■がん治療の光免疫療法、国内でも治験へ 舌がんなど対象、アメリカで実績 [健康ダイジェスト]
光を当ててがん細胞を破壊する新たながん免疫療法について、アメリカのラッシュ大学などが同国内で実施した最初の臨床試験(治験)の結果がまとまり、頭頸(とうけい)部がんの患者8人中7人でがんが縮小したことが明らかになりました。ヨーロッパ臨床腫瘍学会で発表しました。
これらの結果を踏まえ、日本でも今年中の治験開始を目指して、製薬会社のアスピリアンジャパン社(東京都港区)により準備が勧められています。
この治療法は「光免疫療法」で、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らが開発しました。がん細胞だけが持つタンパク質に結び付く性質がある「抗体」と、近赤外光を当てると化学反応を起こす化学物質を結合させた薬剤を患者に注射します。その後、体外からや内視鏡を使って近赤外光を患部に当てると、薬剤が結び付いたがん細胞の細胞膜が破壊され、これを切っ掛けに免疫細胞が活性化するといいます。近赤外光はテレビのリモコンなどに使われ、人体に当たっても害がありません。
最初の治験は安全性確認が主な目的で、手術や放射線治療、抗がん剤などで治らなかった舌がん、咽頭(いんとう)がんなど頭頸部がん患者を対象としました。薬剤量を絞り、光も1回だけ当てる治療を実施しました。
9人の患者が参加し、途中でやめた1人を除く8人について1カ月間、経過観察しました。その結果、3人はがんがなくなり、治療後1年以上たった現在も生存しています。残りの4人はがんが小さくなり、1人はがんの大きさに変化がなく、1カ月半~半年後にいずれも亡くなりました。治療自体による重い副作用はありませんでした。
小林・主任研究員は、「今回は最低限の治療だったが、他に治療法がない3人の患者が完治したことは大きな成果だ。繰り返し光を当てたり、薬剤を再度投与したりすることで治療効果は改善できる」と話しています。
日本での治験を準備しているアスピリアンジャパン社によると、頭頸部がん患者を対象にした治験の年内開始を目指し、関係機関が調整を進めています。他の部位のがんについても、実施に向けた検討をしているといいます。
2017年11月12日(日)
これらの結果を踏まえ、日本でも今年中の治験開始を目指して、製薬会社のアスピリアンジャパン社(東京都港区)により準備が勧められています。
この治療法は「光免疫療法」で、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らが開発しました。がん細胞だけが持つタンパク質に結び付く性質がある「抗体」と、近赤外光を当てると化学反応を起こす化学物質を結合させた薬剤を患者に注射します。その後、体外からや内視鏡を使って近赤外光を患部に当てると、薬剤が結び付いたがん細胞の細胞膜が破壊され、これを切っ掛けに免疫細胞が活性化するといいます。近赤外光はテレビのリモコンなどに使われ、人体に当たっても害がありません。
最初の治験は安全性確認が主な目的で、手術や放射線治療、抗がん剤などで治らなかった舌がん、咽頭(いんとう)がんなど頭頸部がん患者を対象としました。薬剤量を絞り、光も1回だけ当てる治療を実施しました。
9人の患者が参加し、途中でやめた1人を除く8人について1カ月間、経過観察しました。その結果、3人はがんがなくなり、治療後1年以上たった現在も生存しています。残りの4人はがんが小さくなり、1人はがんの大きさに変化がなく、1カ月半~半年後にいずれも亡くなりました。治療自体による重い副作用はありませんでした。
小林・主任研究員は、「今回は最低限の治療だったが、他に治療法がない3人の患者が完治したことは大きな成果だ。繰り返し光を当てたり、薬剤を再度投与したりすることで治療効果は改善できる」と話しています。
日本での治験を準備しているアスピリアンジャパン社によると、頭頸部がん患者を対象にした治験の年内開始を目指し、関係機関が調整を進めています。他の部位のがんについても、実施に向けた検討をしているといいます。
2017年11月12日(日)
■危険ドラッグの主成分に、けいれんを起こす有害作用 精神・神経医療研究センターが確認 [健康ダイジェスト]
多くの危険ドラッグの主成分で、大麻に似た薬物「合成カンナビノイド」に、けいれんを引き起こす有害作用があることが確認できたとする論文を、国立精神・神経医療研究センターの研究チームがアメリカの専門誌に発表しました。
けいれんは脳内の「海馬(かいば)」という記憶と関係の深い器官の異常で起き、繰り返すと記憶や学習機能の障害が出る恐れがあります。危険ドラッグ乱用の害を新たに示す成果といいます。
大麻は体の動きや思考が鈍くなる「ダウナー系」の薬物で、通常けいれんは起きません。しかし、危険ドラッグ使用後に錯乱状態に陥り救急搬送される患者がいることから、研究チームはマウス実験で脳内の変化を調べました。
その結果、合成カンナビノイドを投与されたマウスは、数分後から興奮をもたらす神経伝達物質のグルタミン酸が海馬で過剰放出され、けいれんを起こしやすくなりました。これが海馬の神経細胞を壊す原因になるといいます。放出は数分~十数分続き、その後に急激に下がると、今度はダウナー系の症状が現れます。
大麻との作用の違いはグルタミン酸を放出させる毒性の強さの差と考えられ、薬物の濃度が高いほどけいれんの頻度は高くなりました。
国立精神・神経医療研究センターの舩田(ふなだ)正彦・依存性薬物研究室長は、「合成カンナビノイドは大麻以上に危険といえる。ただ、最近は乾燥大麻を濃縮してワックス状にした効き目の強い大麻も出回っており、類似のリスクが懸念される」と指摘しています。
危険ドラッグは、大麻取締法や覚せい剤取締法で規制できない有害な薬物の総称。「脱法ハーブ」と呼ばれていた2012年前後に、乱用者の自動車事故などが相次ぎました。医薬品医療機器法に基づく規制をしても、成分を一部変えて売買する堂々巡りが続いていましたが、2013年に大量の規制が可能な包括指定が始まり、流通量は大きく減りました。
2017年11月12日(日)
けいれんは脳内の「海馬(かいば)」という記憶と関係の深い器官の異常で起き、繰り返すと記憶や学習機能の障害が出る恐れがあります。危険ドラッグ乱用の害を新たに示す成果といいます。
大麻は体の動きや思考が鈍くなる「ダウナー系」の薬物で、通常けいれんは起きません。しかし、危険ドラッグ使用後に錯乱状態に陥り救急搬送される患者がいることから、研究チームはマウス実験で脳内の変化を調べました。
その結果、合成カンナビノイドを投与されたマウスは、数分後から興奮をもたらす神経伝達物質のグルタミン酸が海馬で過剰放出され、けいれんを起こしやすくなりました。これが海馬の神経細胞を壊す原因になるといいます。放出は数分~十数分続き、その後に急激に下がると、今度はダウナー系の症状が現れます。
大麻との作用の違いはグルタミン酸を放出させる毒性の強さの差と考えられ、薬物の濃度が高いほどけいれんの頻度は高くなりました。
国立精神・神経医療研究センターの舩田(ふなだ)正彦・依存性薬物研究室長は、「合成カンナビノイドは大麻以上に危険といえる。ただ、最近は乾燥大麻を濃縮してワックス状にした効き目の強い大麻も出回っており、類似のリスクが懸念される」と指摘しています。
危険ドラッグは、大麻取締法や覚せい剤取締法で規制できない有害な薬物の総称。「脱法ハーブ」と呼ばれていた2012年前後に、乱用者の自動車事故などが相次ぎました。医薬品医療機器法に基づく規制をしても、成分を一部変えて売買する堂々巡りが続いていましたが、2013年に大量の規制が可能な包括指定が始まり、流通量は大きく減りました。
2017年11月12日(日)
■臓器提供に4割前向き、意思表示は1割程度 内閣府が調査 [健康ダイジェスト]
