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■バイオ3Dプリンターで人工血管を作り移植へ 佐賀大が研究計画 [健康ダイジェスト]

 佐賀大学医学部の中山功一教授(臓器再生医工学)らの研究チームが、人間の細胞から立体的な構造体をつくる「バイオ3Dプリンター」を使い、人工透析を受けている患者の皮膚から人工血管を作製し、患者に移植する臨床研究を始める見通しとなりました。
 国から認可された審査委員会に研究計画を申請ずみで、計画が受理されれば患者を募り、今年秋にも臨床研究に着手することにしています。
 中山教授によると、人工素材を使わずに人の細胞から人工血管を作るため、アレルギー反応や細菌の感染リスクを抑制する効果が期待できるといいます。
 バイオ3Dプリンターは、患者の脇や脚の皮膚から採取した細胞を培養し、約1万個の細胞の塊(直径約0・5ミリ)をつくり、その塊を剣山のように並べた針に刺して積み重ね、3次元データの設定通りに形成します。複数の串刺し状の塊がくっ付き、直径約5ミリ、長さ約5センチのチューブ状の人工血管ができるといいます。本物の血管と同じような弾力があり、血管の内側に血圧のおよそ10倍の圧力をかけても耐えられるということです。
 人工血管をブタに移植した実験では、通常の血管と同じように血液が通り、半年にわたって機能することが確認され、研究チームは人に移植する臨床研究に向け準備を進めてきました。
 人工透析は、腎不全の患者の体内から血液を取り出し、機械で浄化して戻す治療法。血液を取り出しやすくする血管(シャント)が必要になるものの、樹脂製の血管は内部が詰まる場合があるといいます。このため、シャントの代わりにバイオ3Dプリンターでつくった人工血管を3〜4人の患者に移植し、半年ほどかけて安全性や効果を確認します。
 中山教授は、「バイオ3Dプリンターで作製した人工血管の移植は世界でも珍しい。他の臓器の作製にも応用できるだろう」としています。
 アメリカの調査会社マーケッツアンドマーケッツによると、1台当たり数百万から数千万円で販売されているバイオ3Dプリンターの世界市場は、2021年に13億3260万ドル(約1400億円)となり2016年の3倍を超しています。
 バイオ3Dプリンターが普及する上では、安全性の確認に加え製造コストを引き下げる工夫が必要です。製薬会社や患者のニーズはあり、欧米や中国でスタートアップが生まれるなど関連企業が増えています。実用化を巡って競争が一層激しくなりそうだ。

 2019年8月26日(月)

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