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■慢性的炎症抑える薬での心筋梗塞予防、臨床試験で成功 ノバルティスファーマや東北大学病院など [健康ダイジェスト]

 日本人の死亡原因として2番目に多い心臓病の中で多くを占める心筋梗塞の患者に、慢性的な炎症を抑える薬を投与する大規模な臨床試験を大手製薬会社と世界各国の病院などが行ったところ、心筋梗塞の再発を20%余り少なくすることに成功したとする結果を公表しました。
 慢性的な炎症を抑えることが心筋梗塞の予防につながることを示した初めての成果とされ、今後、治療法を変える可能性があると注目されています。
 心筋梗塞はコレステロールや血の塊などで血管が詰まり心臓が働かなくなる病気で、国内では毎年およそ4万人が亡くなるなど、日本人の死亡原因として2番目に多い心臓病の中でも多くを占めています。
 治療は主にコレステロールや血圧を下げる薬が使われていますが、大手製薬会社ノバルティスファーマや東北大学病院、アメリカのハーバード大学医学大学院、ワシントン大学医学大学院などは、肥満の人などの体内で起きている慢性的な炎症が心筋梗塞の発症に関係している可能性があるという研究に注目しました。
 そして、日本を含む世界39カ国で慢性炎症のある心筋梗塞の患者およそ1万人に対し、炎症を抑える薬を使って心筋梗塞の再発をどれくらい抑えられるか臨床試験を行いました。その結果、炎症を抑える薬を投与したグループでは再発を24%少なくできたということです。
 慢性的な炎症は、体内の過剰な脂などで免疫細胞が活性化されて起き、この炎症で血管が傷付き、血の塊ができるなどして心臓の血管を詰まらせると考えられるということです。
 今回の結果は慢性的な炎症を抑えることが心筋梗塞の予防につながることを示した初めての成果とされ、今後、炎症をターゲットにした薬の開発が加速するとみられています。
 臨床試験の日本の責任者で東北大学病院循環器内科の下川宏明教授は、「今後、慢性炎症があるかどうかが心筋梗塞の治療の大きなポイントになる可能性がある」と話しています。
 慢性的な炎症と心筋梗塞のかかわりについては、炎症を抑える治療を受けているリウマチ患者の中で心筋梗塞を起こす人が少ないなど、一部の研究では関連が示唆されてきました。その後の研究で、肥満が原因で起きる慢性的な炎症によって心筋梗塞が引き起こされるメカニズムが解明され始めています。
 ハーバード大学医学大学院のゴーカン教授らによりますと、肥満の人の体内では、脂を大量に蓄積した脂肪細胞が限界まで大きくなると、脂などを異物として攻撃するよう警告するメッセージ物質を放出し始めます。このメッセージ物質は全身に届けられて免疫細胞は活性化し、分裂するなどしてさらに警告メッセージを放出します。こうして慢性的な炎症が引き起こされます。
 活性化した免疫細胞はその後、血管の壁に入り込み、余分な脂を取り込みますが、大きく膨れ上がり、やがて破裂します。その際、免疫細胞が持っていた攻撃用の有害物質が放出され血管の壁を傷付けます。こうした傷によって血管の壁には血の塊ができ、大きくなると血液の流れに乗って移動し、心臓の血管に詰まることで心筋梗塞が起こっていると考えられています。

 2017年11月6日(月)




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■食品リコール報告をメーカーに義務付け、情報を一元管理 厚労省が法改正へ [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は6日までに、異物混入や誤表示があった食品をメーカーなどが自主回収する「食品リコール」に関して、メーカー側に自治体への報告を義務付ける方針を固めました。
 現状では、食品リコールの発生状況を国が把握する仕組みがありませんが、自治体を通じ、情報を一元管理できるようにします。
 食品衛生法改正案を来年の通常国会に提出する見込みで、メーカー側が報告を怠った場合に罰則を科すことも検討します。
 また、メーカー側がインターネット上でリコールを報告できるシステムを開発する方針で、必要な3億円余の軽費を来年度予算の概算要求に盛り込みました。消費者が食品リコールに関する情報をまとめて閲覧できるホームページも作成し、回収対象の商品名や写真、回収理由と健康被害の可能性、問い合わせ先を公表する方針。
 食品リコールは、異物混入や誤表示などのほか、加熱殺菌やアレルギー表示が不十分だった食品などが対象となります。厚労省は、情報を一元化して実態把握を進めることで、メーカー側や消費者に注意喚起を促すとともに、自治体間で問題のある食品などの情報を確実に共有できるようにします。
 厚労省によると、都道府県や政令指定都市、中核市、中核市以外の保健所設置市などに、食品リコールの報告をメーカー側に求めているかどうか尋ねたところ、回答した140自治体のうち4分の3に当たる108自治体は条例などで独自に報告を求めていましたが、残りの4分の1は報告を求めていませんでした。
 独自に報告義務を課している自治体に限ると、2016年度の1年間で食品リコールは計967件確認されていますが、実際は、さらに多いとみられます。
 毎年、多数発生している食品リコールは、消費者が口にしても問題がないケースが大半を占める一方で、健康被害が出る深刻な事例も起きています。
 神奈川県平塚市の食品会社などが昨年、販売した冷凍メンチカツを食べた人が腸管出血性大腸菌O157に感染。自主回収を進めたものの、健康被害は数十人に及びました。
 大手メーカーの製品で食品リコールが発生することもあり、マルハニチロは今年10月、輸入したムール貝の冷凍食品で、原材料表示などが一部不鮮明だったとして5800個を回収すると公表。伊藤ハムも同月、腐敗した商品が見付かったとして、総菜食品計3570パックの回収を発表しました。
 製品そのものに問題がなくても、表示の記載ミスがあれば、食品リコールの対象となります。外食チェーン大手のリンガーハットは9月、持ち帰り用のチャーハンで、アレルギー物質の卵の記載が漏れるなどしたとして約3万個を回収するとしました。
 厚生労働省によると、アメリカやヨーロッパ連合(EU)ではすでに、メーカー側が食品リコールを届け出る制度があります。

