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■人間の受精卵のゲノム編集、遺伝病研究を容認 生命倫理専門調査会 [健康ダイジェスト]

 遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集技術」で人間の受精卵の遺伝子を操作する基礎研究を巡り、内閣府の生命倫理専門調査会は22日、遺伝病の治療法の開発などを容認する見解をまとめました。現時点では安全面や倫理面から、その受精卵で子供を誕生させることは認めないものの、受精卵の遺伝子改変による遺伝病の予防に道を開くことになります。来春にも研究が認められる見通し。
 生命倫理専門調査会は、遺伝病を防ぐ治療法開発などにつながり得るとして、遺伝病や生まれ付きの病気に関する研究を認めると結論付けました。これまでは受精卵の発達などを調べる研究のみ認めていました。
 ゲノム編集で受精卵の段階で遺伝子の異常を修復すれば、生まれる子の病気を防げると期待されています。原因の遺伝子がわかっている遺伝病は5000以上あるといいます。ただ、今の技術だと狙いと別の遺伝子を書き換えることがあり、健康被害につながる恐れのほか、その影響は子孫に受け継がれます。倫理的にも、人為的に遺伝子を改変することに慎重な意見もあるため、遺伝子を操作した受精卵を子宮に戻すことは認めませんでした。
 受精卵にゲノム編集を応用した研究は、アメリカ、中国などで少なくとも12件行われ、約半数は遺伝子を修復して難病などの予防を目指すものです。アメリカではゲノム編集で人の受精卵を改変し、遺伝性の心臓病を引き起こす遺伝子の異常を高い効率で修復する実験に成功しています。
 生命倫理専門調査会の議論に参加した専門家は、「受精卵のゲノム編集に期待されるのは遺伝病の予防。基礎研究をしないと遺伝子改変の精度も上がらない」と話しています。
 一方、実用化が現実味を帯びれば、どこで規制の線引きをするか難しさもあります。2万以上とされる人間の遺伝子では、生命にかかわらない病気の原因となるものや、筋力を決定付けるものも特定されています。こうした遺伝子まで操作されれば、親が望んだ容姿や知的な能力を持った「デザイナーベビー」の誕生や、障害がある人は生まれないほうがよいとする「優生思想」が広がることを危ぶむ見方もあります。
 生命倫理専門調査会は文部科学省と厚生労働省に対し、個別の研究計画について、その病気を研究する妥当性や、能力を高めるといった目的でないことを審査する仕組みづくりを求めました。両省がこうした仕組みを整え、来春にも研究の審査が始まる見通しです。

 2019年4月22日(月)

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