脳死と判定されたり心停止で死亡判断されたりした場合の臓器提供について、約4割が「提供したい」などと前向きに回答したことが11日、移植医療に関する内閣府の世論調査で明らかになりました。一方、実際に「提供する」「しない」の意思を運転免許証などに記入している人は、約1割程度にとどまりました。
いずれも2013年の前回調査から横ばいで、溝は埋まっていません。
厚生労働省の担当者は、「提供の意思をいかに記入してもらうかの啓発が重要。 家族で話し合う機会も持ってほしい」と話しています。
内閣府の調査は、8月24日~9月3日に全国の18歳以上の3000人を対象に行い、1911人から回答を得ました。
このうち「臓器提供したい」と回答した人は19・7%で、「どちらかといえば提供したい」と回答した人はは22・1%でした。前向きに考えている人は約4割に達し、18~29歳だと約7割に上りました。
一方、臓器提供の可否を運転免許証の裏面や意思表示カードなどに記入しているのは12・7%。記入していない人に複数回答で理由を尋ねたところ、「自分の意思が決まらない・後で記入しようと思っていた」が25・4%、「臓器提供に抵抗感がある」が19・9%、「臓器提供に関心がない」も17%ありました。
家族が書面による意思表示をしていた場合に「尊重する」としたのは約9割に上る一方、意思表示がなかった場合には「提供を承諾しない」が約5割いました。2010年の臓器移植法改正で、書面での意思が不明でも家族の承諾で臓器提供できるようになっています。
厚労省の担当者は、「教育現場で臓器移植について考える機会を作るなど、啓発に力を入れていきたい」と話しています。
2017年11月12日(日)
いずれも2013年の前回調査から横ばいで、溝は埋まっていません。
厚生労働省の担当者は、「提供の意思をいかに記入してもらうかの啓発が重要。 家族で話し合う機会も持ってほしい」と話しています。
内閣府の調査は、8月24日~9月3日に全国の18歳以上の3000人を対象に行い、1911人から回答を得ました。
このうち「臓器提供したい」と回答した人は19・7%で、「どちらかといえば提供したい」と回答した人はは22・1%でした。前向きに考えている人は約4割に達し、18~29歳だと約7割に上りました。
一方、臓器提供の可否を運転免許証の裏面や意思表示カードなどに記入しているのは12・7%。記入していない人に複数回答で理由を尋ねたところ、「自分の意思が決まらない・後で記入しようと思っていた」が25・4%、「臓器提供に抵抗感がある」が19・9%、「臓器提供に関心がない」も17%ありました。
家族が書面による意思表示をしていた場合に「尊重する」としたのは約9割に上る一方、意思表示がなかった場合には「提供を承諾しない」が約5割いました。2010年の臓器移植法改正で、書面での意思が不明でも家族の承諾で臓器提供できるようになっています。
厚労省の担当者は、「教育現場で臓器移植について考える機会を作るなど、啓発に力を入れていきたい」と話しています。
2017年11月12日(日)
■用語 慢性心不全 [用語(ま)]
心臓の機能が低下して、十分な血液を送り出せない状態が長期間続く症候群
慢性心不全とは、心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった末期的な状態が長期間にわたって続き、進行していく症候群。
時に、安定した状態から急激に悪化する急性心不全に移行することを繰り返して、徐々に進行していくことがあります。加齢に伴って増える疾患で、また生活習慣病の一つでもあります。
さまざまな原因で慢性心不全が起こりますが、急性心筋梗塞(こうそく)と高血圧がよくみられる原因です。拡張型心筋症や弁膜症も原因になります。拡張型心筋症はどの年齢でもみられますが、高齢者で増えています。弁膜症は、虚血性心疾患や動脈硬化に伴って起こるものが増えています。
そのほか、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈も慢性心不全の原因になります。慢性腎臓病、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群も心不全を引き起こす危険因子です。
症状の面からは、全身に血液が滞るうっ血を起こす右心不全と、肺に血液が滞るうっ血を起こして全身へ送られる血液が減る左心不全に分けられますが、通常は右心不全と左心不全の両方が同時に起こって両心不全となります。しばしば、心房細動や心室性期外収縮などの不整脈を合併します。
全身に血液が滞る右心不全の症状として、足を中心とするむくみが現れ、体重が増加します。むくみは夕方強くなり、靴がきつくなることで気付くことがあります。
左心不全の症状としては、呼吸困難、せき、白っぽい泡のようなたんです。呼吸困難は階段昇降や坂道で起こり、 動悸(どうき)を感じることもあります。
心不全で特徴的な呼吸困難は、就寝後しばらくして現れる息苦しさです。この夜間発作性呼吸困難症と呼ばれる症状は、上体を起こして前ががみの姿勢で呼吸をすることで軽減します。夜間の多尿も、初期の症状として現れます。重症になると尿量は減少します。
全身的な症状としてよく現れるのは、倦怠(けんたい)感、疲れやすさですが、消化器症状として食欲不振、腹部膨満感も起こります。
初期の慢性心不全は症状も軽く、診断が難しいことがありますので、専門医に相談をしてください。
慢性心不全の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓のどこに異常が起きているのか、その原因になっている疾患は何かをまず突き止めてから、慢性心不全の状態や程度を調べます。
一般の診察で心不全の有無を診断し、場合によっては心臓超音波検査(心エコー)で心臓の働き具合をみる検査をします。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心臓の働きを鈍らせている原因を取り除ける場合は、まずその治療をします。
例えば、高血圧に対する降圧療法、狭心症や心筋梗塞に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術などを行います。不整脈が原因の場合には、ペースメーカーや除細動器を植え込むということもあります。
一般的な治療としては、症状が軽い場合は内服薬による治療を行います。
体内の余分な水分を取り除く利尿剤、心臓の働きを手助けするジギタリス剤、心臓にかかる負担を軽くするアンギオテンシン変換酵素阻害剤などの血管拡張剤、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制するベータ遮断剤などがあります。
また、再発の予防のため、内服薬での治療のほか、塩分制限を含めた食事療法、適度な運動、禁煙、減酒を行います。
症状が重くなると入院となり、安静の確保、酸素吸入、点滴による治療が必要になります。末期重症心不全の場合には、補助人工心臓の植え込み手術や心臓移植といった治療を行います。
慢性心不全とは、心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった末期的な状態が長期間にわたって続き、進行していく症候群。
時に、安定した状態から急激に悪化する急性心不全に移行することを繰り返して、徐々に進行していくことがあります。加齢に伴って増える疾患で、また生活習慣病の一つでもあります。
さまざまな原因で慢性心不全が起こりますが、急性心筋梗塞(こうそく)と高血圧がよくみられる原因です。拡張型心筋症や弁膜症も原因になります。拡張型心筋症はどの年齢でもみられますが、高齢者で増えています。弁膜症は、虚血性心疾患や動脈硬化に伴って起こるものが増えています。
