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■異常なミトコンドリアの細胞間移動、がん免疫療法の妨げに 岡山大 [健康ダイジェスト]

 岡山大学の冨樫庸介教授らは、がん細胞の持つ異常なミトコンドリアが免疫細胞へ移動すると、免疫の力でがんを治療する免疫療法が効きにくくなることを発見しました。異常なミトコンドリアを持つ免疫細胞は働きが弱まりました。免疫療法が効きやすい人を薬の投与前に見分ける技術の開発につながるとみています。
 千葉県がんセンターなどとの共同研究の成果をまとめた論文が23日、イギリスの科学誌「ネイチャー」に掲載されました。
 ミトコンドリアは細胞内にある器官で、生物のエネルギー源になるアデノシン三リン酸(ATP)を合成する役割があります。細胞の持つDNAとは異なる独自のDNAを持ち、がん細胞の一部はミトコンドリアのDNAが変異しているとわかっています」。
 研究チームはがん細胞の周りにいるT細胞などの免疫細胞も、ミトコンドリアのDNAに変異があることに注目しました。皮膚がん患者などのがん細胞とT細胞を比べると、約4割の患者で両方の細胞のミトコンドリアに同じ変異がありました。
 これらの細胞を一緒に培養すると、がん細胞からT細胞へミトコンドリアが移動しました。T細胞の一部はもともと持っていたミトコンドリアが減り、がん細胞からきたミトコンドリアに置き換わりました。
 免疫療法の一種にはT細胞の働きを抑えるブレーキを外してがんを攻撃させる「免疫チェックポイント阻害剤」があります。この治療を受けた患者を調べると、がん組織中のミトコンドリアに変異がある人は治療効果が長続きせず生存率も悪いとわかりました。異常なミトコンドリアがT細胞に移動して働きを抑え、治療効果を弱めている可能性があります。
 免疫チェックポイント阻害剤は患者の数割に対して効果がみられないことが課題です。患者のミトコンドリアに変異があるか事前に調べれば、効きにくい人を見分けて投与を避け、別の治療を実施して生存率を高められる可能性があります。ミトコンドリアが細胞間を移動する現象は近年発見され、生体内で果たす役割の研究が進んでいます。

 2025年1月23日(木)

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