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■一般病院の2割で入院患者の自殺が発生 半数ががん患者 [健康ダイジェスト]

 精神科病床のない一般病院の約2割で入院患者の自殺が発生し、約半数ががん患者だったことが、日本医療安全調査機構(東京都千代田区)の認定病院患者安全推進協議会の調査で明らかになりました。
 協議会は「入院患者の自殺は病院内の主要な医療事故の一つ」とし、精神面の不調のチェックやケア、自殺が起こりやすい場所の施錠や研修の実施など、予防や対応の提言を公表しました。
 調査は2015年秋、同協議会の会員1376病院を対象に調査票を郵送で送り、38%の529病院から回答がありました。
 その結果、同年3月までの過去3年間に自殺が発生したのは、432の精神科のベッドがない一般病院のうち、19%に当たる83病院で、外出中や外泊中を含めて計107人が自殺していました。主な病気別ではがんが52人で約半数を占め、消化器や脳神経の病気がともに8人で続きました。自殺した患者のうち、46人でがんの痛みなど身体症状の悪化などがみられ、31人で「死にたい」など自殺に関連する発言がありました。
 一方、精神疾患がある患者の自殺リスクは高く、63の精神科病床のある一般病院のうち、67%当たる42病院で、34の精神科病院のうち、79%当たる27病院で、それぞれ計74人、計81人が自殺していました。
 自殺の場所は、一般病院では病棟内が半数以上を占め、病室や高所のほか、トイレなどの人目のつきにくいところでも多く起こっていました。また、自殺の直前に、痛みや呼吸のしにくさが増したり、抑うつや興奮、不安などの精神症状が悪化したりしていました。
 精神科病床のない一般病院で、自殺予防対策を実施しているのは53%にとどまり、自殺予防対策を学ぶ講習会を開いているのは約1割でした。一方、精神科病床のある一般病院は83%、精神科病院は91%が自殺予防対策を実施していました。
 協議会の提言では、多くの患者が自殺の直前に「死にたい」と口にするなど、助けを求めるサインを発しており、患者の苦しみに傾聴し、具体的な支援を開始すべきだとし、がん患者は告知後の自殺率が高いため、自殺予防を念頭に置いた対応が必要としています。
 調査や提言作成にかかわった河西千秋・札幌医科大学主任教授(精神医学)は、「一般病院でも相当数の自殺が起こっている。特にがん患者はさまざまな診療科で診ており、自殺予防対策はすべての診療科にかかわる問題だ」と話しています。

 2017年10月17日(火)

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