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■病気腎移植、先進医療として条件付きで承認 厚労省部会、徳洲会病院申請に [健康ダイジェスト]

 厚生労働省の先進医療技術審査部会は19日、腎臓がんなどの患者から摘出した腎臓の病巣を取り除いて別の患者に移植する「病気腎移植(修復腎移植)」を、先進医療として認めることを決めました。
 これまで原則禁止とされていましたが、今後は入院や投薬など医療費の一部に公的医療保険が適用されることになります。ただ、治療がうまくいかなかった患者が4件出た場合は中止するなど厳しい条件が付きました。
 病気腎移植は、東京西徳洲会病院(東京都昭島市)が申請していました。先進医療は同病院と、臨床研究として病気腎移植を実施してきた宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)が担当。試験として9年間(うち5年間は観察期間)で、42例実施する計画です。
 直径7センチメートル以下のがんがある腎臓を患者から摘出後、病巣を切除し、腎臓透析などで移植を希望している別の患者に移植します。治療後は腎臓の定着率のほか、臓器提供者や移植を受けた患者でがんが発症するかどうか、副作用の件数、生存率などを調べます。
 19日の審査部会では、この治療がうまくいかなかった患者が4件出た時は中止するとの条件を付けた上、治療がしっかり実施されているかなどをチェックする移植検討委員会に、日本移植学会など第三者的な立場の医師を加えることも求めました。
 病気腎移植は約25年前から、宇和島徳洲会病院の万波誠医師らが独自の判断で実施してきました。病気になった臓器を別の患者に移植することから、倫理的問題などが指摘され、厚労省は2007年に原則禁止としました。日本移植学会も同年、「医学的な妥当性はない」との見解を発表しました。
 これを受け、宇和島徳洲会病院は2009年から臨床研究として病気腎移植を再開。これまで他人からの腎移植を13件実施し、うち7人が手術後5年時点で腎臓の定着が確認できているといいます。
 2011年に同病院が先進医療の申請をしましたが、厚労省の審査部会は3度にわたり継続審議としていました。現在、小さな腎臓がんの外科治療は、全摘出ではなく部分切除が基本。申請内容は、全摘出の対象とする患者の条件が不明瞭でした。医療機関の実施体制や有効性・安全性の評価方法、患者への説明同意文書の内容なども不十分とされました。
 今回の東京西徳洲会病院の申請は内容を修正したため、厳しい条件を付けることで先進医療として認めました。結果が良好だった場合は、他の病院でも実施される可能性があります。
 国内では腎臓透析患者が30万人以上おり、移植を希望する患者も1万人を超えます。ただ、提供数は慢性的に不足しており、臓器提供者が現れるまで10年以上待つケースも多くなっています。

 2017年10月19日(木)

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■名古屋大病院、がん疑い見落とし患者死亡 検査報告書を7カ月放置 [健康ダイジェスト]

 名古屋大学医学部附属病院(名古屋市昭和区)は19日、コンピューター断層撮影(CT)検査で大腸がんの兆候が見られたのに、医師の間で情報が共有されなかった結果、治療が約7カ月遅れて50歳代の男性が死亡する医療ミスがあったことを発表しました。
 男性は2014年1月、全身の倦怠感を訴えて自宅近くの医療機関を受診。高度の貧血が見られたため、名古屋大病院に救急搬送され、胸腹部のCT検査を実施しました。
 CT画像を見た放射線科の医師が「大腸がんの疑いがある」とする画像診断報告書を作成しましたが、担当医は報告書を読みませんでした。症状が治まったため改善したと判断し、男性は退院しました。
 男性は8月に再び倦怠感などを訴え、名古屋大病院を受診。その際、過去に大腸がんの疑いが指摘されていたことが判明しました。すでに他の臓器にがんが転移しており、男性は2016年9月に自宅で死亡しました。
 名古屋大病院は医療ミスの可能性があるとして、院内に外部の専門家を交えた第三者委員会を設置。今年9月、情報が共有されないなどのミスがあったとする報告書をまとめ、男性の家族に謝罪しました。
 名古屋大病院では2015年6月から、画像診断報告書を一元管理し、担当医などが報告書を読んでいない場合は警告が出るシステムを導入しています。

