎医科大神経内科学の砂田芳秀教授らはこの報告に注目し、2002年から臨床研究を開始。2012年に厚生労働省の研究事業に採択され、翌2013年から医師主導の臨床試験(治験)を始めました。
 砂田教授らは患者数の把握から始め、全国調査で約300人の患者がいることを確認しました。ここから治験対象者を絞り込むのが大変だったといいます。
 結果を科学的に検証するには、患者の条件をできるだけそろえる必要があります。約300人から遺伝子異常のタイプや発作の回数、本人の希望などでふるいにかけました。途中で病状が変わってしまい、残念ながら検証から外した候補患者もいたといいます。
 最終的に全国10医療施設の10人の協力を得て、1年間にわたり粉末状の「タウリン製剤」(製造・大正製薬)を1日9~12グラム飲んでもらいました。
 すると服用中の1年間、一度も発作がなかった6人を含め、計8人で服用前と比べ1年間の発作回数が半分以下になり、重い副作用はなかったといいます。タウリンを補ったことで、病気のため障害を受けていたミトコンドリアによるタンパク質の合成機能が改善したとみられます。
 砂田教授は、「発作以外の症状への効果や、効く人と効かない人の違いはどこにあるのかなどまだ不明な点は多い。ですが、薬で発作を減らせば患者さんの寿命が延び、生活の質も大幅に改善するでしょう。新薬開発には多額の研究費がかかる。タウリンという安価な既存薬が持つ新たな効果を見いだせたことは、医療経済的にも意義があると思います」と話しています。
 タウリンはイカやタコなどに豊富に含まれる物質で、人間の体内にも体重の0・1%、例えば体重60キロの人なら60グラムあります。生命活動に重要なさまざまな働きをしており、大正製薬の医薬品「タウリン製剤」としては、肝臓や心臓の機能改善薬として1987年から使われています。大正製薬が1962年から販売する栄養ドリンク剤「リポビタンD」にも、タウリンが1000mg配合されています。

 2019年3月2日(土)

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