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■iPS細胞使った網膜を難病患者に移植へ 神戸アイセンター病院などが臨床研究を申請 [健康ダイジェスト]

 神戸市立神戸アイセンター病院と理化学研究所などの研究チームが9日、さまざまな細胞になれるiPS細胞からつくった「視細胞」を、失明の可能性がある目の難病の患者に移植する臨床研究について、大阪大学の委員会に申請したと発表しました。来年度中に1例目の移植を目指します。
 臨床研究の対象は、主に遺伝が原因で視細胞の性質が変わる病気「網膜色素変性症」の患者。暗い場所で見えにくくなったり、視野が狭まったりします。国内に患者は約4万人といいます。視細胞にかかわる遺伝子は少なくとも70以上あるとされ、確立した治療法はありません。
 臨床研究では、京都大学iPS細胞研究所が備蓄しているiPS細胞から視細胞の元になる未熟な網膜組織をつくって直径1ミリほどのシート状にし、患者の目に移植します。目の奥にある網膜は、光を感じる視細胞などでできており、視細胞で感じた光は、視神経を通って脳に伝わります。
 移植した細胞は目の中で成熟して視細胞となり、視神経とつながれば、光を感じられるといいます。患者の視野を広げたり、病気の進行を遅らせたりする狙い。
 研究チームの万代(まんだい)道子・理研副プロジェクトリーダーらは、失明したマウスやラットが、iPS細胞からつくった視細胞を移植されると、光に反応することを確認しました。また、サルでは目の中に移植した細胞が2年以上定着していることも確認しています。
 目の中で成熟させるため、網膜以外の細胞が混じれば腫瘍(しゅよう)化する可能性もあるものの、網膜になる細胞だけを移植すれば、腫瘍化するリスクは高くないとしています。拒絶反応を抑えるため、免疫抑制剤を使います。臨床研究は安全性を確かめるため、病気が進行してほとんど目が見えない患者2人にシートを移植する予定といいます。
 理研の研究チームは、2014年に世界で初めてiPS細胞を使って移植しました。その時は、加齢黄斑変性という病気の患者に、iPS細胞からつくった「色素上皮細胞」を移植しました。この細胞は、視細胞に栄養を送る細胞でした。
 さまざまな組織になれるiPS細胞を使った目への移植は、実現すれば今回の視細胞で3番目になります。5年前に世界で初めて移植が実現したのも目の網膜の細胞でした。今年夏には大阪大学の研究チームがiPS細胞から「角膜上皮細胞」をつくって角膜上皮幹細胞疲弊症の患者に移植しました。今回は、網膜組織の一つ「視細胞」を約10万個移植する計画です。
 研究チームは、網膜の色素上皮細胞の効果を複数の医療機関で調べる臨床研究も近く申請する予定です。色素上皮細胞は視細胞に栄養を送る役割があります。色素上皮細胞と視細胞は持ちつ持たれつの関係にあり、どちらかが失われるともう片方も傷んでくきます。将来的には、視細胞と色素上皮細胞を混合したシートを移植する計画も進めています。
 神戸アイセンター病院の栗本康夫病院長は、「ようやく第一歩を踏み出せてうれしい。治療を願う患者の希望になればいいと思う」と話しています。

 2019年12月9日(月)

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