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■運輸業、過労死ライン超え12・7% 芸術・芸能分野も長時間労働 [健康ダイジェスト]

 政府は11日、2024年版の「過労死等防止対策白書」を閣議決定しました。業種別の労働時間を調べたところ、「運輸業・郵便業」では12・7%が、1カ月当たりの残業時間が過労死ラインとされる80時間を上回っていました。芸術・芸能分野では、スタッフの間に長時間労働が広がっていることが確認された。
 業種別の労働時間は全国の労働者8626人を対象に、2023年12月時点の状況を調べました。運輸業・郵便業では、1週間の労働時間が「60時間以上」と答えた割合が12・7%と最も高く、全体平均を7・2ポイント上回りました。宿泊業・飲食サービス業(9・3%)、建設業(8・7%)が続きました。
 週60時間働くと月の残業時間は80時間に相当します。厚生労働省によると、過労死ラインを超えると、業務により健康を損なうリスクが高まります。職種別に分けたデータでも「輸送・機械運転従事者」は19・7%が週60時間以上働いていると答えました。
 業種別の労働時間調査は2022年版の白書から始まり、今回で3年目です。運輸業・郵便業で週60時間以上働く人の割合は3年で2・1ポイント下がったものの、他業種と比べて下げ幅は小さくなっています。2022年版で週60時間以上の割合が最も高かった宿泊業・飲食サービス業は、3年で6ポイント改善しました。
 トラックドライバーは3月まで、残業時間の上限を定めた働き方改革関連法の対象外でした。荷物の積み下ろしなどに時間がかかり、人手不足もあいまって労働時間が長くなりがちです。2010〜2021年度までに脳や心臓疾患により過労死など労災認定を受けた人数は運輸業・郵便業が最多の1032人で、2位の卸売業・小売業(438人)の倍以上でした。
 4月からトラックドライバーも残業時間が年960時間に制限されるようになり、現場は労働時間の削減に動いています。運送大手のヤマト運輸ではデジタル技術の活用による省力化などにより「残業時間の上限規制に対する対応は完了した」(担当者)といいます。5月には他の物流事業者と共同配送網をつくるための新会社も設立しました。
 契約金額で十分な利益を得られないことが「よくある」と答えた事業者の割合は、運輸業・郵便業では15・4%でした。利益が圧迫されるとドライバーを集める人件費の確保が難しくなるため、荷主側の意識改革も必要です。
 2024年版の白書では新たに、芸術・芸能分野の映像監督や脚本家、技術スタッフなどの働き方を調べました。2023年10〜12月を対象に、488人の回答を集めました。
 芸術・芸能分野のスタッフのうち35・2%で、拘束時間が過労死ラインを超える週60時間以上と答えました。特にカメラマンや音響といった技術スタッフでは46・2%でした。スケジュール上の休みが週1日に満たない(月0〜3日)との回答は全体の27%。30・5%の人でうつや不安障害の疑いがありました。
 作品制作や公演の準備などで拘束時間が長くなる傾向にある上、労働時間規制が適用されないフリーランスが多いことも影響しているとみられます。今回の調査でも回答者の62・3%がフリーランスでした。
 厚労省の担当者は、「11月施行のフリーランス保護の新法なども踏まえて対策に取り組む」(労働基準局)としています。
 政府の過労死防止大綱では2021年から芸術や芸能分野で長時間労働が広がっている点を指摘しており、2023年版の白書では俳優や音楽家などの労働環境をまとめていました。

 2024年10月11日(金)

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