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■予防接種のミス、2016度は6602件 半数が接種間隔の間違い、厚労省が公表 [健康ダイジェスト]

 麻疹(ましん)や風疹、日本脳炎などのワクチンの定期接種で起きたミスが2016年度に、前年度比434件増の6602件(10万回当たりの率15・14)あったと厚生労働省が10日までに、発表しました。
 報告制度が始まった2013年度には4596件(10万回当たりの率11・7)でしたが、その後は3年連続で増えています。報告制度の定着が背景にあると厚労省はみています。
 医療機関内や集団接種の会場で起きたケースをまとめたもので、厚労省が有識者会議で報告しました。最も多かったのは、次の接種までに空けねばならない「接種間隔の間違い」で3475件。接種回数の誤りや予定と違うワクチンを接種した「不必要な接種」が797件、兄弟を取り違えるなど「対象者の誤認」が549件と続きました。
 「接種量の間違い」は203件、「期限切れワクチンの使用」は193件、「ワクチンの種類の間違い」は136件、「その他(対象年齢外の接種、溶解液のみの接種など)」は1212件ありました。
 使用ずみの注射器・注射針を使ったり、医師の指に注射針が触れて傷ができたことに気付かず、その針で乳児に接種したりするなど「血液感染を起こし得るもの」は11件ありました。いずれも健康被害は報告されていないといいます。
 厚労省は、予防接種法に基づき、重大な健康被害につながる恐れがあったミスのほか、健康被害の可能性が低いミスも報告するよう自治体に求めています。
 一方、予防接種の注意点をまとめたリーフレット「予防接種における間違いを防ぐために」を作って自治体や医療機関に配布したり、医師や看護師向けの予防接種従事者研修を行って、再発防止を図っています。

 2017年10月15日(日)

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■用語 溢流性尿失禁 [用語(あ行)]

[トイレ]排尿障害があって十分に排尿できないために起こる残尿の一時的な漏れ
 溢流(いつりゅう)性尿失禁とは、排尿障害があって十分に排尿できず、常に膀胱が伸展しているために、一時的な少量の漏れを示す尿失禁。
 尿失禁というと、尿を流す部分が緩んで垂れ流しになることと思われがちですが、一時的な漏れではなく、一日中、常に漏れ続ける失禁は真性尿失禁、または全尿失禁と呼び、代表例として挙げられるのは尿管開口異常などの先天性尿路奇形によって常に尿が漏れているもの、または手術などの際、尿道括約筋を完全に損傷したものです。
 一方、一時的な漏れを示す溢流性尿失禁は、排尿障害があって尿が出にくい状態になっているのに尿が漏れるものです。尿が出にくくても、新しい尿は腎臓(じんぞう)から次々に膀胱(ぼうこう)に送られてくるのでたまっていき、膀胱がいっぱいになると尿がチョロチョロと少量ずつあふれて出てきます。
 この症状は、前立腺(ぜんりつせん)肥大症による下部尿路閉塞(へいそく)が原因となることが多いので、中高年男性に多くみられます。
 前立腺肥大症による排尿トラブルは、膀胱への刺激による頻尿から始まります。前立腺は膀胱から出てすぐの尿道を取り巻いているので、前立腺肥大によって膀胱の出口や尿道への刺激が強くなり、夜中に何度も排尿のために起きるというような頻尿が始まります。同時に、会陰(えいん)部の不快感や圧迫感、尿が出にくいといった症状も現れます。
 次に、排尿に際して尿が出切らずに、膀胱にたまる残尿が発生するようになります。この段階では排尿障害が次第に強くなり、息んで腹圧をかけないと出ないようになってきます。さらに、肥大した前立腺によって尿道が狭くなっていくと、慢性尿閉となります。残尿が多くなって膀胱は尿が充満した状態になり、尿意を感じなくなって気付かないうちに尿が少量ずつあふれて漏れる溢流性尿失禁の状態になります。
 ほかには、女性が子宮がんを手術した後、糖尿病や脳血管障害で膀胱が収縮しなくなった場合に、溢流性尿失禁がみられます。
 女性の場合は尿が出やすい体の構造なので、男性に比べて溢流性尿失禁の状態になるケースはまれですが、子宮がんや直腸がんの手術の後で一時的に膀胱が収縮しなくなった場合、大きな子宮筋腫(きんしゅ)で膀胱の出口が圧迫され尿閉になった場合、子宮脱や子宮下垂などで尿道が開きづらくなった場合に、溢流性尿失禁がみられます。
 また、糖尿病や脊髄(せきずい)損傷、脳血管障害などによって、膀胱を中心とする末梢(まっしょう)神経系が器質的に傷害されると、膀胱が収縮しなくなる神経因性膀胱となり、たまった尿があふれて漏れる溢流性尿失禁がみられます。糖尿病では知覚がまひするために、尿意を感じないまま膀胱が膨らんで、1000ミリリットルもたまることがあります。
 溢流性尿失禁がみられると、下着がぬれる、臭いが気になるなど、しばしば不快感を覚えることになります。最近は尿パッドも普及してきましたが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。
 溢流性尿失禁を放置していると、膀胱にたまっている尿に細菌が繁殖して尿路感染症や腎機能障害などを起こしたり、腎不全になることもあります。症状がみられたら、泌尿器科、ないし婦人科など専門医を受診してください。
[トイレ]溢流性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科、ないし婦人科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、溢流性尿失禁の原因を確定します。一般的には問診、尿検査、超音波検査、血液検査、尿流動態(ウロダイナミクス)検査(膀胱内圧、腹圧、排尿筋圧、外尿道括約筋活動、尿流量測定)、尿路造影検査、内視鏡検査などを行って、溢流性尿失禁の原因を探ります。
 泌尿器科、ないし婦人科の医師による治療は、溢流性尿失禁の原因になる疾患の種類によって異なり、基礎疾患があればその治療が第一です。前立腺肥大症や子宮脱、子宮下垂と診断すれば、その治療を行います。また、必要に応じて膀胱を収縮させる薬を用いることもあります。
 前立腺肥大症が溢流性尿失禁の原因の場合は、症状が軽い場合は薬物療法から始め、症状がひどい場合や合併症を引き起こしている場合は手術療法を行います。
 神経因性膀胱が溢流性尿失禁の原因の場合は、治療が可能ならばまず基礎疾患に対して行いますが、神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、薬物療法、排尿誘発、自己導尿法などで排尿効率を高めることになります。
 自己導尿法は、尿が出にくく残尿が多い場合に、1日に1〜2回、清潔なカテーテルを自分で膀胱内に挿入し、尿を排出させるものです。 これで、とりあえず症状は改善し、外出も容易になります。

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