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■認知症の早期発見へ、1万人の行動分析 新薬「レカネマブ」での治療が始まり重要性高まる [健康ダイジェスト]

 認知症のリスクを早期に見付け、医療機関につなげる効果的な方法を探す実証研究を、厚生労働省が今月にも本格的に始めます。全国36自治体で約1万人に認知症の「スクリーニング検査」の受検を呼び掛け、その後の行動を調べることで、何が医療機関への受診の障害となっているかを把握します。昨年12月に治療が始まったアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」の投与対象は早期患者に限られており、早期発見の重要性が高まっている。
 実証研究は、国立長寿医療研究センター(愛知県)が主導する厚労省の研究班が行います。札幌市や川崎市、愛知県半田市、兵庫県たつの市などの参加自治体は、主に60歳以上の住民に、日付や今いる場所を質問したり、簡単な計算をさせたりする無料の検査を受けるよう、広報紙やポスターなどで呼び掛けます。
 検査は、検診会場や自宅で、スマートフォンを使うなどして受けます。認知症や、前段階の軽度認知障害(MCI)の疑いがある人には、医療機関の受診を促します。
 チームは各自治体で検査を受けた人数のほか、(1)治療を受けた(2)ケアなど必要な支援に結び付いた(3)受診しなかった、などのケースについて人数やその理由を分析すします。患者や家族からの聞き取りも踏まえて、医療機関での受診や相談、予防に向けた活動を妨げている要因を見極めます。
 受診率などがよかった自治体の仕組みを参考に、効果的な方法をまとめた手引を2024年度中に作成。2025年度以降は、各地での取り組みに活用してもらいます。
 東北大と同センターは、7種類の認知機能検査と血液検査を約1000人に受けてもらい、早期診断に効果的な手法を調べる実証研究も行います。検査には、医師らと対面で行う、スマホのアプリで行う、目の動きで認知機能を測る機器を使う、などさまざまなタイプがあります。すべて受けてもらい、どういった手法が効果的なのか検討します。
 厚労省は、実証研究の費用として、2023年度補正予算に5億円を計上しています。
 九州大などの研究チームは5月、2025年の国内の認知症高齢者は471万人、MCIは564万人になるとする推計結果を公表しました。2040年には合わせて約1200万人に増加する見込みですが、現状では認知症の指摘を受けても医療機関につながらないケースも多く課題になっていました。
 国立長寿医療研究センターの桜井孝・研究所長は、「研究を通じて、誰もが地域で検査を受けて、疑いがある場合は早期に適切な医療やケアにつなげられる社会システムを作ることを目指したい」と話しています。

 2024年6月17日(月)

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