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■新型コロナ変異種、拡大止まらず 流行続けば毒性が高まる恐れも [健康ダイジェスト]

 新型コロナウイルスの変異種の拡大が止まらず、「イギリス型」は49の国と地域、「南アフリカ型」は19カ国で確認されました。ブラジルで発生したとみられる新たな変異種も日本で見付かりました。いずれも感染力が高いとされ、感染者急増との関連が疑われています。今後、感染力や毒性が高まったり、ワクチンが効かなくなったりする可能性があり、各国は警戒を強めています。
 世界で報告された変異種は、イギリス型と南アフリカ型のほか、西アフリカのナイジェリアとブラジル由来のタイプが報告されています。急速に広がるイギリス型はフランスやスペイン、オランダなどヨーロッパだけでなくアメリカ、インド、日本など世界49の国・地域で見付かりました。南アフリカ型も同国やイギリスで市中感染が確認されているほか、旅行者を通じてフランスや日本、オーストラリア、カナダなどでも発見されました。
 新型コロナウイルスの感染者と死者が世界最多のアメリカでも、イギリス型の変異種が急速に拡大。アメリカの疾病対策センター(CDC)によると、11日時点で10の州で72件の感染例が報告され、東南部のフロリダ州で22件、西海岸のカリフォルニア州で32件と、離れた場所で見付かっており、ある研究者は「アメリカ全土に拡大している可能性もある」と指摘しています。
 10日に日本で発見された新たな変異種は、12の遺伝子情報が変異しており、イギリス型や南アフリカ型と似た部分もあります。この変異種が検出された4人の出発地であるブラジル北西部アマゾナス州では感染者が急増し、高い感染力が懸念されています。重症化リスクなどはわかっていないものの、今後さらに感染力が高いウイルスが出現する可能性が出てきました。
 新型コロナウイルスは、平均15日で変異します。人の細胞に侵入したウイルスが複製をつくる際に遺伝情報をコピーミスすることで、変異が起こります。感染者が増えると、コピーミスする機会が多くなり、厄介な変異種が出現しやすくなります。
 東京都医学総合研究所感染制御プロジェクトの小原道法シニア研究員は、「感染能力が低いウイルスが淘汰(とうた)され、より感染能力が高い変異ウイルスが広がっているとみるべきだ」と訴えています。多くの専門家は「世界中で、多くの新しい変異種が存在する可能性が高い」とみており、イギリスやアメリカ、日本などはウイルスの検体を収集してゲノム解析することで変異種の監視を強めています。
 特に専門家が注視するのは毒性の変化で、これまでの研究ではイギリス型も南アフリカ型も感染力は高いものの、重症化のリスクは従来型と変わらないとの見方が強くなっています。しかし、1910年代に世界で大流行したスペイン風邪は、第2波の死亡率が第1波に比べて大幅に上昇しました。変異が原因とみられ、新型コロナウイルスも流行が長引いて感染者が増え続けると、毒性の高いウイルスに変異する可能性があります。
 ワクチンへの影響は当初、南アフリカ型は効果が薄いのではと懸念されました。だが、アメリカのファイザーとテキサス大学は、ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発したワクチンが、イギリス型や南アフリカ型にも従来型と同等の効果があるとの実験結果を公表しました。
 ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)は、「ワクチンが効きにくい新たな変異種が登場しても6週間で対応できる」と説明し、変異種に対応した新たなワクチンを迅速に製造できる準備を進めていることを明らかにしました。両社が開発した「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」は遺伝情報をもとに人工的に合成した核酸を使うため、短期間で製造できます。
 一方、無毒化したウイルスの一部を使う従来型の「不活化ワクチン」は変異種に対する有効性が不明。もし、新たなワクチン開発が必要となる場合、実用化までさらに半年から1年近くかかる可能性もあります。
 アメリカ、イギリスなどのほか日本でも、空港検疫だけでなく、市中感染の可能性を踏まえた解析体制を強化し始めたものの、感染が急拡大する中で解析態勢が追い付くのかは課題。
 変異種の流入を抑えるには、水際対策の強化や市中感染の素早い発見がカギを握ります。国立感染症研究所は国内症例や空港検疫で、ウイルスのゲノムを解析し、監視しています。さらに国内症例の解析数を増やすほか、変異種が流行する国からの帰国者や濃厚接触者の検体提出を求めています。今のところ、日常生活を送る中で感染が広がる「市中感染」の例は見付かっていません。
 水際対策を強化するため、日本政府は13日からすべての入国者について、出国前72時間以内の陰性証明の提出を求めるようにしました。昨年12月28日に外国人の新規入国を原則停止。日本人や永住外国人、中国、韓国など11カ国・地域とのビジネス往来なども、入国時の検査と14日間の自己隔離を課しました。さらにイギリスと南アフリカからの帰国者には、検査で陰性でも指定する宿泊施設などで3日間の待機を求め、再検査で陰性を確認するようにしました。
 昨年12月22日にイギリスから帰国した30歳代の男性が29日に感染が見付かり、その後、会食した2人に変異種の感染が確認されました。この男性は14日の自己隔離期間中だったものの、守っていませんでした。検疫法に規定がなく、強制力はないため、法改正などで実効性を高めるよう求める声も上がっています。

 2021年1月15日(金)

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