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■子供の予防接種、コロナ禍を経て日韓など52カ国で信頼感低下 ユニセフが「世界子供白書」で警鐘 [健康ダイジェスト]

 世界の多くの国で、はしかやポリオなど子供の予防接種への信頼感が低下しています。新型コロナウイルスのワクチン接種に関連して、インターネット上に真偽不明の情報が広まったことも一因です。接種率の低下で、感染症の流行の懸念が高まっています。
 国連児童基金(ユニセフ)が4月に発表した「世界子供白書」によると、調査対象の55カ国中52カ国で、子供のワクチン接種を「重要」と考える人が新型コロナの流行前と比べ大幅に減少しました。
 韓国やパプアニューギニアで40ポイント以上の大幅減となり、ガーナ、セネガルのほか、日本も30ポイント以上減りました。途上国で減少が著しくなっています。
 他方、重要と考える人の割合が変わらない、もしくは増加したのは、中国、インド、メキシコのわずか3カ国にとどまりました。また、白書はほとんどの国で、35歳未満の年齢層と女性の間で、子供へのワクチンの信頼感に低下傾向がみられたと報告しています。
 背景にはインターネット上での誤情報の増加、専門知識に対する信頼の低下、政治的偏向などが挙げられるといいます。
 ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長は声明で、「あらゆるワクチンへの恐怖と誤情報がウイルス同様に広まった」としました。はしかやジフテリアなど、予防接種で防げる感染症で子供の死者が出ることに懸念を示しました。
 南アフリカでは2022年末からはしかが流行し、5月中旬までに970人超が感染しました。日本でも2023年に入り、はしか患者が報告されています。国連によれば、東アフリカのブルンジで3月、ワクチン未接種の4歳児のポリオ感染が明らかになりました。同国で約30年ぶりの感染報告だといいます。
 感染症研究に取り組む大阪公立大学大学院の城戸康年教授は途上国での予防接種への信頼感の低下について、「ワクチン開発の実験台にされているのではないかという懸念が根強いことも一因だ」と指摘。将来のリスクを回避する考え方を身に着けるため、予防接種や自分の健康について正しく理解する機会を広げる必要が大切だと話しています。
 予防接種が子供の命を救うことは各国の接種プログラムの実績でも明らかで、アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、世界で毎年約400万人の命が子供の定期接種によって守られているといいます。
 ユニセフは新型コロナ禍での医療体制の逼迫により、2019〜2021年に世界で6700万人の子供が定期接種の機会を逃したと推計しています。同期間に112カ国で接種率が低下したことについて、ユニセフは「過去30年間で最大の後退だ」と警鐘を鳴らしています。

 2023年6月6日(火)

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