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☐用語 アンジェルマン症候群 [用語(あ行)]



[バー]主に神経系に関係した症状を示す遺伝子疾患
 アンジェルマン症候群とは、主に神経系に関係した症状を示す遺伝子疾患の一つ。1965年に、イギリスの医師ハリー・アンジェルマン博士が初めて報告しました。
 重度の発達遅延、精神遅滞、発語障害、てんかん、失調歩行など知覚、運動をつかさどる神経系に関係した症状を示すほか、頻繁に声を立てて笑ったり、ほほ笑んだりし、とても幸せそうな様子を示すことも特徴の一つに挙げることができます。
 アンジェルマン症候群は、小児慢性特定疾患ならびに難病指定を受けています。日本における発症率は1万5000人に1人であり、500〜3000人ほどの患者がいることが報告されています。てんかんのコントロールを行うことが、長期的な予後を決定する上で重要になります。
 アンジェルマン症候群の原因は、UBE3Aと呼ばれる遺伝子異常であると報告されています。
 人間の体は、父親と母親からもらった遺伝子情報に基づいて作られます。遺伝子情報は、染色体という生体物質が担っています。一般の細胞の核には、1番から22番までの一対の常染色体が44本、それにXまたはYの性染色体の2本が加わって、合計46本の染色体がセットになって存在します。半数の23本ずつを父親と母親から継承しています。
 合計46本の染色体のうち、15番目の常染色体に位置するUBE3A遺伝子についても、両親から受け継いだ一対の遺伝子が存在するのですが、脳の一部においては母親由来のUBE3A遺伝子のみが働くように制限されています。このことを「インプリンティング」と呼び、正常な脳の活動でみられる現象です。
 しかし、何かしらの原因を切っ掛けとして、母親由来のUBE3A遺伝子が働きを失ってしまうと、アンジェルマン症候群が発症します。70%ほどの発症者においては、母親由来のUBE3A遺伝子が「欠失」と呼ばれる形で失われています。10%ほどの発症者においては、母親由来のUBE3A遺伝子に「変異」が生じており、UBE3A遺伝子が正常な機能を果たすことができなくなっています。
 さらに一部の発症者においては、UBE3A遺伝子が父親のみから遺伝を受けており、その結果、正常な細胞活動に必要な母親由来のUBE3A遺伝子が全く失われています。この現象のことを、「片親性ダイソミー」と呼びます。
 残りは、インプリンティングを調節する別の遺伝子に変異がある場合や、ほかの常染色体の一部分が15番目の常染色に間違ってくっ付いている染色体転座などが含まれます。UBE3A遺伝子の欠失と片親性ダイソミーに関連したアンジェルマン症候群では、遺伝性はありません。一方、インプリンティングやUBE3A遺伝子の変異に関連したアンジェルマン症候群は、遺伝性があると考えられています。
 アンジェルマン症候群では、髪の毛の色が薄くなったり、肌が白くなったりする症状をみることもあります。これらの特徴は、UBE3A遺伝子と同様に15番目の常染色体に位置するOCA2遺伝子の異常と関連していると考えられています。UBE3A遺伝子が欠失を起こすと、近傍に位置するCA2遺伝子も同時に障害を受けることになります。
 アンジェルマン症候群の特徴は、知覚、運動をつかさどる神経系に関連した症状を示すことで、重度の発達の遅れ、自分からの発語がないなどが特徴です。また、体のバランス機能にも障害が生じており、手足の震えや失調性歩行もみられます。失調性歩行では、上手に直立歩行ができずに、手でバランスを取りながら歩行します。
 頭が小さい小頭症、下顎(したあご)がとがり、口が大きい特徴的な顔貌(がんぼう)を有し、うれしい時に手を羽ばたかせたり、特に誘因もなく頻繁に声を立てて笑ったり、ほほ笑んだり、幸せそうな様子を示す行動異常もみられます。
 興奮のしやすさや多動傾向、集中力の短さもあります。水に魅了されることもよくみる症状です。睡眠時間も短く、長時間睡眠を取ることが難しくなります。3歳ごろになると、てんかんによるけいれん発作をみるようになることも多くなります。けいれん発作は難知性であることもあり、生涯続きます。
 発育遅滞を初めて認めるのは生後6カ月ころですが、アンジェルマン症候群に特有の症状は1歳をすぎるまで顕在化せず、正確な診断に至るまでに数年を要することもあります。
[バー]アンジェルマン症候群の検査と診断と治療
 小児科の医師による診断は、症状の診察と遺伝子診断を組み合わせて行います。多くの場合は、UBE3A遺伝子が「欠失」していることから、アンジェルマン症候群が発症していると確定できます。欠失はFISH法と呼ばれる方法で検出することが可能です。「片親性ダイソミー」関連のアンジェルマン症候群については、メチル化テストと呼ばれる方法で検出することが可能です。
 UBE3A遺伝子の「変異」については、こうした検査で検出することはできず、症状の特徴から判断することになります。てんかんのけいれん発作の診断やコントロールに際しては、脳波検査を行います。
 小児科の医師による治療は、根本的な治療法がないため、さまざまな症状に対する対症療法を行います。てんかんのけいれん発作に対しては、一般的に使用可能な抗てんかん薬を適宜使用してコントロールを図ります。
 睡眠障害に対しては、睡眠薬、鎮静薬を使用することもあります。自分からの発語がないことに対しては、言語理解は良好であるため、非言語的なコミュニケーション手段に重点を置いた言語療法を行います。興奮のしやすさや多動傾向に対しては、時に精神刺激薬を使用することもあります。失調性歩行に対しては、理学療法、装具が役に立つことがああります。
 以上のような対応をしつつ、学校生活から社会生活を送る上で対応できるような、包括的な治療体制を敷くことが重要になります。
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