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■誤嚥を防ぐとろみ付き飲料自販機、全国50カ所に設置へ アペックス [健康ダイジェスト]

 筋力の衰えなどから、食道に送られるはずの飲食物が気管などに入り込んでしまう「嚥下(えんげ)障害」は、死につながる可能性もあり、この障害の対処法の一つとして、飲食物に「とろみ」を付ける方法があります。
 自動販売機運営管理会社のアペックス(愛知県大府市)は、2018年10月に発表した「とろみ自動調理機」に続き、医療・介護施設などで提供する「とろみ付き飲料専用サーバー」を開発し、その第1号を東京都内の病院に2018年11月に設置したのを皮切りに、全国約50カ所への設置を予定しており、今年10月には施設向けの大型サーバーも展開する予定です。
 現在展開している紙コップ式の自動販売機には、コーヒーや緑茶、抹茶ラテなど多種の味があり、温冷にも対応しています。自販機の「とろみありボタン」を押すと、とろみを「薄い」「中間」「濃い」と選ぶことができます。とろみを付けないこともでき、どちらでも飲み物の値段は同じです。
 飲料にとろみを付けてみても味は変わらないものの、しっかりと飲み物がのどを通る感覚がわかります。コーヒーでも抹茶ラテでも、温かくても冷たくても、3段階のとろみは均一にしています。例えば、コーヒーではミルクや砂糖の有無によって、とろみ材の調整の仕方をそれぞれ変えています。
 とろみ付き飲料は、飲み込みが難しい人の誤嚥を予防する目的で、医療機関や介護保険施設を始め、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどで提供されています。通常各施設では、飲料にとろみ材を加えスプーンなどで撹拌(かくはん)し、とろみの程度を調整する調理を手作業で行っています。短時間で一度に大量のとろみ付き飲料を作らなければならず、職員の負担が大きいのが現状です。
 アペックスは、慢性的な人手不足が深刻化している医療・介護施設での作業負担を軽減するため、とろみ作りに人的労力を必要としない「とろみ付き飲料専用サーバー」の開発に至りました。10月には、施設などで使用できる2リットルの大型サーバーも展開する予定で、こちらも要望に合わせて8種類の飲料を準備することができます。
 アペックスの担当者は、「災害時でも避難所などにとろみ付き飲料があれば、嚥下障害を持つ高齢者も安心できる」と話し、災害時の活用方法も検討していくとしています。
 嚥下障害のため、気管に飲食物などが入ってしまうことを切っ掛けに発症する誤嚥性肺炎。厚生労働省の2018年人口動態統計月報年計によると、誤嚥性肺炎の死因順位は7位となっています。
 東京都健康安全研究センターによると、1979年には423人ほどだった誤嚥性肺炎による死者数は2016年には3万8650人にまで増加。2030年には12万9000人程度にまで急上昇すると予測しています。日本歯科大学口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニックの菊谷武院長は、「とろみ剤など対応策は普及しているが、それを追い越すほどに高齢者が増えている」としています。
 誤嚥性肺炎の起因となる嚥下障害について、菊谷院長は原因として、気管に蓋(ふた)をして飲食物の侵入を防ぐ喉頭蓋の「気管に蓋をするタイミングのズレ」「蓋をするための筋力の低下」の2つを挙げます。
 タイミングが合わない場合は、「意識して飲み込むことが大切」といいます。また、上手に飲み込むためには、まず歯できちんと食べ物をかみ砕く必要があるため、歯を磨いて大切にすることが第一歩となります。
 筋力が低下している場合は、口を最大限に開き、その状態を10秒保持する運動などによって嚥下機能を鍛えることができます。
 菊谷院長は、「筋力は30歳をピークに1年で1%低下するといわれている。つまり70歳だと40%も低下していることになる。嚥下機能の衰えは60歳ごろから意識したほうがいいだろう」と警鐘を鳴らしています。

 2019年7月12日(金)

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