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☐用語 悪性褐色細胞腫 [用語(あ行)]

[バー]主に副腎髄質に発生したがんが他の臓器に転移した疾患
 悪性褐色細胞腫(しゅ)とは、副腎(ふくじん)髄質の細胞などから発生するまれな腫瘍(しゅよう)である褐色細胞腫のうち、悪性のもの。すべての褐色細胞腫のうち、悪性褐色細胞腫は1割と見なされています。
 褐色細胞腫は、副腎髄質の細胞にできた腫瘍によって、自律神経に働くドーパミンやアドレナリン (エピネフリン) 、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)などのカテコールアミンが大量に分泌されて、高血圧を起こす疾患。若い人が、ひどい高血圧を起こすのは、この褐色細胞腫が原因のことがあります。
 腫瘍は主として副腎髄質の細胞から発生しますが、時には、ほかの交感神経系のクロム親和性細胞からも発生します。脊髄(せきずい)に沿ったクロム親和性細胞は、重クロム酸カリウムを含む液で固定すると、褐色に染まる細胞をいいます。
 褐色細胞腫の大部分の9割は良性で、1割が悪性で悪性褐色細胞腫に相当します。良性の褐色細胞腫と、がんである悪性褐色細胞腫の判断は非常に難しく、摘出した腫瘍を顕微鏡で詳しく検査してもわからないため、骨、肺、肝臓などへの転移巣の存在が認められた場合に悪性褐色細胞腫と判断されています。
 褐色細胞腫の多くは明らかな原因もなく腫瘍が発生しますが、遺伝的に褐色細胞腫になりやすい家系もあります。
 褐色細胞腫および悪性褐色細胞腫の症状としては、高血圧と糖尿病が起こります。高血圧は、発作的に起こる場合と持続的に血圧が高い場合とがあります。
 発作的に起こる場合は、急に不安感、緊張感が起こり、強い動悸(どうき)やズキンズキンとした頭痛を感じ、脈が速くなり、手足が震え、瞳(ひとみ)が大きくなります。手足が冷たくなり、時には耳鳴り、吐き気、嘔吐(おうと)がみられます。
 また、しばしば尿糖が出ます。発作は数分から1〜2時間、時には数日続くこともあります。まれに、心不全や出血の危険性が高まることもあります。
 このようなはっきりした発作がなく、いつも血圧が高く、また糖尿病になっている場合もあります。
 発作的な血圧上昇、動悸、頭痛などがしばしば起こる場合は、内科、内分泌内科、内分泌外科の専門医を受診してください。
[バー]悪性褐色細胞腫の検査と診断と治療 
 内科、内分泌内科、内分泌外科の医師による褐色細胞腫および悪性褐色細胞腫の診断では、血液および尿の中のアドレナリン (エピネフリン) 、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)などの高値により判断します。腫瘍を探すために、腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、血管造影検査などの画像診断を行います。
 家族歴などから、遺伝的要因が関係した褐色細胞腫が疑われた場合は、遺伝子の検査が望まれる場合があります。
 最近では、特に症状はなく、人間ドックなどで副腎髄質に偶然腫瘍が発見され、精密検査の結果、褐色細胞腫と診断される例も増えています。副腎髄質の細胞や他のクロム親和性細胞以外の部位に転移した時には、悪性褐色細胞腫と判断します。
 内科、内分泌内科、内分泌外科の医師による褐色細胞腫および悪性褐色細胞腫の治療では、降圧治療(α遮断薬やβ遮断薬)による高血圧のコントロールを十分に行った上で、手術による腫瘍摘出が原則です。褐色細胞腫は約1割に再発例があるので、手術治療の後も定期的なホルモン検査と画像検査を行うことが大切です。
 悪性褐色細胞腫では、降圧治療(α遮断薬やβ遮断薬)に加えて、腫瘍の可能な範囲での摘出手術、抗がん剤による化学療法、放射性ヨウ素I131を標識としたメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)という薬剤を用いたアイソトープ内照射療法などの治療を行います。しかし、現時点で悪性褐色細胞腫を根治可能な治療法はありません。

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