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■指定難病の腎疾患「IgA腎症」、腸内バリアー機能低下が原因 福島大など初解明  [健康ダイジェスト]

 福島大食農学類付属発酵醸造研究所と慶応大などの研究チームは、腸を覆う細胞のバリアー機能の破綻が、腎臓に異常なタンパク質が沈着し慢性腎炎になる指定難病の腎疾患「IgA腎症」の原因になることを世界で初めて解明しました。バリアー機能が破綻されると、抗体が腸内細菌と結び付いて正常に働かずに疾患を引き起こすことがわかり、抗生物質で腸内細菌を制御したり、食生活で腸内環境を改善したりすることが予防や治療につながることが明らかになりました。
 両大などが5日発表しました。食農学類付属発酵醸造研究所特任教授で、慶応大薬学部生化学講座の長谷耕二教授らの研究チームが解明しました。研究では、腸のバリアー機能を保つための物質の一つ「APー1B複合体」を欠損させたマウスを調べました。
 その結果、腸内の物質が体内に入り込み腸外のさまざまな病気と関連すると考えられる「腸漏れ(リーキーガット)」の特徴がみられました。さらに、抗体機能を持つタンパク質の一つ「IgA」が腎臓の糸球体(老廃物をろ過する器官)に沈着したり、糖類が付く異常がみられたりと、「IgA腎症」の原因とされる症状が現れました。これらの症状は抗生物質によって抑制でき、腸内細菌の制御が治療に有効なことも示されたといいます。
 研究所の松田幹所長は、「今後の研究の発展により、IgA腎症のメカニズムの解明や、新しい治療法の確立が期待される」としています。研究成果は7月25日付で国際学術誌に掲載されました。

 2024年8月6日(火)

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