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■用語 難聴 [用語(な)]

[耳]正常な場合よりも聴力が低下した状態
 難聴とは、正常な場合よりも聴力が低下した状態。
 難聴は、伝音(でんおん)難聴(伝音性難聴)、感音(かんおん)難聴(感音性難聴)、混合難聴(混合性難聴)の3つに大きく分けられます。
 伝音難聴は、音を聴神経へ伝える外耳、中耳、鼓膜に障害が生じたために起こります。空気の振動として耳に入ってくる音が外耳の一部である外耳道や、外耳と中耳の境目にある鼓膜、中耳内にある耳小骨を震わせて振動を伝えていく部分に、障害が生じたために起こります。音が十分に伝わっていかないため、音が鳴っていること自体を把握することが難しい性質を持っています。
 通常、伝音難聴による聴力の低下は70デシベルを超えることはなく、これだけで高度難聴になることはありません。例えば、耳栓をしても大きな音は聞こえてしまいますし、どんなに耳に蓋(ふた)をしても全く外部の音が聞こえなくなることはありません。
 これは通常の外耳から内耳を通じる経路ではなく、大きな音が直接頭蓋骨(ずがいこつ)を振動させることによって、内耳のリンパ液が振動して有毛細胞という感覚細胞が興奮し、音を知覚することになるからです。
 中耳炎などを患った場合に、伝音難聴になりやすいことが知られています。原因となる疾患には、急性中耳炎や慢性中耳炎を始めとする各種の中耳炎や、耳垢栓塞(じこうせんそく)、外耳道閉鎖症、耳管狭窄(きょうさく)症、鼓膜裂傷、耳硬化症、耳の腫瘍(しゅよう)などがあります。
 伝音難聴は、音を感じる内耳から聴覚中枢路には異常がなく、聞こえのゆがみなどは起こらないため、原因となる疾患に応じた医学的な治療を受けることにより、聴力を回復させることができます。
 もし回復しない場合でも、耳に入る音を大きくできれば聞こえがよくなるため、補聴器の効果が期待できるタイプの難聴です。 
 一方、感音難聴は、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけての異常による難聴。近年、増加の傾向にあります。
 原因不明が約50パーセント。その多くは両耳が同時に障害され、遺伝が関係しているのではないかと考えられています。
 原因の明らかな難聴の場合も、その原因はさまざま。ストレプトマイシン、カナマイシン、アスピリン、キニーネなどの薬剤中毒、ダイナマイト、鉄砲、花火などの強く衝撃的な音響、工場、鉱山、ボイラー、電話交換室などでの持続的な機械の騒音、打撲、骨折、むち打ちなどでの頭部外傷、家族性、先天聾(ろう)などの遺伝、老化が原因として挙げられます。
 そのほか、内耳炎、おたふく風邪(流行性耳下腺〔せん〕炎)、ヘルペス、はしか(麻疹〔ましん〕)、糖尿病、妊娠、出産なども原因となります。突発性難聴やメニエール病による難聴も、感音難聴に入ります。
 感音難聴で困るのは、そのほとんどに適切な治療法がないことです。難聴の程度も強く、補聴器もあまり役立ちません。たとえ音は聞こえても、言葉がはっきり聞こえないので、日常生活に不自由します。しばしば、頑固な耳鳴りに悩まされます。
 さらに、混合難聴は、伝音難聴と感音難聴の両方の特徴を併せ持った難聴。多くの老人性難聴は混合難聴ですが、どちらの度合が強いかは個人差が大きいといえます。
 また、難聴の度合は一般的に、平均聴力レベルが20デシベルまでを、ささやき声もよく聞こえる正常聴力として、40デシベルまでを、小声が聞きにくい軽度難聴、70デシベルまでを、普通の声が聞きにくい中度難聴、70デシベル以上を、大きな声でも聞きにくい高度難聴、90デシベル以上を、耳元での大きな声でも聞こえない重度難聴、100デシベル以上を、通常の音は聞こえない聾(ろう)に分けます。
[耳]難聴の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、一般的に鼓膜の観察や聴力検査を行ったり、耳管の通り具合を調べます。
 例えば、急性中耳炎では、鼓膜を検査し、その色、はれ具合から簡単に診断がつきます。外耳道炎を併発し、外耳道がはれて見えにくい時は、診断がやや難しいことがあります。慢性中耳炎では、鼓膜の穿孔(せんこう)、耳垂れの有無を調べるため、耳垂れの細菌検査、CTを含む耳のX線検査、聴力検査を行います。
 耳鼻咽喉科の医師による伝音難聴の治療では、難聴を起こす原因となる疾患に応じた治療を行います。
 例えば、急性中耳炎では、全例にアモキシシリンなどの抗生物質による治療を行います。自然に治癒するか、悪化するかどうかを予測するのが、難しいためです。
 アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬は、痛みを和らげます。フェニレフリンが入ったうっ血除去薬も、効果があります。抗ヒスタミン薬は、アレルギーによる中耳炎の場合は有効ですが、風邪による中耳炎には効果はありません。
 痛みや熱が激しかったり、長引く場合、また鼓膜のはれがみられる場合には、鼓膜切開を行って、耳垂れを中耳腔(こう)から排出します。鼓膜を切開しても聴力に影響はなく、切開した穴も普通は自然にふさがります。中耳炎を繰り返し起こす場合は、鼓膜を切開して、耳だれを排出する鼓膜チューブを設置する必要があります。
 慢性中耳炎では、抗生物質で炎症を抑え、耳垂れを止めます。しかし、鼓膜の穿孔や破壊された中耳はそのまま残ることが多く、また、真珠腫性中耳炎では普通の治療では治りにくいので、手術が必要です。
 鼓膜の穿孔をふさぎ、疾患で破壊された、音を鼓膜から内耳に伝える働きをする耳小骨をつなぎ直せば、聴力は改善できます。これを鼓室形成術といい、細かい手術のため手術用の顕微鏡を使って行います。
 伝音難聴の中でも、特に症状がひどく、補聴器を用いてもほとんど聞こえないような慢性穿孔性中耳炎の場合には、人口中耳と呼ばれる高感度の補聴器を中耳に植え込む手術も開発されています。
 伝音難聴は感音難聴に比べると治療による効果が出やすく、補聴器を使用することによって聞き取りやすくなる傾向も持っています。補聴器で音を大きくすることで、かなり聞こえるようにもなるので、補聴器を使用すれば生活しやすくなります。
 耳鼻咽喉科の医師による感音難聴の治療では、早く発見して、難聴の進行を食い止めることが大切となります。しかしながら、そのための適切な治療法も薬物も、現在ではありません。
 早く原因を避けるのが、唯一の対策です。難聴を起こしやすい薬は、できるだけ避けます。使用しなければならない際は、できるだけ少量を聴力検査をしながら用います。抗生物質の1つであるストレプトマイシンのうちでも、ダイハイドロストレプトマイシンは難聴を起こすため、現在は硫酸ストレプトマイシンが用いられますが、めまいの副作用があります。
 騒音の強い職場で働く人の場合は、予防用の耳栓をつけます。携帯音楽プレーヤーなどにより、大きい音を長時間、聞くことも危険です。遺伝性素因のある人同士の結婚は控えます。




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