そのほか、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈も慢性心不全の原因になります。慢性腎臓病、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群も心不全を引き起こす危険因子です。
症状の面からは、全身に血液が滞るうっ血を起こす右心不全と、肺に血液が滞るうっ血を起こして全身へ送られる血液が減る左心不全に分けられますが、通常は右心不全と左心不全の両方が同時に起こって両心不全となります。しばしば、心房細動や心室性期外収縮などの不整脈を合併します。
全身に血液が滞る右心不全の症状として、足を中心とするむくみが現れ、体重が増加します。むくみは夕方強くなり、靴がきつくなることで気付くことがあります。
左心不全の症状としては、呼吸困難、せき、白っぽい泡のようなたんです。呼吸困難は階段昇降や坂道で起こり、 動悸(どうき)を感じることもあります。
心不全で特徴的な呼吸困難は、就寝後しばらくして現れる息苦しさです。この夜間発作性呼吸困難症と呼ばれる症状は、上体を起こして前ががみの姿勢で呼吸をすることで軽減します。夜間の多尿も、初期の症状として現れます。重症になると尿量は減少します。
全身的な症状としてよく現れるのは、倦怠(けんたい)感、疲れやすさですが、消化器症状として食欲不振、腹部膨満感も起こります。
初期の慢性心不全は症状も軽く、診断が難しいことがありますので、専門医に相談をしてください。
慢性心不全の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓のどこに異常が起きているのか、その原因になっている疾患は何かをまず突き止めてから、慢性心不全の状態や程度を調べます。
一般の診察で心不全の有無を診断し、場合によっては心臓超音波検査(心エコー)で心臓の働き具合をみる検査をします。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心臓の働きを鈍らせている原因を取り除ける場合は、まずその治療をします。
例えば、高血圧に対する降圧療法、狭心症や心筋梗塞に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術などを行います。不整脈が原因の場合には、ペースメーカーや除細動器を植え込むということもあります。
一般的な治療としては、症状が軽い場合は内服薬による治療を行います。
体内の余分な水分を取り除く利尿剤、心臓の働きを手助けするジギタリス剤、心臓にかかる負担を軽くするアンギオテンシン変換酵素阻害剤などの血管拡張剤、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制するベータ遮断剤などがあります。
また、再発の予防のため、内服薬での治療のほか、塩分制限を含めた食事療法、適度な運動、禁煙、減酒を行います。
症状が重くなると入院となり、安静の確保、酸素吸入、点滴による治療が必要になります。末期重症心不全の場合には、補助人工心臓の植え込み手術や心臓移植といった治療を行います。
■用語 心不全 [用語(し)]
心臓の機能が低下して、十分に働かなくなった末期的な状態
心不全とは、心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった末期的な状態。心不全は、疾患名ではありません。
心臓に静脈血は十分に戻ってくるのに、 動脈血を送り出せないという状態で、疾患そのものとは少し異なります。
心臓弁膜症のために心不全が起こることもあり、心筋梗塞(こうそく)のために心不全になることもあります。心不全の原因は、ポンプの役割を果たすはずの心臓が衰えたことにあり、あらゆる心臓病の最期の状態といえます。
安定した状態から急激に悪化する急性心不全か、状態が安定している慢性心不全かによって経過は多少異なりますが、最後はどちらも心臓の機能が低下して、十分に働かない状態になります。急激な心臓停止も、結局は心不全の状態といえます。
心不全を起こす原因になっている疾患により、現れる症状もそれぞれ異なるものの、心不全そのものの症状としては、疲れやすい、少しの運動で動悸(どうき)や息切れがする、夜間多尿などです。中には、身の置きどころがないだるさを感じる人もいます。
静脈から心臓へ戻ってきた血流が前方に進みにくくなると、心臓の働きが悪い部分にうっ血が起こります。左心室の働きが悪い時はうっ血は肺に起こり、右心室の働きが悪い時はうっ血が肺以外の静脈に起こります。大動脈弁や僧帽(そうぼう)弁の弁膜症、左心室の心筋梗塞では、いずれも肺うっ血のために呼吸困難が起こります。
肺うっ血の症状は、軽ければ運動時の呼吸困難程度で、少し重くなると夜中に突然、呼吸困難の発作が起こったり、心臓ぜんそくと呼ばれるヒューヒュー、ゼーゼーという息苦しい状態の発作が起こります。
より悪化した場合や急性左心不全の時は、もっと激しい症状が出て、突然呼吸困難になり、唇や爪(つめ)にチアノーゼが現れたり、横になって寝ることができず、上体を起こして前ががみの姿勢で呼吸をするようになります。これらは左心不全の末期症状で、肺水腫(すいしゅ)を合併した場合は、ピンク色の泡状のたんを吐き続けるようになります。
左心不全で肺にうっ血が起こると、右心に負担がかかり、ついには右心不全になって、両方の症状が出ることもあります。
右心不全の場合は、大静脈にうっ血が起こるため、肝臓や胃腸障害の症状が出ます。腹が張った感じや、食欲不振を感じる場合が多く、むくみが出ることもあります。時には腹が膨れますが、これは腹水がたまったり、肝臓がはれるためです。
このように心不全は、原因によって多彩な症状が出て、経過もまちまち。急性心不全や大動脈弁膜症では、急速に進行して死亡するケースも少なくありません。心臓には代償機能があるので、徐々に軽快する場合もあります。
心不全の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓のどこに異常が起きているのか、その原因になっている疾患は何かをまず突き止めてから、心不全の状態や程度を調べます。
一般の診察で心不全の有無を診断し、場合によっては心臓超音波検査(心エコー)で心臓の働き具合をみる検査をします。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心臓の働きを鈍らせている原因を取り除ける場合は、まずその治療をします。
例えば、高血圧に対する降圧療法、狭心症や心筋梗塞に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術などを行います。不整脈が原因の場合には、ペースメーカーを植え込むということもあります。甲状腺機能高進症や甲状腺機能低下症など心臓以外に原因がある場合には、それに対する薬物療法などを行います。
急性心不全の時は、一般に入院を必要とすることが多く、安静が必要で、酸素吸入を行ったり、一時的に心臓の働きを高める薬を使ったりします。また、運動制限が必要ですが、安定期には、逆に負担にならない程度の適当な運動も必要です。
一方、慢性心不全の時は、心臓に対してはむしろ過度な刺激から守る薬を用います。体内の余分な水分を取り除く利尿剤、心臓の働きを手助けするジギタリス剤、心臓にかかる負担を軽くするアンギオテンシン変換酵素阻害剤などの血管拡張剤、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制するベータ遮断剤などがあります。
心不全に対する日常生活における注意
心不全は、安静にして日常生活を正すだけで、心臓の負担が軽くなり、症状が鎮まることが多いものです。
