■高齢者の運転免許自主返納が4年連続で減少 死亡事故は3年連続増加 [健康ダイジェスト]
65歳以上の高齢者の事故防止対策として、警察が長年推奨してきた「運転免許の自主返納」が、2019年の57万件をピークに4年連続で減少しています。バスなど公共交通網の衰退が続き、返納を勧めても買い物や通院などでマイカーが必要だと訴える高齢者が多く、警察や自治体は近年、高齢者の安全運転支援にも力を入れるようになりました。
大阪府警は昨年10月から、高齢者講習時に信号無視など危険な運転をしていた人らに働き掛け、日頃の運転状況を自分で確認してもらう取り組みを始めました。免許返納を促しても生活に必要だとして断られることが多く、ドライブレコーダー(ドラレコ)を約2週間貸し出し、後日、一緒に映像を見て改善点を指導しています。府警幹部は「返納を訴えるだけでは限界がある。最近は、危険性を具体的に自覚してもらい、安全運転につなげる対策が必要になってきた」と話しています。
警察庁によると、75歳以上のドライバーによる死亡事故は昨年384件発生。3年連続の増加で、免許保有者10万人当たりの件数は75歳未満の約2倍に達します。ブレーキとアクセルの踏み間違いが多いといいます。
一方、65歳以上の免許自主返納の動きは鈍っています。警察や自治体は、運転経歴証明書によるバスやタクシーの割引制度などで返納を後押ししてきたものの、東京都の池袋で乗用車が暴走して2人が死亡した事故が起きた2019年の57万5559件をピークに減少が続いています。
コロナ禍での外出自粛のほか、公共交通網の弱体化も影響しているとみられます。国土交通省によると、慢性的な赤字や人手不足で、全国の路線バスは2008~2022年度に2万キロ以上が廃止。鉄道では2000~2023年に46路線が廃止されました。特に路線バスは廃業する事業者も出ています。
車の運転は「認知→判断→操作」の3要素で成り立ち、例えば、交差点では赤信号を「認知」し、停止の必要性を「判断」してブレーキを踏む「操作」を行います。ただ、高齢になると認知機能が低下して判断に遅れが生じる上、身体能力の低下で操作ミスが起きやすくなる。長年運転してきた「自信」が「過信」につながりやすくもなります。
AI(人工知能)を活用して安全運転の研究をしている福岡国際医療福祉大の堀川悦夫教授(認知神経心理学)は、「高齢者は、長年の運転で悪い癖が染みついていることが多く、運転能力の低下に自分で気付きにくい」と指摘。長く安全運転を続けてもらうためには「運転能力を得点化するなど、目に見える形で伝えて改善を促すことが重要だ」と話しています。
2024年6月13日(木)
大阪府警は昨年10月から、高齢者講習時に信号無視など危険な運転をしていた人らに働き掛け、日頃の運転状況を自分で確認してもらう取り組みを始めました。免許返納を促しても生活に必要だとして断られることが多く、ドライブレコーダー(ドラレコ)を約2週間貸し出し、後日、一緒に映像を見て改善点を指導しています。府警幹部は「返納を訴えるだけでは限界がある。最近は、危険性を具体的に自覚してもらい、安全運転につなげる対策が必要になってきた」と話しています。
警察庁によると、75歳以上のドライバーによる死亡事故は昨年384件発生。3年連続の増加で、免許保有者10万人当たりの件数は75歳未満の約2倍に達します。ブレーキとアクセルの踏み間違いが多いといいます。
一方、65歳以上の免許自主返納の動きは鈍っています。警察や自治体は、運転経歴証明書によるバスやタクシーの割引制度などで返納を後押ししてきたものの、東京都の池袋で乗用車が暴走して2人が死亡した事故が起きた2019年の57万5559件をピークに減少が続いています。
コロナ禍での外出自粛のほか、公共交通網の弱体化も影響しているとみられます。国土交通省によると、慢性的な赤字や人手不足で、全国の路線バスは2008~2022年度に2万キロ以上が廃止。鉄道では2000~2023年に46路線が廃止されました。特に路線バスは廃業する事業者も出ています。
車の運転は「認知→判断→操作」の3要素で成り立ち、例えば、交差点では赤信号を「認知」し、停止の必要性を「判断」してブレーキを踏む「操作」を行います。ただ、高齢になると認知機能が低下して判断に遅れが生じる上、身体能力の低下で操作ミスが起きやすくなる。長年運転してきた「自信」が「過信」につながりやすくもなります。
AI(人工知能)を活用して安全運転の研究をしている福岡国際医療福祉大の堀川悦夫教授(認知神経心理学)は、「高齢者は、長年の運転で悪い癖が染みついていることが多く、運転能力の低下に自分で気付きにくい」と指摘。長く安全運転を続けてもらうためには「運転能力を得点化するなど、目に見える形で伝えて改善を促すことが重要だ」と話しています。
2024年6月13日(木)
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