 2017年10月19日(木)

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■がんゲノム医療、中核拠点病院12カ所指定へ がん患者の遺伝子調べ薬や治療法を選択 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は18日、がん患者のゲノム(全遺伝情報)を調べて、個人の体質や病状に適した治療法を選ぶ最先端の「がんゲノム医療」を提供する病院の指定要件を大筋で決めました。
 近く中心的な役割を担う「中核拠点病院」の公募を開始し、条件に合う12カ所程度を来年3月までに指定します。各中核病院は、直接患者を診る数カ所の連携病院と協力することになっており、来年度から全国で治療が受けられるようになります。
 従来のがん治療は肺や胃、大腸などの臓器別に施されていますが、がんゲノム医療はがん細胞に生じた遺伝子の変異を検査で特定し、その変異に合った最適の薬や治療法を選びます。これまでより効果的で副作用も少ないと期待されています。
 がんゲノム医療は現在、欧米が先行し、日本では一部病院が試験的に実施していますが、普及が進めば日本のがん治療の在り方を根本から変える可能性があります。
 厚労省の全国展開に向けた実行計画では、100種類以上の遺伝子変異を一度に調べられる検査機器を、優先的に薬事承認して開発を後押しし、医療現場での検査を早期に可能にします。患者の負担を抑えるため、検査費には保険を適用します。
 全国の病院からデータを集める「情報管理センター」も新設。究極の個人情報とされる遺伝情報を長期間扱うため、国立がん研究センターでの運営を想定しています。
 現状では遺伝子を解読しても有効な薬は限られ、治療法の開発も課題です。情報管理センターでは、患者の遺伝子変異と治療成績、副作用の有無などの膨大なデータを人工知能(AI)で分析し、効果的な新薬や治療法の開発につなげます。
 中核拠点病院の要件は、遺伝子検査の技術がある、結果を医学的に判定できる、患者への遺伝カウンセリングが可能など。中核拠点病院の支援により、全国に約400ある「がん診療連携拠点病院」でも態勢が整えば、順次ゲノム医療を提供できるようにします。
 情報管理センターは、各地での臨床研究の情報を対象となる患者に提供し、治療法を選ぶ機会を増やします。検査での患者の負担を軽くするため、手術などではなく、血液や尿から遺伝子を検出する方法の開発も進めます。

 2017年10月19日(木)

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■用語 切迫性尿失禁 [用語(さ行)]

