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■健康IoT機器やアプリ、働く女性の8割が未経験  [健康ダイジェスト]

 多くの人がパソコンやスマートフォンなどインターネットでつながる「IoT機器」を利用するようになり、健康や医療に関する特定の機能を持った機器、アプリも増えました。東京大と聖路加国際大の研究チームは、これらの利用実態を初めて調査しました。働く女性で利用未経験の人が約8割に上り、利用者が抱える健康課題と利用目的にギャップがあることも明らかになりました。研究チームは、「女性特有の心身の状態に適した機能を選び、上手に利用してほしい」としています。 
 IoT機器や、それに搭載する健康や医療に関するアプリは急速に進歩し、食生活や体重、運動、女性の月経や妊活など、多くの分野で実用化しました。ただ、利用実態に関する調査は乏しく、製品の質も玉石混交です。有効性や安全性、使いやすさ、セキュリティーなどの評価基準も定まっていません。
 斎藤英子東京大准教授(医療経済学)、大田えりか聖路加国際大教授(国際看護学)らは昨年2〜3月、20~64歳の女性1万人を対象としてこれらの機器、アプリの利用実態を調べました。
 正規か非正規か、夜勤はあるかなどの勤務形態や、日ごろ困っている健康課題、利用経験の有無やその目的、満足度などについてインターネットを通じて尋ねた結果「現在利用している」人が15%、「過去に利用したことがある」人が7%で、約8割は利用したことがありませんでした。
 研究チームの一人で東京大サステイナブル社会デザインセンターの笹山桐子特任研究員(看護学)は、「機器の急速な普及に比べて、想像以上に低調だった」と評価しています。
 笹山さんによると、利用経験のある機器、アプリでは、経験者の35%がユーチューブやフェイスブックなどの交流サイト(SNS)を利用していました。運動はユーチューブを見ながらという人が多く、フェイスブックで運動グループをつくるなどの利用方法もありました。
 ほかには「ダイエットの支援」「医療データの記録と療養支援」「エクササイズの支援と記録」「月経・妊活」「総合健康支援」などのアプリで利用者が多くなりました。
 ただ、必要性と実際に使った機能の間にギャップがありました。例えば月経関連の症状や疾患、月経前症候群(PMS)のある割合はそれぞれ利用者の28%、25%でしたが、それに対応する機能を持つ機器やアプリの利用は17%、12%にとどまりました。
 大田さんは、「まずは、体重、睡眠、歩数など日常生活の可視化から始めてはどうか。何かしらの生活習慣の改善が必要と感じた時、自分に合った信頼できる端末やアプリを見付け、試してほしい」とアドバイスしています。

 2024年11月5日(火)

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