また、塩分をとりすぎると、体内に水分をとどめることになり、うっ血やむくみを強くするので、塩分を控えた食事にします。そのほか、胃腸の負担を減らし、肝臓にもよい食事として、高蛋白(たんぱく)で消化のよい食事をとるように心掛けます。
一方、心配事や不安、怒りなどから起こるストレスを防ぐ注意も必要。体とともに精神の安静にも気を付け、心臓に負担をかけないようにします。
毎日の運動量や食塩の量を医師に決めてもらい、それに基づいた日常生活を送ることが、再発や悪化を防ぐ上で、大事なことです。
心不全とは、心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった末期的な状態。心不全は、疾患名ではありません。
心臓に静脈血は十分に戻ってくるのに、 動脈血を送り出せないという状態で、疾患そのものとは少し異なります。
心臓弁膜症のために心不全が起こることもあり、心筋梗塞(こうそく)のために心不全になることもあります。心不全の原因は、ポンプの役割を果たすはずの心臓が衰えたことにあり、あらゆる心臓病の最期の状態といえます。
安定した状態から急激に悪化する急性心不全か、状態が安定している慢性心不全かによって経過は多少異なりますが、最後はどちらも心臓の機能が低下して、十分に働かない状態になります。急激な心臓停止も、結局は心不全の状態といえます。
心不全を起こす原因になっている疾患により、現れる症状もそれぞれ異なるものの、心不全そのものの症状としては、疲れやすい、少しの運動で動悸(どうき)や息切れがする、夜間多尿などです。中には、身の置きどころがないだるさを感じる人もいます。
静脈から心臓へ戻ってきた血流が前方に進みにくくなると、心臓の働きが悪い部分にうっ血が起こります。左心室の働きが悪い時はうっ血は肺に起こり、右心室の働きが悪い時はうっ血が肺以外の静脈に起こります。大動脈弁や僧帽(そうぼう)弁の弁膜症、左心室の心筋梗塞では、いずれも肺うっ血のために呼吸困難が起こります。
肺うっ血の症状は、軽ければ運動時の呼吸困難程度で、少し重くなると夜中に突然、呼吸困難の発作が起こったり、心臓ぜんそくと呼ばれるヒューヒュー、ゼーゼーという息苦しい状態の発作が起こります。
より悪化した場合や急性左心不全の時は、もっと激しい症状が出て、突然呼吸困難になり、唇や爪(つめ)にチアノーゼが現れたり、横になって寝ることができず、上体を起こして前ががみの姿勢で呼吸をするようになります。これらは左心不全の末期症状で、肺水腫(すいしゅ)を合併した場合は、ピンク色の泡状のたんを吐き続けるようになります。
左心不全で肺にうっ血が起こると、右心に負担がかかり、ついには右心不全になって、両方の症状が出ることもあります。
右心不全の場合は、大静脈にうっ血が起こるため、肝臓や胃腸障害の症状が出ます。腹が張った感じや、食欲不振を感じる場合が多く、むくみが出ることもあります。時には腹が膨れますが、これは腹水がたまったり、肝臓がはれるためです。
このように心不全は、原因によって多彩な症状が出て、経過もまちまち。急性心不全や大動脈弁膜症では、急速に進行して死亡するケースも少なくありません。心臓には代償機能があるので、徐々に軽快する場合もあります。
心不全の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓のどこに異常が起きているのか、その原因になっている疾患は何かをまず突き止めてから、心不全の状態や程度を調べます。
一般の診察で心不全の有無を診断し、場合によっては心臓超音波検査(心エコー)で心臓の働き具合をみる検査をします。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心臓の働きを鈍らせている原因を取り除ける場合は、まずその治療をします。
例えば、高血圧に対する降圧療法、狭心症や心筋梗塞に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術などを行います。不整脈が原因の場合には、ペースメーカーを植え込むということもあります。甲状腺機能高進症や甲状腺機能低下症など心臓以外に原因がある場合には、それに対する薬物療法などを行います。
急性心不全の時は、一般に入院を必要とすることが多く、安静が必要で、酸素吸入を行ったり、一時的に心臓の働きを高める薬を使ったりします。また、運動制限が必要ですが、安定期には、逆に負担にならない程度の適当な運動も必要です。
一方、慢性心不全の時は、心臓に対してはむしろ過度な刺激から守る薬を用います。体内の余分な水分を取り除く利尿剤、心臓の働きを手助けするジギタリス剤、心臓にかかる負担を軽くするアンギオテンシン変換酵素阻害剤などの血管拡張剤、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制するベータ遮断剤などがあります。
心不全に対する日常生活における注意
心不全は、安静にして日常生活を正すだけで、心臓の負担が軽くなり、症状が鎮まることが多いものです。
また、塩分をとりすぎると、体内に水分をとどめることになり、うっ血やむくみを強くするので、塩分を控えた食事にします。そのほか、胃腸の負担を減らし、肝臓にもよい食事として、高蛋白(たんぱく)で消化のよい食事をとるように心掛けます。
一方、心配事や不安、怒りなどから起こるストレスを防ぐ注意も必要。体とともに精神の安静にも気を付け、心臓に負担をかけないようにします。
毎日の運動量や食塩の量を医師に決めてもらい、それに基づいた日常生活を送ることが、再発や悪化を防ぐ上で、大事なことです。
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■用語 アダムス・ストークス症候群 [用語(あ)]
不整脈などの心臓の異常により、脳への血流量が急激に減少し、脳が虚血状態に陥る症状
アダムス・ストークス症候群とは、急に発生した不整脈などの心臓の異常により、脳への血液の供給が急激に減少したり停止して、脳が虚血状態に陥る症状。
疾患名は、1800年代前半にアイルランドの2人の内科医、ロバート・アダムスとウイリアム・ストークスがそれぞれ、心臓の拍動がゆっくりになる徐脈に伴う失神発作の症例を報告したことに由来します。
脳が虚血状態に陥るため、めまい、意識消失(失神)、けいれんなどを起こします。通常は数分程度で回復しますが、回復しない場合もあり、その際は死に至ることもあります。
症状は、不整脈の種類や異常の継続時間によって異なります。
脳の虚血状態が非常に短時間の場合は、めまい、一瞬意識が遠のく、一瞬手足の力が入らなくなるなどの症状が生じます。心臓の異常が数秒以上続いた場合は、意識消失などの意識障害を起こし、尿失禁、全身けいれんなどの症状が生じることもあります。
通常は数秒から数分程度で意識が回復しますが、心臓の動きが元に戻らない場合は、死亡するケースもあります。意識が回復した場合は、アダムス・ストークス症候群とされます。死亡した場合は、心臓まひや突然死と呼ばれることになります。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。
このリズムを作っているのが、心臓の上大静脈と右心房の境界あたりにある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させ、この電気刺激が右心房の壁から右心室の境界近くにある房室結節に伝達されることにより、心臓を規則正しく収縮させています。
洞結節で発する電気刺激の経路である刺激伝導系に障害が生じると、心臓が収縮しなくなり不整脈や心停止を来します。これにより脳に血液が送られなくなり、意識障害やけいれんなどを引き起こし、アダムス・ストークス症候群を生じます。