[トイレ]急な強い尿意を催し、トイレに間に合わずに尿が漏れる状態
 切迫性尿失禁とは、急な強い尿意を催し、トイレにゆく途中やトイレで準備をする間に、尿が漏れる状態。急迫性尿失禁とも呼ばれます。
 この切迫性尿失禁は、自分の意思に反して勝手に膀胱(ぼうこう)が収縮する過活動膀胱が主な原因です。過活動膀胱の症状は、我慢できないような強い尿意である尿意切迫感と、昼夜を問わない頻尿です。
 普通、膀胱が正常であれば400~500mlの尿をためることが可能で、尿が250~300mlくらいになると尿意を感じて排尿が始まりますが、過活動膀胱では100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮するために、突然の尿意を催して、我慢できなくなるのが特徴です。膀胱が正常であれば、尿意を感じ始めて10~15分ぐらいは我慢できることもありますが、過活動膀胱ではそれも難しいとされています。
 この過活動膀胱を主な原因として起こる切迫性尿失禁は、せきやくしゃみ、運動時など、腹部に急な圧迫が加わった時に尿が漏れる腹圧性尿失禁と区別されていますが、実際は、切迫と腹圧の2つの要因が重なって失禁に至ることもあり、混合性尿失禁と呼ばれます。
 過活動膀胱の人はとても多く、日本では40歳以上の男女のうち8人に1人は過活動膀胱の症状があり、その約半数に切迫性尿失禁の症状があると報告されています。近年40歳以下でも、過活動膀胱の症状に悩まされている人が大変多くなってきています。
 女性が過活動膀胱になる最も多い原因は、膀胱と尿道を支えている骨盤底筋群や骨盤底を構成する靱帯(じんたい)が弱まる骨盤底障害です。骨盤底筋群や靱帯が弱まってたるむと、膀胱の底にある副交感神経の末端が膀胱に尿が十分にたまらないうちから活性化して、突然強い尿意が出るようになるのです。
 女性は若い時は妊娠や出産で、また、更年期以降は老化と女性ホルモン低下の影響で骨盤底障害になりやすいので、男性よりも多くの発症者がいます。男性の場合も、老化や運動不足で骨盤底筋や尿道括約筋が衰えることによって過活動膀胱になることがあります。
 また、男女ともに、脳と膀胱や尿道を結ぶ神経のトラブルで起こる過活動膀胱も増えています。こちらは、脳卒中や脳梗塞(こうそく)などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄(せきずい)損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害が原因となります。
 過活動膀胱のほか、切迫性尿失禁は膀胱炎、結石などによって膀胱の刺激性が高まって起こるものもあります。
 尿失禁は恥ずかしさのため医療機関への受診がためらわれ、尿パッドなどで対処している人も多いようですが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。症状が続くようであれば、泌尿器科を受診することが勧められます。
[トイレ]切迫性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、一般的に、初診時に問診を行い、尿失禁の状況、出産歴、手術歴、婦人科疾患の有無、便秘の有無などを質問します。切迫性尿失禁の主な原因となる過活動膀胱かどうかを調べるための過活動膀胱スクリーニング質問票(リンク)や、過活動膀胱の症状の程度を調べるための過活動膀胱症状質問票(OABSS)という簡単な質問票を、診断のために使うこともあります。
 問診以外には、膀胱の状態を調べるための検査を行うこともあります。切迫性尿失禁の症状があるからといって、必ずしも過活動膀胱とは限りませんので、ほかの疾患の可能性も含めて確認するための検査です。初診で行う検査は、主に腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査など比較的簡単な検査で、過活動膀胱の検査には尿流測定、パッドテスト、ストレステストなどもあります。
 泌尿器科の医師による治療では、膀胱の収縮を阻止し、副交感神経に働く抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または膀胱壁の筋肉である排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。抗コリン剤を1~2カ月内服すると、過活動膀胱の80パーセントの発症者で改善されます。
 次の治療では、できるだけ尿意を我慢して、膀胱を拡大するための訓練をします。毎日訓練すると、膀胱が少しずつ大きくなって尿がためられるようになりますので、200~400mlくらいまでためられるように訓練します。排尿間隔を少しずつ延長させ、2時間くらいは我慢できるようになれば成功です。尿道を締める筋肉の訓練も必要です。
 難産を経験した女性、40歳を過ぎた女性で、時に切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁が重なる混合性尿失禁を起こしている場合、尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める骨盤底筋体操が割合効果的です。肛門の周囲の筋肉を5秒間強く締め、次に緩める簡単な運動で、仰向けの姿勢、いすに座った姿勢、ひじ・ひざをついた姿勢、机に手をついた姿勢、仰向けになり背筋を伸ばした姿勢という5つの姿勢で、20回ずつ繰り返します。
 朝、昼、夕、就寝前の4回に分けて、根気よく毎日続けて行うのが理想的です。3カ月以上続けても効果のない場合には、手術が必要となる可能性が高くなります。
 骨盤底筋の強化を目的として、電気刺激によって骨盤底筋や尿道括約筋など必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もあります。また、腟内コーンという器具を腟内に15分程度、1日2回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化し、症状を軽減する方法もあります。
 重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術などがあります。

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