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■高齢者入浴中の事故、熱中症と疑いが8割超 ヒートショックは1割未満 [健康ダイジェスト]

 入浴中に浴槽で体調を崩した高齢者のうち、8割以上が熱中症かその疑いのあることが7日、千葉科学大学の黒木尚長(ひさなが)教授(法医学・救急救命学)の調査で明らかになりました。
 急激な温度差が体に悪影響をもたらす「ヒートショック」は1割未満だったことも判明。死亡事故の場合も同じ傾向があるとみられます。入浴の際にはヒートショックの危険性が指摘されてきましたが、定説が覆る可能性が出てきました。
 厚生労働省の人口動態統計によると、2016年に不慮の事故で溺死した高齢者は6759人。病死だったケースも含め入浴中の事故死は1万7000人との推計もあるものの、詳細を分析した調査はほとんどありませんでした。
 黒木教授は2017年12月、65歳以上の男女3000人を対象にインターネットで入浴に関するアンケートを実施。入浴中に具合が悪くなった人は10・8%に上り、症状などから熱中症が62・2%、熱中症の疑いが22・0%でした。ヒートショックの疑いは入浴前後を合わせても7・1%にとどまりました。
 黒木教授によると、体温37度の人が全身浴をした場合、湯温が41度だと33分、42度だと26分で体温が40度に達します。この結果、入浴中であっても重度の熱中症の症状が出て、意識障害を生じるリスクが高まります。そのまま入浴を続け、体温が42・5度を超えれば突然死することもあります。
 黒木教授は「高齢者は神経系の老化で熱さを感じにくく、長時間浴槽につかる傾向にあり、熱中症の初期症状が出ないまま意識障害に陥ることも多い」と説明。予防には湯温41度以下、入浴時間10分以内を目安とするほか、こまめに体温を測ることも有効だとしています。
 一方、黒木教授は2011~2015年に大阪市内で起きた入浴中の事故死のうち、大阪府監察医事務所が取り扱った2063人の死因を分析。心臓や脳の疾患を含む病死が74・8%、溺死が17・1%で、熱中症は2・2%でした。
 入浴中の突然死の場合、解剖しても慢性疾患以外の所見を見付けることは困難だといい、黒木教授は「病死と判断せざるを得ないのも仕方なく、ヒートショックの症状と結び付けて語られてきた。こうしたケースも大半が熱中症だった可能性が高い」と訴えています。
 2016年に大阪市の住宅の浴室で80歳代の夫婦が死亡していたケースでは、大阪府警の司法解剖の結果、死因は溺死だったが、熱中症による体温の上昇で意識を失った可能性が指摘されていました。

 2019年7月8日(月)




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