■胃酸分泌抑制剤の長期服用、胃がんリスク高める 東大などが解明 [健康ダイジェスト]
東京大学と朝日生命成人病研究所の研究チームは、胃酸の分泌を抑える薬の一種を長期にわたって服用すると、胃がん発症のリスクが高まるとの研究成果をまとめました。この薬は逆流性食道炎などの消化器症状の治療に用いられており、適正な服用期間の判断に役立つ成果です。
研究成果は、国際医学誌の電子版に掲載されました。胃がんはピロリ菌の感染が主な原因とされ、除菌によって発症を抑制できる一方、除菌後も胃がんを発症する患者が一定数おり、原因の解明が進められています。
研究チームが調べたのは、「カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(PーCAB)」と呼ばれる胃酸分泌抑制剤の一種です。世界に先駆けて2015年に日本で発売され、それまで主流だった抑制剤「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」とは異なる仕組みで、より強く胃酸分泌を抑える効果があります。
先行研究でPPIの長期服用による胃がん発症リスクが指摘されており、PーCABについても分析しました。国内患者1100万人ぶんの診療データから、約5万4000人のピロリ菌除菌患者を抽出し、半年以上にわたってPーCABとPPIをそれぞれ服用していた患者の胃がん発症リスクを調べました。
胃がんリスクと関連しないとされる別の抑制剤の服用患者と比較したところ、PーCAB服用患者のほうが胃がんの発症リスクが高いことが統計的にわかりました。服用期間が長く、用量が多いほどリスクが上昇することも示されました。
PーCABとPPIの服用患者で比較したところ、統計的に大きな差はなく同程度の発症リスクを有していることがわかりました。胃酸分泌抑制剤の服用によって胃にすみ着く細菌の種類が変化して、胃がん発症リスクの上昇につながっている可能性があるといいます。
朝日生命成人病研究所の新井絢也主任研究員は、「長期服用が必要な場合は内視鏡検査を定期的に受けるなど、(胃がんの)早期発見につなげるフォローも重要だ」と話しました。
2024年3月8日(金)
研究成果は、国際医学誌の電子版に掲載されました。胃がんはピロリ菌の感染が主な原因とされ、除菌によって発症を抑制できる一方、除菌後も胃がんを発症する患者が一定数おり、原因の解明が進められています。
研究チームが調べたのは、「カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(PーCAB)」と呼ばれる胃酸分泌抑制剤の一種です。世界に先駆けて2015年に日本で発売され、それまで主流だった抑制剤「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」とは異なる仕組みで、より強く胃酸分泌を抑える効果があります。
先行研究でPPIの長期服用による胃がん発症リスクが指摘されており、PーCABについても分析しました。国内患者1100万人ぶんの診療データから、約5万4000人のピロリ菌除菌患者を抽出し、半年以上にわたってPーCABとPPIをそれぞれ服用していた患者の胃がん発症リスクを調べました。
胃がんリスクと関連しないとされる別の抑制剤の服用患者と比較したところ、PーCAB服用患者のほうが胃がんの発症リスクが高いことが統計的にわかりました。服用期間が長く、用量が多いほどリスクが上昇することも示されました。
PーCABとPPIの服用患者で比較したところ、統計的に大きな差はなく同程度の発症リスクを有していることがわかりました。胃酸分泌抑制剤の服用によって胃にすみ着く細菌の種類が変化して、胃がん発症リスクの上昇につながっている可能性があるといいます。
朝日生命成人病研究所の新井絢也主任研究員は、「長期服用が必要な場合は内視鏡検査を定期的に受けるなど、(胃がんの)早期発見につなげるフォローも重要だ」と話しました。
2024年3月8日(金)
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