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■中国企業の新型コロナワクチン、開発に不透明感 予防効果が不十分との指摘も [健康ダイジェスト]

 中国企業による新型コロナウイルスワクチンの開発に不透明感が漂っています。臨床試験(治験)中に大規模な35万人への接種に踏み切り、一時は世界の開発レースの先頭に立っていたものの、予防効果や検証が不十分とする指摘が出ています。欧米勢の実用化は秒読みの状況で、中国が力を入れる「ワクチン外交」にも影響が出かねません。
 イギリスの医学誌「ランセット」は17日、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発するワクチンについて、初期段階の治験データを分析した論文を掲載。論文はシノバックなどの研究チームがまとめたもので、治験結果から「感染を防ぐ予防抗体は(新型コロナ感染から)回復した人のレベルより低い」とし、有効性は「中程度」と評価していました。
 有効性「90%以上」をうたうアメリカのファイザーやモデルナ、「70%」とするイギリスのアストラゼネカなど、最新技術を使った欧米勢のワクチンと比べて、見劣りするデータです。
 シノバックのワクチンは、病原性をなくしたウイルスを使う昔ながらの手法を採用しています。インフルエンザワクチンなどで長年使われている手堅い技術であり、安定した予防効果が見込まれただけに、論文の内容は波紋を呼びました。
 論文で研究チームは「抗体が確認され、安全性も問題ない」とし、最終段階の治験に進むデータとしては十分な結果だと結論付けました。また、シノバック幹部の孟偉寧氏は20日、オンラインの国際会議で「12月中には最終治験のデータが得られるだろう」と発言し、今後の有効な解析結果に期待をにじませました。
 世界で治験の最終段階にある11種類のワクチンのうち4種類が中国のワクチンで、中国は1月からワクチン開発を急ピッチで進めてきました。けん引役は、シノバックと国有製薬大手である中国医薬集団(シノファーム)。両社は7~8月から、最終治験の途中段階にもかかわらず、国内で緊急投与に乗り出しました。
 北京市内のシノファーム系の研究所では26日、接種を待つ人が行列を作っていました。最終治験を経ないまま、ワクチンの接種が拡大しています。
 シノファームは11月18日には、緊急投与によるワクチン接種が100万人近くに達したと発表しました。9月時点では約35万人であり、国有企業の社員などを対象に2カ月で3倍近くに増やした形です。
 国有企業に所属する複数の社員は「9月にワクチンを接種したが、シノファームから何も連絡がない」と証言しており、開発中にもかかわらず、接種後に健康状態などを確認していない可能性が指摘されています。通常であれば、直後はもちろん、半年から1年以上の時間をかけて、経過を観察することが求められます。
 「100万人近くに投与して重い不良反応は1件もない」。シノファームの劉敬楨董事長は18日に声明を出したものの、同社は最終治験の詳しいデータを公表していません。
 開発が大詰めを迎える中、11月25日には、シノファームが中国の国家薬品監督管理局にワクチンの販売の許可を申請したと国営新華社通信が報じました。詳細は不明ながら、緊急投与からさらに進み、一般向け販売などの準備に入る可能性があります。
 シノバックとシノファーム、そして康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)の中国ワクチン3社が最終治験を実施している国は、11月下旬時点で、インドネシアやブラジルなど少なくとも13カ国に上り、開発に成功した場合、まずはこれらの国々に供給する考え。

 2020年11月27日(金)

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