アダムス・ストークス症候群の原因は、5割から6割は刺激伝導系に障害が生じる房室ブロックによって心臓の拍動がゆっくりになる徐脈性不整脈、3割から4割が洞結節の働きが鈍くなったり心房が侵される洞不全症候群による徐脈・頻脈混合型不整脈とされ、ほかに心室頻拍や心室細動などによって心臓の拍動が速くなる頻脈性不整脈があります。
さらに、心房粗動や心房細動でも、心房から心室への伝導が過剰に高進すると高度頻脈となり、脳の虚血に陥ります。
アダムス・ストークス症候群は、前兆がなく突然起こるため予測や予防は困難です。最初はめまいなどの軽い症状ですぐに消失しても、数時間後、数日後に繰り返すことがあるので注意が必要で、早期に循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科など循環器専門医の診察を受けることが勧められます。
アダムス・ストークス症候群の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、不整脈が起きている時に心電図検査を行うことで診断がつきます。
循環器科、循環器内科などの医師による治療では、心臓の拍動がゆっくりになる徐脈が原因である場合は、意識消失発作の予防としてペースメーカーの埋め込み手術を行います。
ペースメーカーは、遅くなった自分の脈の代わりに、心臓の外から電気刺激を与える装置です。この装置の埋め込み手術は、肩の皮膚の下に電気刺激を発する小さな電池と、その刺激を心臓に伝えるリード線を入れるだけですから、局所麻酔で簡単にすますことができます。
また、心臓の拍動が速くなる心室頻拍、心室細動の再発が危ぶまれる時には、頻脈発生に際して、それを電気的に停止させる植込型除細動器(ICD)の植え込み手術を行います。
植え込み型除細動器は通常、左の胸部に植え込みます。鎖骨下の静脈に沿ってリード線を入れ、心臓の内壁に固定します。
アダムス・ストークス症候群とは、急に発生した不整脈などの心臓の異常により、脳への血液の供給が急激に減少したり停止して、脳が虚血状態に陥る症状。
疾患名は、1800年代前半にアイルランドの2人の内科医、ロバート・アダムスとウイリアム・ストークスがそれぞれ、心臓の拍動がゆっくりになる徐脈に伴う失神発作の症例を報告したことに由来します。
脳が虚血状態に陥るため、めまい、意識消失(失神)、けいれんなどを起こします。通常は数分程度で回復しますが、回復しない場合もあり、その際は死に至ることもあります。
症状は、不整脈の種類や異常の継続時間によって異なります。
脳の虚血状態が非常に短時間の場合は、めまい、一瞬意識が遠のく、一瞬手足の力が入らなくなるなどの症状が生じます。心臓の異常が数秒以上続いた場合は、意識消失などの意識障害を起こし、尿失禁、全身けいれんなどの症状が生じることもあります。
通常は数秒から数分程度で意識が回復しますが、心臓の動きが元に戻らない場合は、死亡するケースもあります。意識が回復した場合は、アダムス・ストークス症候群とされます。死亡した場合は、心臓まひや突然死と呼ばれることになります。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。
このリズムを作っているのが、心臓の上大静脈と右心房の境界あたりにある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させ、この電気刺激が右心房の壁から右心室の境界近くにある房室結節に伝達されることにより、心臓を規則正しく収縮させています。
洞結節で発する電気刺激の経路である刺激伝導系に障害が生じると、心臓が収縮しなくなり不整脈や心停止を来します。これにより脳に血液が送られなくなり、意識障害やけいれんなどを引き起こし、アダムス・ストークス症候群を生じます。
アダムス・ストークス症候群の原因は、5割から6割は刺激伝導系に障害が生じる房室ブロックによって心臓の拍動がゆっくりになる徐脈性不整脈、3割から4割が洞結節の働きが鈍くなったり心房が侵される洞不全症候群による徐脈・頻脈混合型不整脈とされ、ほかに心室頻拍や心室細動などによって心臓の拍動が速くなる頻脈性不整脈があります。
さらに、心房粗動や心房細動でも、心房から心室への伝導が過剰に高進すると高度頻脈となり、脳の虚血に陥ります。
アダムス・ストークス症候群は、前兆がなく突然起こるため予測や予防は困難です。最初はめまいなどの軽い症状ですぐに消失しても、数時間後、数日後に繰り返すことがあるので注意が必要で、早期に循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科など循環器専門医の診察を受けることが勧められます。
アダムス・ストークス症候群の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、不整脈が起きている時に心電図検査を行うことで診断がつきます。
循環器科、循環器内科などの医師による治療では、心臓の拍動がゆっくりになる徐脈が原因である場合は、意識消失発作の予防としてペースメーカーの埋め込み手術を行います。
ペースメーカーは、遅くなった自分の脈の代わりに、心臓の外から電気刺激を与える装置です。この装置の埋め込み手術は、肩の皮膚の下に電気刺激を発する小さな電池と、その刺激を心臓に伝えるリード線を入れるだけですから、局所麻酔で簡単にすますことができます。
また、心臓の拍動が速くなる心室頻拍、心室細動の再発が危ぶまれる時には、頻脈発生に際して、それを電気的に停止させる植込型除細動器(ICD)の植え込み手術を行います。
植え込み型除細動器は通常、左の胸部に植え込みます。鎖骨下の静脈に沿ってリード線を入れ、心臓の内壁に固定します。
■用語 心筋症 [用語(し)]
心臓の筋肉の伸び縮みがうまくできなくなった状態で、症状は千差万別
心筋症とは、心臓の内側を覆う心内膜と心臓の外側を包んでいる心膜との間にある心臓の筋肉、つまり心筋の伸び縮みがうまくできなくなった状態。
心臓は全身に血液を送り出すポンプとして一日中、休むことなく働いています。この働きの重要な担い手が、心筋です。
心筋は手足の筋肉と同様、伸びたり縮んだりして長さや太さが変わり、伸びた状態で心臓の上側の右心房と左心房で血液を受け取り、縮むことで心臓の下側の右心室と左心室から全身に血液を送り出しますが、心筋の伸び縮みがうまくできなくなると心筋症となり、心臓の機能の低下を起こします。
心筋症にはいろいろなタイプがあって、原因がはっきりする場合もありますが、大半は原因不明で特発性心筋症と呼ばれています。特発性とは、いろいろ調べても原因が特定できないという意味です。
一般に心筋症といえば、特発性心筋症を指します。原因不明といえども、最近では、遺伝子の異常に加え、免疫異常、ウイルス感染や環境要因がかかわっていることが明らかになってきました。
現在の医療でも、治療で心筋の状態を完全に正常に戻すことは困難とされていますので、決して侮ることはできません。ただし、心筋症の人すべてに心筋の機能低下が起こり、息切れや呼吸困難などの症状が出るわけではなく、全く症状のないまま生涯を全うする人も数多くいます。心筋の機能低下を食い止め、症状の出現を抑える治療も次々開発されてきましたので、心筋症といわれても決して落ち込むことはありません。
特発性心筋症は、大きく5つに分類されています。
正常な心臓と比べ、心筋が厚くなるのが、肥大型心筋症であり、閉塞(へいそく)性と非閉塞性とがあります。心筋が薄くなり心臓全体が拡張するのが、拡張型心筋症です。このほか、心筋が硬くなる拘束型心筋症、心臓の中でも右心室が拡大し、そこから不整脈が頻繁に起こる不整脈源性右室心筋症、さらに、これらに分類できない分類不能型心筋症があります。
