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■多数の遺伝性疾患を対象とした網羅的検査法を開発、新生児期診断へ一歩 「かずさDNA」と京大が共同研究  [健康ダイジェスト]

 かずさDNA研究所(千葉県木更津市)と京都大学は共同で、少量の血液をろ紙にしみ込ませ乾燥させた「乾燥ろ紙血」に含まれるタンパク質を調べることで、免疫にかかわる遺伝性疾患を新生児期に診断できる可能性を示しました。同研究所が11月1日発表。10月25日に国際学術誌「Journal of Clinical immunology」にオンライン掲載されました。
 日本では、先天性代謝異常などの病気を見付けるため、すべての赤ちゃんを対象に「新生児マススクリーニング」が行われています。これまでは、乾燥ろ紙血の中に含まれる多くのタンパク質を種類ごとに測定することは困難で、診断できる病気が限られていました。
 京大大学院医学研究科の八角高裕特定教授らの共同研究グループは、乾燥ろ紙血を測定しやすいよう血液中に大量にあるタンパク質・アルブミンなどを除去する処理を施し、体内で作られるすべてのタンパク質を一度に詳しく調べられるプロテオミクスと呼ばれる解析法で調べました。
 実際の新生児スクリーニングに使用された健康な赤ちゃんの乾燥ろ紙血40枚では、約3000種類のタンパク質を安定的に測定できることがわかりました。その中には、病気との関係がわかっている1000種類以上のタンパク質、このうち、免疫系の病気や神経系、血液系の病気にかかわる数百種類のタンパク質も見付かりました。
 次に、一対の遺伝子両方に変異があると発病する常染色体潜性や、X染色体上の遺伝子変異によって引き起こされる「X連鎖性」の遺伝形式の病気を持つ患者から、乾燥ろ紙血を提供してもらって調べました。すると、原因となる遺伝子が作るタンパク質の量が、健康な人と比べて大きく減っている測定結果が出ました。
 また、特定の血液細胞が減少したり機能が異常となる病気で、その細胞に多く含まれるタンパク質や、細胞の働きにかかわるタンパク質も少なくなっていることが確認されたといいます。
 遺伝子変異が原因で起きる遺伝性疾患は進行すると治療が難しくなりがちで、早期に見付けて治療することが重要。今回の発見で、これまで発症するまで見付けられなかった遺伝性疾患を新生児期に診断できる可能性が示され、発症前に適切に治療できるようになることが期待されています。

 2024年11月10日(日)

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