 2017年11月6日(月)




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■用語 尿道脱 [用語(な行)]

[トイレ]尿道の粘膜が尿道の外側にめくれるように脱出する疾患
 尿道脱とは、尿道の出口の粘膜が尿道の外側にめくれて飛び出す良性の疾患。
 小さな女児や高齢の女性にみられます。下着や、排尿後にふいたトイレットペーパーに血液が付いたことにより、気付くことが多いようです。
 また、尿道脱が大きくなると、大豆(だいず)大の腫瘍(しゅりゅう)のように見え、尿道の出口の赤い粘膜の突出に触れることができます。異物があるように感じることもあります。
 尿が出にくくなったり、脱出した粘膜が締め付けられると痛みが起きたりすることもあります。しばしば尿失禁や頻尿の症状もあります。
 よく似ているものに尿道カルンクルがあり、こちらは中高年女性の尿道出口の6時方向にできる赤色または暗褐色の良性の小さな腫瘍(しゅよう)で、やはり出血などで気付くことが多いようです。
 尿道カルンクルでは、腫瘍は1カ所で尿道の壁につながっているのに対し、尿道脱ではゴムホースの先端を外側にまくったように、尿道の出口の粘膜全周が反転して外側に飛び出します。指で脱出部分を尿道の中に押し戻すと、整復できることがあります。
 尿道脱は、生まれ付き尿道や骨盤内の組織が弱いことも原因の1つです。高齢の女性の場合は、出産時の外陰部の損傷や閉経後の女性ホルモン不足なども原因となっています。
 尿道は一番内側が粘膜で、その外側が内縦走筋、外輪状筋となっており、これら2つの筋肉の間が緩くなって尿道脱が生じると考えられています。せきや便秘などで腹圧をかけることが多い女性は、尿道脱を起こしたり、症状を悪化させたりします。
[トイレ]尿道脱の検査と診断と治療
 泌尿器科、ないし小児泌尿器科の医師による診断では、尿道脱の症状が見受けられる場合、排尿記録を何日分かに分けて、患者に行ってもらいます。また、排尿の勢いや残尿があるかどうかをチェックする尿流・残尿検査を行ったり、尿流動態検査、鎖膀胱(ぼうこう)尿道造影というレントゲン造影検査を追加して行ったりします。
 高齢の女性では、尿道カルンクルなどの尿道腫瘍、尿管の下端部の膀胱につながる部分が膀胱内で袋状に膨らむ尿管瘤(りゅう)との鑑別を膀胱鏡を用いて行います。
 泌尿器科、ないし小児泌尿器科の医師による治療では、まず、女性ホルモン剤の軟こうやステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の軟こうの外用を行います。日本では、女性ホルモン剤の軟こうを医療機関で処方することが難しく、まずはステロイド剤の軟こうを使うことが多いようです。これらの軟こうは症状を改善させますが、67%で再発するといわれています。
 軟こうによる治療で、尿道粘膜の飛び出しが大きくならず、出血や痛みの症状が現れなくなれば、経過を観察します。腹圧をかけると症状を悪くさせるので、便秘を改善させたり、腹圧をかけるような動作も長く続けないように気を付けます。
 また、脱出した尿道粘膜を外側から尿道の中に押し戻し、整復を維持する治療法を行うこともあります。具体的には、膣(ちつ)内に脱出した尿道粘膜の整復を維持するペッサリーという器具を挿入したり、ケーゲル体操を行うことによって、尿道粘膜の整復に必要な骨盤部の筋肉を鍛えたりします。
 ケーゲル体操は、排尿を途中で止める時のように、腟、尿道、直腸の周囲の筋肉に力を入れて約10秒間引き締め、次に力を抜いて約10秒間緩めます。この動作を10〜20回繰り返すのを1セットとして、1日に3セット以上行います。
 軟こうによる治療、整復を維持する治療に効果がみられず、再発したり、出血や痛み、排尿困難などの症状が出る場合は、外科手術の選択もあります。手術は麻酔をかけて、めくれて飛び出している尿道粘膜を切除し、外側の皮膚と内側の尿道粘膜を縫い合わせます。
 状況により全身麻酔もしくは脊椎(せきつい)麻酔で行い、手術に要する時間は30分程度。合併症は少なく、手術中の出血や感染症などが生じる可能性もありますが、程度は軽いものです。手術後はまれに、尿があちこちに飛び散るようになることがあります。
 手術前日に入院し、手術後2、3日は排尿のための管を膀胱内に入れて置くので、5、6日の入院が必要です。手術を行って再発することは少なく、飛び出している尿道粘膜を切除するのみですので、尿道が短くなるようなことはありません。




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