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■世界の河川から安全基準値を上回る抗生物質を検出 英の大学が発表 [健康ダイジェスト]

 世界各地の河川が、環境安全基準値を最大で300倍上回る抗生物質で汚染されているとの研究結果が、フィンランド・ヘルシンキで今週開催された欧州セタックの年次総会で発表されました。
 イギリス・ヨーク大学などの研究チームが、世界6大陸72カ国の河川から711のサンプルを収集し調べたところ、その3分の2に1種類以上の汎用(はんよう)抗生物質が含まれていたことがわかりました。
 抗生物質は人間や家畜の細菌感染を抑えるために使用される薬剤で、今回は14種類の汎用抗生物質を調べました。この結果、薬剤耐性業界連合会が定める抗生物質濃度の安全基準を、多数の地域の河川で上回っていました。同連合会は、バイオテクノロジー関連企業と製薬会社100社以上で構成される業界団体。
 腸管感染症や尿路感染症の治療薬である抗生物質シプロフロキサシンについては、調査対象地のうち51カ所で基準値を上回っていました。また、広く使用されているもう一つの抗生物質メトロニダゾールについては、バングラデシュのある地域の濃度が基準濃度を300倍上回っていたといいます。
 イギリス・ヨーク環境持続可能性研究所の科学者、アリステア・ボクソール氏は、「これは非常に驚くべき、憂慮すべき結果で、抗生物質化合物による汚染が世界中の水系に広まっていることを実証している」と述べました。
 抗生物質の存在の広がりは野生生物に影響を与えているほか、薬剤耐性問題の一因にもなっている可能性が高くなっています。
 世界保健機関(WHO)は世界中で抗生物質の有効性が失われつつあると警告し、業界や政府に対し新世代の抗生物質を早急に開発するよう呼び掛けています。
 1920年代に発見された抗生物質は肺炎、結核、髄膜炎などの多くの致死性細菌から何万人もの命を救ってきた一方で、抗生物質の過剰使用や誤用は薬剤耐性菌の主な原因となっていると考えられています。
 だが、今回の研究では、自然環境に存在する抗生物質が増えていることも、薬剤耐性菌の主な要因の一つとなっている可能性が示唆されました。
 地域別では、アジアやアフリカの多くの河川で安全基準を上回っていましたが、ヨーロッパやアメリカ大陸で収集したサンプルはこの問題が世界的に広がっていることを示していました。
 抗生物質による河川汚染が最も深刻だった国は、バングラデシュ、ケニア、ガーナ、パキスタン、ナイジェリアでした。ヨーロッパで最も高い濃度が検出されたのは、オーストリアでした。
 調査を行った河川水サンプルは、ドナウ川、メコン川、セーヌ川、テムズ川、チグリス川、チャオプラヤ川やその他数十の河川から収集しました。

 2019年5月31日(金)

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