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■用語 肉芽腫性口唇炎 [用語(な行)]

[キスマーク]唇が全体的にはれ上がり、再発の繰り返しもある疾患
 肉芽腫(にくげしゅ)性口唇炎とは、唇が全体的にはれ上がる特徴的な変化を示す疾患。 痛みを伴うことはありませんが、再発を繰り返すことも少なくありません。また、この肉芽腫性口唇炎では、舌の表面に多数の溝(みぞ)ができる溝状舌(こうじょうぜつ)を伴ったり、顔面神経まひを同時に発症したりすることもあり、特にメルカーソン・ローゼンタール症候群と呼ばれています。
 肉芽腫性口唇炎は、男女差なく発症し、若年者から中高年者に多くみられます。
 肉芽腫が形成される原因は完全には明らかになっておらず、不明な点も多く残っています。原因の一つとしては、虫歯や歯周病など口腔(こうくう)内の疾患が挙げられます。
 また、歯科治療において使用する歯冠や矯正具などの金属が唾液(だえき)と反応してイオン化し、イオン化した金属がアレルゲンとなってアレルギー反応を起こすことも、肉芽腫が形成される原因の一つであると推定されています
 そのほかにも、遺伝的要因や食物アレルギー、自律神経失調、消化管に炎症が起きるクローン病なども関与していると考えられています。さまざまな原因が複合的に関与することで、肉芽腫が形成されるとも推定されています。
 肉芽腫性口唇炎を発症すると、非乾酪(ひかんらく)性類上皮細胞肉芽腫と呼ばれる特徴的な組織変化によって、突発的に唇がはれ上がります。唇の全体がはれることもあれば、上唇や下唇が限局的にはれることもあり、唇の周囲の皮膚にもはれがみられることもあります。
 痛みやかゆみを伴うことは、ありません。はれは数時間から数日で改善することもありますが、時間経過とともに再び、はれ上がり、再発することも少なくありません。何回も再発を繰り返すうちに、徐々に弾性のある硬いはれ上がりとなっていくこともあります。
 何カ月も症状が持続している人には、一度、皮膚科や口腔内科、歯科口腔外科に相談してみることが勧められます。
[キスマーク]肉芽腫性口唇炎の検査と診断と治療
 皮膚科、口腔内科、歯科口腔外科などの医師による診断では、唇の組織変化を確認するために、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行います。
 発症の背景にある疾患を確認するためには、慢性の病巣感染の有無についての検査、金属パッチテスト、アレルギー検査(血液検査)、パノラマX線(レントゲン)撮影(虫歯の検査)、便検査、消化管内視鏡検査などを適宜、行います。
 皮膚科、口腔内科、歯科口腔外科などの医師による治療では、発症する原因がはっきりせず必ず効果があるという処置法は確立されていないため、個々の症状、検査結果に応じて、発症に関与していると考えられる原因への標準的な処置を時には組み合わせて行います。
 虫歯や歯周炎など口腔内の疾患が原因であると考えられる場合は、その治療を行います。金属パッチテストで陽性を示した場合は、歯科治療のための金属の除去を検討します。対症療法的に抗ヒスタミン薬を用いることもあります。
 唇で生じている異常反応を抑えることを目的として、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)や、アレルギー反応を抑えるトラニラストなどの治療薬を用いることもあります。
 このような内科的な保存的治療で十分な効果が得られない場合には、症状の固定から1年以上経過した時点で、外科的に病変部位を切除することも検討されます。

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