■マダニ媒介感染症「SFTS」治療薬に「アビガン」正式承認の見通し [健康ダイジェスト]
マダニにかまれることで発症する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の治療薬として、厚生労働省の専門家部会は、抗インフルエンザ薬「アビガン」の適応を広げて使用を認めることを24日、了承しました。今後、厚労省が正式に承認する見通しで、承認されれば、SFTSへの世界で初めての治療薬となります。
使用が了承されたのは、抗インフルエンザ薬として開発された富士フイルム富山化学のアビガンで、適応を広げてSFTSの治療薬として了承されました。
SFTSは、主にウイルスを持つマダニにかまれることで起きる感染症で、発熱や下痢などを引き起こしますが、これまでは有効な治療薬がなく、厚労省によりますと、国内では致死率が10%から30%に上るとされています。
アビガンは、10年前に抗インフルエンザ薬として承認され、政府が備蓄している薬です。
動物実験で胎児に奇形が出る恐れがあることが判明したため、妊婦や妊娠している可能性がある人には使えません。
薬を開発した富士フイルム富山化学は、SFTSにも効果があるというデータが確認されたとして、昨年8月に、厚労省に対し、承認申請を行っていました。
24日、開かれた厚労省の専門家部会は、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を了承したということです。
今後、厚労省が正式に承認する見通しで、承認されれば、SFTSへの世界で初めての治療薬となります。
国立感染症研究所によりますと、SFTSは、国内では2023年1年間の速報値で過去最多の133人の感染が報告され、このうち9人が死亡しています。
また、2013年3月以降では、2024年4月までに963人の感染が報告され、このうち106人が死亡しているということです。
マダニの活動が活発になる春から秋にかけて患者が多く報告されますが、国立感染症研究所によりますと、マダニ以外でも感染したイヌやネコから飼い主や獣医師が感染したケースが複数報告されています。
さらに、昨年には国内で初めてとなる人から人への感染も起きています。
このケースでは、SFTSに感染した患者の治療に当たった医師が、最初の接触から11日後に発熱し、SFTSと診断されましたが、医師は診断前の診察の時に手袋をしておらず、患者が死亡した後の処置ではゴーグルを着けていなかったということで、患者の血液や目の粘膜を介して感染した可能性が指摘されています。
国の研究班が作成したSFTSの治療の手引きや国立感染症研究所によりますと、これまで有効性が確立している抗ウイルス薬やワクチンはなく、治療法は対症療法しかないとされています。
新たに治療薬が承認される見込みとなったことについて、手引きの作成に携わった国際医療福祉大学成田病院の加藤康幸教授は、「今まで治療薬が全くなかった致死率の高い病気に治療薬が登場することに意義はあるが、重症になりやすい70歳以上の人などではこの薬を使えば必ず助けられるというわけではなく、引き続き全身状態の管理が治療の中心になるだろう」と話しました。
その上で、「SFTSに感染したイヌやネコから感染することもあるので、ペットの体調が悪ければ獣医師の診察を受けて、感染対策をとってほしい」と話しています。
2024年5月24日(金)
使用が了承されたのは、抗インフルエンザ薬として開発された富士フイルム富山化学のアビガンで、適応を広げてSFTSの治療薬として了承されました。
SFTSは、主にウイルスを持つマダニにかまれることで起きる感染症で、発熱や下痢などを引き起こしますが、これまでは有効な治療薬がなく、厚労省によりますと、国内では致死率が10%から30%に上るとされています。
アビガンは、10年前に抗インフルエンザ薬として承認され、政府が備蓄している薬です。
動物実験で胎児に奇形が出る恐れがあることが判明したため、妊婦や妊娠している可能性がある人には使えません。
薬を開発した富士フイルム富山化学は、SFTSにも効果があるというデータが確認されたとして、昨年8月に、厚労省に対し、承認申請を行っていました。
24日、開かれた厚労省の専門家部会は、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を了承したということです。
今後、厚労省が正式に承認する見通しで、承認されれば、SFTSへの世界で初めての治療薬となります。
国立感染症研究所によりますと、SFTSは、国内では2023年1年間の速報値で過去最多の133人の感染が報告され、このうち9人が死亡しています。
また、2013年3月以降では、2024年4月までに963人の感染が報告され、このうち106人が死亡しているということです。
マダニの活動が活発になる春から秋にかけて患者が多く報告されますが、国立感染症研究所によりますと、マダニ以外でも感染したイヌやネコから飼い主や獣医師が感染したケースが複数報告されています。
さらに、昨年には国内で初めてとなる人から人への感染も起きています。
このケースでは、SFTSに感染した患者の治療に当たった医師が、最初の接触から11日後に発熱し、SFTSと診断されましたが、医師は診断前の診察の時に手袋をしておらず、患者が死亡した後の処置ではゴーグルを着けていなかったということで、患者の血液や目の粘膜を介して感染した可能性が指摘されています。
国の研究班が作成したSFTSの治療の手引きや国立感染症研究所によりますと、これまで有効性が確立している抗ウイルス薬やワクチンはなく、治療法は対症療法しかないとされています。
新たに治療薬が承認される見込みとなったことについて、手引きの作成に携わった国際医療福祉大学成田病院の加藤康幸教授は、「今まで治療薬が全くなかった致死率の高い病気に治療薬が登場することに意義はあるが、重症になりやすい70歳以上の人などではこの薬を使えば必ず助けられるというわけではなく、引き続き全身状態の管理が治療の中心になるだろう」と話しました。
その上で、「SFTSに感染したイヌやネコから感染することもあるので、ペットの体調が悪ければ獣医師の診察を受けて、感染対策をとってほしい」と話しています。
2024年5月24日(金)
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