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■筋ジストロフィー向け核酸医薬、マウスで運動機能が改善 東京科学大学など [健康ダイジェスト]

 東京科学大学の横田隆徳教授と永田哲也教授らは筋肉が衰える遺伝性難病の筋ジストロフィー向けに、骨格筋や心筋の遺伝子の働きを改善する「核酸医薬」の新技術を開発しました。マウスの実験で運動や心臓の機能が正常なレベルに戻りました。既存の核酸医薬よりも効果の高い新薬候補として実用化を目指します。
 東京慈恵会医科大学や東京大学、武田薬品工業と共同で、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療薬候補を開発しました。研究成果をまとめた論文はイギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されました。
 DMDは筋肉の細胞に必要なジストロフィンというタンパク質の遺伝子の変異によって正常なジストロフィンができず、筋肉が衰える病気です。患者は次第に車椅子での生活や寝たきりとなり、20〜40歳ごろに呼吸不全や心不全で亡くなります。
 近年、ジストロフィンの遺伝子の働きを修正する核酸医薬が複数登場していますが、心不全を防ぐ効果は期待できず、骨格筋への効果も限定的でした。
 研究チームは核酸医薬に使われている「PMO」という人工的な核酸に、RNA(リボ核酸)が相補的にくっついた新型の「ヘテロ核酸」を開発しました。ヘテロ核酸の配列はジストロフィンの遺伝子の働きを修正するように設計しています。RNAの端に脂質を付けることで、筋肉や脳の細胞にヘテロ核酸が効率よく届くようにしました。
 DMDを再現したマウスに投与する実験では通常のPMOと比べ、新型のヘテロ核酸は心筋や骨格筋の組織に届く効率が150〜280倍に上がりました。運動機能や心電図などの異常は正常なレベルに改善しました。
 研究チームはヘテロ核酸は他の遺伝性疾患やがんに対しても、遺伝子の働きを修正する新たな治療技術になると期待しています。DMD以外の治療薬候補の研究も進めます。

 2025年1月5日(日)

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