肥大型心筋症は、文字通り心筋が厚くなる疾患。心筋の中でも左心室の出口に当たる左室中隔という部分の肥大がはっきりしてくると、心筋が収縮した時に血液の流れが妨げられ、運動した時などに息切れや胸の痛みが出現するようになります。このように血液の流れが妨げられる場合が、閉塞性の肥大型心筋症に相当します。
そうでない場合が、非閉塞性の肥大型心筋症に相当します。この非閉塞性は自覚症状がないまま、健康診断の際に心電図異常などで見付かることが、しばしばあります。非閉塞性の中でも、心臓の先端部分にだけ肥大を認めるタイプの心尖(しんせん)部肥大型心筋症の場合は、生涯にわたって何ら問題なく過ごすことが多いようです。
ただし、肥大型心筋症では年齢とともに心筋の肥大が進んだり、心筋の収縮機能が低下したりする場合もあるため、確かな診断と定期的な検査が必要になります。特に激しい運動をすると、危険な不整脈が出現して心臓突然死につながってしまう場合もあります。どの程度の運動までしてよいのか医師に相談することが大切で、閉塞性の肥大型心筋症の場合や、血縁者に突然死した人がいる場合には、激しい運動を控えることが必要です。
肥大型心筋症の頻度は約500人に1人で、発症者の2人に1人に同じ心筋症の家族歴があるといわれています。
拡張型心筋症は、30~40歳代と中年期の男性に起こりやすく、心筋の収縮機能が低下して、心臓の内腔(ないくう)が次第に拡張し、十分な血液を全身に送れなくなる疾患。十分な血液を送れなくなると、それを補うため心臓は容積を大きくして、1回の収縮で送り出す血液の量を増やそうとします。しかし、この状態が長く続くと、心臓の中に血液が滞って心臓はさらに拡張し、心筋は引き伸ばされて薄くなっていきます。これによって心臓にかかる負担はむしろ大きくなってしまう悪循環を招きます。
心臓の収縮機能が低下して全身に十分な血液がゆき渡らなくなると、脳から心臓に強く働くよう指令が出る一方、腎臓(じんぞう)では尿として排出される量が減り、そのぶん、体内の水分(体液)の量が増え、心臓にかかる負担はさらに増えます。
この悪循環が心不全といわれる状態で、拡張型心筋症の人は心不全の発症をいかに抑制するか、心不全になった場合はどのようにして悪循環から脱出するかが重要になります。
拘束型心筋症は、心筋の内側の心内膜が厚くなり、心筋が拘束されたように硬くなって広がりにくくなる疾患。
不整脈源性右室心筋症は、右心室全体のびまん性拡張と収縮低下を来す疾患。心室性頻拍症や右心不全で急死することが多く、特に西欧では若年者や運動選手の突然死に多く認められることで注目されています。しばしば家族内発症がみられ、優性遺伝形式をとる場合が多い傾向にあります。
原因不明の特発性心筋症以外の、原因がわかっていて二次的に心筋症が起こるものは、二次性心筋症です。
心筋の働きが悪くなる原因で最も多いのは、心臓に栄養を与えている血管(冠動脈)が動脈硬化によって狭くなり、心筋に十分な酸素や栄養がゆき渡らなくなって起こる心筋梗塞(こうそく)や狭心症です。一時的にでも完全に血流が途絶えると、心筋の機能が低下した状態が続くことになり、この状態を虚血性心筋症と呼びます。
これ以外に、全身のリンパ節に原因不明の炎症が生じるサルコイドーシスという疾患では、心筋にも炎症が起こり、心サルコイドーシスと呼ばれています。また、アミロイドといわれる異常な蛋白(たんぱく)質が全身で増えるアミロイドーシスという病気でも、心筋にアミロイドが沈着して心アミロイドーシスが起こります。心房細動と呼ばれる不整脈などで心拍数の高い状態が続き、心筋の伸び縮みがうまくいかなくなると頻脈誘発性心筋症が起こります。
さらに、甲状腺(せん)ホルモンの異常やビタミンの欠乏、アルコールの過量摂取、先天的な代謝異常などでも、心筋の機能低下が起こります。
心筋症の症状としては、主に体が要求する血液を送り出せないために起こる症状と、血液が体に滞るうっ血による症状とがあり、心筋症のタイプによって症状は異なります。
非閉塞性の肥大型心筋症では、若いうちは自覚症状がないのがほとんどですが、中高年以降に動悸(どうき)や、運動、作業をした時の息切れなどの症状があり、心房細動などの不整脈を切っ掛けに心不全を発症することがあります。
閉塞性の肥大型心筋症では、年齢にかかわらず、心臓から送り出す血液の量が不十分になるので、息切れ、呼吸困難、胸痛といった症状のほか、むくみ、失神などの症状が出ることもあります。
一方、拡張型心筋症や、肥大型心筋症のうち心筋の収縮機能が低下する拡張相肥大型心筋症では、体が要求する血液を十分に送り出せなくなるので、坂道や階段での息切れ、日中の尿量や尿の回数の減少、手足の冷たい感じ、全身倦怠(けんたい)感、さらに体重増加、むくみ、食欲不振、満腹感、夜間の呼吸困難や咳(せき)などの症状が出ます。
心筋症の自己チェック
心筋症で心不全になると、全身に水分(体液)が過剰にたまり、心臓にかかる負担が増えます。この状態を簡単に自分で確かめるには、体重を測定することです。
心不全と同じように息切れする疾患に、肺や気管支など呼吸器の疾患がありますが、ふつう体重は増えません。一方、心筋症による心不全では、体重が増えます。心筋症や心不全といわれたら、日々の体重測定が欠かせません。
毎日朝食前など同じ条件で体重測定した場合、前日にどれほど食べすぎたとしても、体脂肪の増加によって1日1キログラム上、1週間で3キログラム以上体重が増えることはまずありません。この数値以上に体重が増えた場合、水分が体内にたまり始めたと気付くべきです。
体重のほか、自分で確かめることができるものに、血圧と脈拍があります。心筋症で心臓から送り出す血液の量が減ると、それを補うため収縮回数が増え、頻脈が現れます。手首で15秒間に何回、脈が触れるかを測り、その数を4倍すれば1分間の心拍数を計算できます。自動血圧計を使えば、より簡単に心拍数をチェックできます。
心拍数が安静にしていても1分間に100回を超えている時や、脈が乱れている時は、心臓に異常が起きている疑いがあります。
血圧を測る時、血圧が基準より高いか低いかがよく問題になりますが、最高血圧(収縮期血圧)から最低血圧(拡張期血圧)を引いた数値として得られる脈圧も重要です。通常の脈圧は40・60㎜Hgで、最高血圧の4分の1以上とされていますが、心筋症で心臓が送り出す血液が減ると、それ未満になることがよくあります。ただし、脱水などでも同じようなことが起こるので注意が必要です。
むくみも、自分で簡単にチェックできます。むくみは足に起こりやすく、脛(すね) の部分を親指で押して、へこみが残るようであれば、体に過剰な水分がたまっている可能性が高くなります。ただし、腎臓病や血液中の蛋白質の量が減っている時も、むくみが出る場合もあります。
心筋症は症状が出にくく、症状が出た時は病状がすでに進んでいる場合が多いので、まずは毎年の健康診断をきちんと受けることが重要です。健康診断で異常が見付かったり、胸の自覚症状があった際には循環器科、循環器内科を受診することが勧められます。
心筋症の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科の医師による診断では、 肥大型心筋症の場合には、聴診や心電図検査で疾患の有無がわかります。心臓超音波検査を受ければ、疾患の状態もよくわかります。
拡張型心筋症の場合は、心臓超音波検査や心臓カテーテル検査が必要になります。
循環器科、循環器内科の医師による治療では、原因不明の特発性心筋症の場合は、症状が進まないようにするための食事指導、症状を抑えるための薬物療法を主に行います。どのタイプの心筋症であるかは関係なく、激しい運動や仕事を避け、精神的ストレスがかからないように注意します。
原因がはっきりする二次性心筋症の場合は、原因となっている病気を治療することが心筋の機能回復につながります。頻脈誘発性心筋症では、心拍数を低下させるか、不整脈を治療することで、心筋の働きを回復させられます。
