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■京大・本庶グループ、老化によるがん免疫低下を回復させる成分を解明 がん免疫治療薬の弱点克服へ [健康ダイジェスト]

 がん免疫治療薬「オプジーボ」の開発に貢献し、2018年にノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授らの研究グループは、老化で免疫力が低下し治療薬が効かない高齢マウスに「スペルミジン」という成分の投与を併用することで、がん免疫が向上し治療効果が回復したとする研究結果を10月27日付のアメリカの科学誌「サイエンス」電子版に発表しました。
 高齢のがん患者は若い人より免疫療法の有効性が下がる症例が多く、研究グループは研究成果が新たな治療法につながるとみて、併用治療の臨床応用を目指すとしています。
 がんを攻撃する免疫細胞のブレーキを外すことで攻撃力を高める免疫治療薬は劇的な効果がある一方、高齢者を始めとした半数程度の患者には効果が薄く、原因究明や併用治療の開発が急がれています。
 研究グループは生物の体内に存在し、細胞の増殖などの生命活動に関与する成分「ポリアミン」の一種であるスペルミジンに着目。スペルミジンは加齢によって細胞内の濃度が低下することが知られているものの、老化による免疫力低下との関連性はわかっていませんでした。
 研究で、免疫治療薬が効かない高齢マウス5匹にスペルミジンを併用して投与した結果、免疫細胞の機能が向上し、がんに対する免疫が回復することを確認しました。また、細胞内でエネルギーを発生させる小器官「ミトコンドリア」の酵素にスペルミジンが直接結合し、免疫の回復・増強に作用するという仕組みも解明しました。
 老化による免疫力低下の原因の一端を明らかにする発見で、研究グループの茶本(ちゃもと)健司特定准教授は「時期は未定だが、がん免疫治療薬との併用による治療効果を臨床で確認したい」と実用化に向けた意欲を示し、「がんだけでなく、自己免疫疾患などの新たな治療法開発につながる可能性がある」としています。
 がん治療に詳しい近畿大の中川和彦教授(腫瘍内科学)は、 「がん免疫治療薬の課題解決に向けた大きな成果だ。今回はマウスの実験だが、人でも同様の効果があれば、がん治療が大きく前進する」と話しています。

 2022年11月1日(火)

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