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■2007年以降、介護ベッド事故が79件発生 このうち43人が死亡 [健康ダイジェスト]

 介護用ベッドの利用者が手すりに首や手足を挟まれる重大事故が、全国で後を絶ちません。消費者庁への報告が義務付けられた2007年以降、79件が発生し、このうち43人が死亡しました。大半が介護施設などでの事故とみられ、安全対策を強化したベッドへの入れ替えが進まないことが背景にあります。
 死亡事故の中で多いのが、手すりと手すりの透き間や、手すりと頭部のボードとの間に首が挟まれるケース。36件発生した重傷事故では、手すりの透き間に腕や足などを挟まれ、骨折した高齢者が多くなっています。
 「入所者が手すりに片手を突っ込んだ状態でリクライニングを動かしてしまい、強い力で挟まれたことがあった」と、東北地方の特別養護老人ホームで働く男性職員はそう打ち明けています。自分の体を支えられず倒れ込む恐れのある人や、危険な状態から自力で抜け出せないと思われる人、認知症で予測できない行動をとる人などは、特に注意が必要となります。
 2007年施行の改正消費生活用製品安全法では、生活関連製品による重大事故や火災が発生した場合、メーカーなどに国への報告が義務付けられました。以後、介護用ベッドに関する重大事故は毎年数件~十数件が報告され、消費者庁は、大半が認知症の高齢者とみています。
 2007、2008年度に計27件の重大事故が報告されたことから、経済産業省は2009年3月、介護用ベッドに関する日本工業規格(JIS)を改正。頭や手足が挟まらないよう、手すりの透き間を狭くするなどの安全対策が強化されました。
 重大事故が後を絶たないのは、規格改正前のベッドが依然利用されているためです。介護用ベッドメーカーの業界団体「医療・介護ベッド安全普及協議会」などによると、介護用ベッドは高いもので50万円を超え、大量に入れ替えた場合の負担は大きくなります。
 消費者庁の担当者は、「十分な見守りができない場合は、できるだけ規格改正後のベッドを利用してほしい」と呼び掛けています。
 規格改正後の介護用ベッドへの入れ替えが難しい場合、手すりの透き間をふさぐことが事故防止に有効とされています。各メーカーが配布する専用の補助器具やカバーのほか、クッションや毛布などで透き間をふさぐだけでも効果があります。介護用ベッドの周囲を整理・整頓し、利用者が身を乗り出さなくてすむ環境にしておくことも有効です。
 向殿(むかいどの)政男・明治大名誉教授(安全学)は、「介護用ベッドの重大事故は、あまり知られておらず、国はもっと注意喚起する必要がある。事故がなくならなければ、規格改正前のベッドの使用を禁止する措置も検討すべきだ」と指摘しています。

 2019年3月6日(水)

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