心筋症とは、心臓の内側を覆う心内膜と心臓の外側を包んでいる心膜との間にある心臓の筋肉、つまり心筋の伸び縮みがうまくできなくなった状態。
心臓は全身に血液を送り出すポンプとして一日中、休むことなく働いています。この働きの重要な担い手が、心筋です。
心筋は手足の筋肉と同様、伸びたり縮んだりして長さや太さが変わり、伸びた状態で心臓の上側の右心房と左心房で血液を受け取り、縮むことで心臓の下側の右心室と左心室から全身に血液を送り出しますが、心筋の伸び縮みがうまくできなくなると心筋症となり、心臓の機能の低下を起こします。
心筋症にはいろいろなタイプがあって、原因がはっきりする場合もありますが、大半は原因不明で特発性心筋症と呼ばれています。特発性とは、いろいろ調べても原因が特定できないという意味です。
一般に心筋症といえば、特発性心筋症を指します。原因不明といえども、最近では、遺伝子の異常に加え、免疫異常、ウイルス感染や環境要因がかかわっていることが明らかになってきました。
現在の医療でも、治療で心筋の状態を完全に正常に戻すことは困難とされていますので、決して侮ることはできません。ただし、心筋症の人すべてに心筋の機能低下が起こり、息切れや呼吸困難などの症状が出るわけではなく、全く症状のないまま生涯を全うする人も数多くいます。心筋の機能低下を食い止め、症状の出現を抑える治療も次々開発されてきましたので、心筋症といわれても決して落ち込むことはありません。
特発性心筋症は、大きく5つに分類されています。
正常な心臓と比べ、心筋が厚くなるのが、肥大型心筋症であり、閉塞(へいそく)性と非閉塞性とがあります。心筋が薄くなり心臓全体が拡張するのが、拡張型心筋症です。このほか、心筋が硬くなる拘束型心筋症、心臓の中でも右心室が拡大し、そこから不整脈が頻繁に起こる不整脈源性右室心筋症、さらに、これらに分類できない分類不能型心筋症があります。
肥大型心筋症は、文字通り心筋が厚くなる疾患。心筋の中でも左心室の出口に当たる左室中隔という部分の肥大がはっきりしてくると、心筋が収縮した時に血液の流れが妨げられ、運動した時などに息切れや胸の痛みが出現するようになります。このように血液の流れが妨げられる場合が、閉塞性の肥大型心筋症に相当します。
そうでない場合が、非閉塞性の肥大型心筋症に相当します。この非閉塞性は自覚症状がないまま、健康診断の際に心電図異常などで見付かることが、しばしばあります。非閉塞性の中でも、心臓の先端部分にだけ肥大を認めるタイプの心尖(しんせん)部肥大型心筋症の場合は、生涯にわたって何ら問題なく過ごすことが多いようです。
ただし、肥大型心筋症では年齢とともに心筋の肥大が進んだり、心筋の収縮機能が低下したりする場合もあるため、確かな診断と定期的な検査が必要になります。特に激しい運動をすると、危険な不整脈が出現して心臓突然死につながってしまう場合もあります。どの程度の運動までしてよいのか医師に相談することが大切で、閉塞性の肥大型心筋症の場合や、血縁者に突然死した人がいる場合には、激しい運動を控えることが必要です。
肥大型心筋症の頻度は約500人に1人で、発症者の2人に1人に同じ心筋症の家族歴があるといわれています。
拡張型心筋症は、30~40歳代と中年期の男性に起こりやすく、心筋の収縮機能が低下して、心臓の内腔(ないくう)が次第に拡張し、十分な血液を全身に送れなくなる疾患。十分な血液を送れなくなると、それを補うため心臓は容積を大きくして、1回の収縮で送り出す血液の量を増やそうとします。しかし、この状態が長く続くと、心臓の中に血液が滞って心臓はさらに拡張し、心筋は引き伸ばされて薄くなっていきます。これによって心臓にかかる負担はむしろ大きくなってしまう悪循環を招きます。
心臓の収縮機能が低下して全身に十分な血液がゆき渡らなくなると、脳から心臓に強く働くよう指令が出る一方、腎臓(じんぞう)では尿として排出される量が減り、そのぶん、体内の水分(体液)の量が増え、心臓にかかる負担はさらに増えます。
この悪循環が心不全といわれる状態で、拡張型心筋症の人は心不全の発症をいかに抑制するか、心不全になった場合はどのようにして悪循環から脱出するかが重要になります。
拘束型心筋症は、心筋の内側の心内膜が厚くなり、心筋が拘束されたように硬くなって広がりにくくなる疾患。
不整脈源性右室心筋症は、右心室全体のびまん性拡張と収縮低下を来す疾患。心室性頻拍症や右心不全で急死することが多く、特に西欧では若年者や運動選手の突然死に多く認められることで注目されています。しばしば家族内発症がみられ、優性遺伝形式をとる場合が多い傾向にあります。
原因不明の特発性心筋症以外の、原因がわかっていて二次的に心筋症が起こるものは、二次性心筋症です。
心筋の働きが悪くなる原因で最も多いのは、心臓に栄養を与えている血管(冠動脈)が動脈硬化によって狭くなり、心筋に十分な酸素や栄養がゆき渡らなくなって起こる心筋梗塞(こうそく)や狭心症です。一時的にでも完全に血流が途絶えると、心筋の機能が低下した状態が続くことになり、この状態を虚血性心筋症と呼びます。
これ以外に、全身のリンパ節に原因不明の炎症が生じるサルコイドーシスという疾患では、心筋にも炎症が起こり、心サルコイドーシスと呼ばれています。また、アミロイドといわれる異常な蛋白(たんぱく)質が全身で増えるアミロイドーシスという病気でも、心筋にアミロイドが沈着して心アミロイドーシスが起こります。心房細動と呼ばれる不整脈などで心拍数の高い状態が続き、心筋の伸び縮みがうまくいかなくなると頻脈誘発性心筋症が起こります。
さらに、甲状腺(せん)ホルモンの異常やビタミンの欠乏、アルコールの過量摂取、先天的な代謝異常などでも、心筋の機能低下が起こります。
心筋症の症状としては、主に体が要求する血液を送り出せないために起こる症状と、血液が体に滞るうっ血による症状とがあり、心筋症のタイプによって症状は異なります。
非閉塞性の肥大型心筋症では、若いうちは自覚症状がないのがほとんどですが、中高年以降に動悸(どうき)や、運動、作業をした時の息切れなどの症状があり、心房細動などの不整脈を切っ掛けに心不全を発症することがあります。
閉塞性の肥大型心筋症では、年齢にかかわらず、心臓から送り出す血液の量が不十分になるので、息切れ、呼吸困難、胸痛といった症状のほか、むくみ、失神などの症状が出ることもあります。
一方、拡張型心筋症や、肥大型心筋症のうち心筋の収縮機能が低下する拡張相肥大型心筋症では、体が要求する血液を十分に送り出せなくなるので、坂道や階段での息切れ、日中の尿量や尿の回数の減少、手足の冷たい感じ、全身倦怠(けんたい)感、さらに体重増加、むくみ、食欲不振、満腹感、夜間の呼吸困難や咳(せき)などの症状が出ます。
心筋症の自己チェック
心筋症で心不全になると、全身に水分(体液)が過剰にたまり、心臓にかかる負担が増えます。この状態を簡単に自分で確かめるには、体重を測定することです。
心不全と同じように息切れする疾患に、肺や気管支など呼吸器の疾患がありますが、ふつう体重は増えません。一方、心筋症による心不全では、体重が増えます。心筋症や心不全といわれたら、日々の体重測定が欠かせません。
毎日朝食前など同じ条件で体重測定した場合、前日にどれほど食べすぎたとしても、体脂肪の増加によって1日1キログラム上、1週間で3キログラム以上体重が増えることはまずありません。この数値以上に体重が増えた場合、水分が体内にたまり始めたと気付くべきです。
体重のほか、自分で確かめることができるものに、血圧と脈拍があります。心筋症で心臓から送り出す血液の量が減ると、それを補うため収縮回数が増え、頻脈が現れます。手首で15秒間に何回、脈が触れるかを測り、その数を4倍すれば1分間の心拍数を計算できます。自動血圧計を使えば、より簡単に心拍数をチェックできます。
