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■用語 異所性妊娠 [用語(い)]

[ビール]受精卵が子宮内膜以外の異常な部位に着床した状態
 異所性妊娠とは、受精卵が子宮の内膜以外の異常な部位に着床した状態。かつては子宮外妊娠とも呼んでいましたが、現在では異所性妊娠が正式な名称となっています。
 正常の妊娠では、精子と卵子が結合した受精卵は6〜7日かけて、卵管から子宮、さらに子宮内膜へと移動して、子宮内膜に着床します。しかし、まれに子宮内膜までたどり着かない場合や行きすぎてしまう場合があり、受精卵が子宮内膜以外の部位に着床し、発育します。
 異所性妊娠は、全妊娠の約1%を占めており、決して珍しい状態ではありません。その上、近年は異所性妊娠が増加傾向にあります。
 原因はクラミジア・トラコマーティスという微生物を原因とする性感染症の流行で、今日の性感染症のうち、日本においても、世界においても最も多い疾患として人々の間で流行しています。女性がクラミジア感染症になると、卵管が痛み、異所性妊娠が起こりやすくなります。
 従来は異所性妊娠を早期に診断することは難しく、その結果、受精卵が着床した部位が破裂し腹腔(ふくくう)内に大出血することで生命に影響を与えていました。しかし、現在では妊娠反応検査や超音波検査が発達し、診断方法が進歩したため、症状が出る前の早期に診断できることも多くなり、従来に比べて危険度が下がりました。
 異所性妊娠は、受精卵の着床部位によって卵管妊娠、腹膜妊娠、卵巣妊娠、子宮頸管(けいかん)妊娠の4つに分けられます。このうち98%を占めるのが、卵管妊娠です。
 卵管が傷んで詰まっていたり細くなっていたりして、受精卵が卵管を通過できなかったり、子宮内膜にたどり着く前にどこかで着床してしまうものと考えられています。
 妊娠初期では、異所性妊娠の特別な症状というものはなく、通常の妊娠とあまり変わりがありません。そのため、妊娠していることに女性本人が気付いてない場合もあります。子宮内膜以外の部位に着床した場合、4カ月以内には受精卵の成長が限界に達し、下腹部痛や性器出血がみられるようになります。卵管妊娠の状態で放置すると、受精卵が成長し卵管破裂が起こる危険もあります。着床した部位によっては、出血量がかなり多いこともあり、命を落とす可能性もあります。
[ビール]異所性妊娠の検査と診断と治療
 産婦人科、婦人科、産科などの医師による異所性妊娠の検査は、経膣(けいちつ)超音波検査によって子宮内の状態を確認し、流産していないかどうかを調べた後、尿検査などで調べます。
 症状がない場合や妊娠初期である場合、非常に判断がしづらいものですが、超音波検査などの精度が上がっているため、複数の検査で異所性妊娠と認められることが多くなってきています。症状が軽く判断が難しい場合は、さらに細胞の検査や腹腔鏡で確認することもあります。
 異所性妊娠の典型的なケースとしては、妊娠可能な年齢の女性が無月経、少量の性器出血、下腹部痛、下腹部の筋けいれんなどを訴え、産婦人科などを受診します。そこで妊娠反応検査を行うと妊娠が確認され、経膣超音波検査が行われます。この時に、妊娠初期に胎児が入っている袋である胎嚢(たいのう)が子宮内部に認められず、子宮内膜以外の領域に胎嚢が認められることになります。
 ただし、妊娠初期には正常妊娠でも子宮内膜に胎嚢が認められない時期があるので、胎嚢がないからといって直ちに異所性妊娠と診断することはできません。加えて、妊娠初期の流産の場合も、妊娠反応が陽性であるにもかかわらず胎嚢が認められないことがあります。
 産婦人科、婦人科、産科などの医師による治療では、原則として手術を行います。以前は、腹部に切開を施して行う開腹手術がほとんどでしたが、現在では腹腔鏡下手術で行われることが多くなってきました。
 ただし、腹腔内で多量に出血している場合や、施設の設備によっては開腹手術が優先されることもあります。
 卵管妊娠の場合、胎児と胎盤を含む卵管全体を摘出する手術を行うことが一般的です。
 一方、卵管を開いて胎児と胎盤を除去し、卵管を摘出しない卵管温存手術も考慮されるようになってきました。ただし、安全に温存できる状態であるか十分に検討する必要があり、手術中の状態にもよるため、最終的に主治医が判断することになります。
 卵管妊娠は、胎児が生存し胎嚢が発育していることを指します。これに対し、卵管妊娠流産というケースもあります。卵管妊娠流産で多いのは、比較的初期に胎児が死亡し、流産が卵管内で起こるケースで、卵管妊娠に比べて出血や下腹部痛などの症状が軽く、手術をせず経過をみることもあり、手術をする場合も卵管を切り取らずに温存することもできるようになってきていますので、将来子供が欲しい人には朗報といえるでしょう。
 まれに損傷がひどい場合や、子宮頸管妊娠の場合に、子宮の摘出手術が必要になることもあります。手術後は、病理学検査で摘出した組織を詳しく調べ、問題がないか確認します。
 また、程度が軽い状態ならば、手術ではなく化学療法を行うケースもあります。手術の代わりに抗がん剤でもあるメトトレキサートという薬剤の全身投与、または局所投与を行います。このメトトレキサートによって、異所性妊娠の組織が縮小して消失します。メトトレキサートに手術を併用しなければならないケースもあります。

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