心拍数が安静にしていても1分間に100回を超えている時や、脈が乱れている時は、心臓に異常が起きている疑いがあります。
血圧を測る時、血圧が基準より高いか低いかがよく問題になりますが、最高血圧(収縮期血圧)から最低血圧(拡張期血圧)を引いた数値として得られる脈圧も重要です。通常の脈圧は40・60㎜Hgで、最高血圧の4分の1以上とされていますが、心筋症で心臓が送り出す血液が減ると、それ未満になることがよくあります。ただし、脱水などでも同じようなことが起こるので注意が必要です。
むくみも、自分で簡単にチェックできます。むくみは足に起こりやすく、脛(すね) の部分を親指で押して、へこみが残るようであれば、体に過剰な水分がたまっている可能性が高くなります。ただし、腎臓病や血液中の蛋白質の量が減っている時も、むくみが出る場合もあります。
心筋症は症状が出にくく、症状が出た時は病状がすでに進んでいる場合が多いので、まずは毎年の健康診断をきちんと受けることが重要です。健康診断で異常が見付かったり、胸の自覚症状があった際には循環器科、循環器内科を受診することが勧められます。
心筋症の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科の医師による診断では、 肥大型心筋症の場合には、聴診や心電図検査で疾患の有無がわかります。心臓超音波検査を受ければ、疾患の状態もよくわかります。
拡張型心筋症の場合は、心臓超音波検査や心臓カテーテル検査が必要になります。
循環器科、循環器内科の医師による治療では、原因不明の特発性心筋症の場合は、症状が進まないようにするための食事指導、症状を抑えるための薬物療法を主に行います。どのタイプの心筋症であるかは関係なく、激しい運動や仕事を避け、精神的ストレスがかからないように注意します。
原因がはっきりする二次性心筋症の場合は、原因となっている病気を治療することが心筋の機能回復につながります。頻脈誘発性心筋症では、心拍数を低下させるか、不整脈を治療することで、心筋の働きを回復させられます。
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■用語 精神社会性低身長症 [用語(さ行)]
愛情を感じられないストレスから、子供の睡眠時に成長ホルモンが十分に分泌されず、低身長を生じる状態
精神社会性低身長症とは、母子関係や家族関係の問題によって、子供が十分な愛情を感じられないまま育った結果、成長ホルモンの分泌が低下して身長が伸びない状態。精神社会的小人症、心理社会性低身長症、愛情遮断性低身長とも呼ばれます。
低身長は、さまざまな原因で身長が伸びない状態のことで、年齢別平均身長より20%、あるいは標準偏差(SD)より2SD以上低い場合を目安としており、同性・同年齢の100人に2~3人が低身長という定義に当てはまります。
精神社会性低身長症は、乳幼児から6歳児程度の子供に多くみられます。母親など養育者からの愛情を感じられない極度のストレスや不安から、子供は心から安らいでグッスリ眠ることができず、成長するために必要な成長ホルモンが睡眠時に脳下垂体から十分に分泌されなくなる結果、身体的な成長に遅れが生じ、年齢別平均身長を著しく下回ると考えられています。
子供は愛情ばかりでなく、十分な栄養を与えられていないこともあり、栄養不足も年齢に見合った身長の伸びを止めてしまう原因の1つになります。身体的な成長の遅れだけでなく、情緒の発達、言語や知的能力の発達の遅れを生じたり、行動異常を示すこともあります。
入院、死亡、離婚などによる母親不在の環境が原因となったり、母親など養育者が深い悩みを抱えていたり、うつ状態であったり、薬物依存や知的障害、精神的な病気を持っていたりして、適切な子育てができないことが原因となったりします。
母親など養育者自身が子供時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響する世代間伝達、愛情不足の連鎖もあります。夫婦仲が悪く、家庭環境の雰囲気が悪いことが原因になることもあります。
栄養障害によって現れる症状として、身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨(ろっこつ)が目立つ、お尻がへこんでいるなどがあります。不適切な養育の結果として観察される症状としては、おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ているなどがあります。子供の心理的な変化や行動異常によって現れる症状としては、目を合わせない、表情が乏しい、感情表現が乏しい、動作が緩慢、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、尿や便をもらす、寝付きが悪い、かんしゃくを起こすなどがあります。
愛情不足の養育や、より重大な問題がある虐待やネグレクト(育児放棄)が生後1年以内に始まり、3年以上続く時は、情緒や知能の障害が永久に回復しないといわれています。
養育者が子供の精神社会性低身長症に気付いたら、母子手帳の成長曲線をつけてみたり、子供らしい豊かな表情をしているかどうか、気を配りましょう。心配なことがあれば、小児科医や保健師に相談しましょう。
精神社会性低身長症の検査と診断と治療
小児科の医師による診断では、過去から現在までの身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、子供の成長を評価します。食事の内容から、栄養学的な分析をします。また、養育環境についての情報を集めます。
小児科の医師による治療では、食事の内容について養育者に栄養指導を行い、子供の年齢に見合った十分な食事を与えるようにします。
また、子供と養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。母親など養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。養育者は子供に対してストレスを与えていないつもりでも、気付いていない家庭の習慣が子供のストレスになっている場合もあります。
子供にとってストレスの少ない環境で、年齢に見合った十分な栄養を与えると体重が増加し、成長ホルモンの反応も回復して身長の伸びが促進されなど、成長の遅れは取り戻されます。
しかし、虐待やネグレクト(育児放棄)など養育者の子育てに重大な問題がある場合、ケースによっては養育者と子供を遠ざけることも必要です。入院で治療を受けさせたり、乳児院など保護観察施設で養育したりすることで遅れていた成長が改善されることもあります。
母親が不在の場合、あるいは母親がいても子供に愛情を十分に与えることができない場合には、母親に代わって父親や親に代わる養育者が十分な愛情を注ぐことで防ぐことは可能です。
精神社会性低身長症とは、母子関係や家族関係の問題によって、子供が十分な愛情を感じられないまま育った結果、成長ホルモンの分泌が低下して身長が伸びない状態。精神社会的小人症、心理社会性低身長症、愛情遮断性低身長とも呼ばれます。
低身長は、さまざまな原因で身長が伸びない状態のことで、年齢別平均身長より20%、あるいは標準偏差(SD)より2SD以上低い場合を目安としており、同性・同年齢の100人に2~3人が低身長という定義に当てはまります。
精神社会性低身長症は、乳幼児から6歳児程度の子供に多くみられます。母親など養育者からの愛情を感じられない極度のストレスや不安から、子供は心から安らいでグッスリ眠ることができず、成長するために必要な成長ホルモンが睡眠時に脳下垂体から十分に分泌されなくなる結果、身体的な成長に遅れが生じ、年齢別平均身長を著しく下回ると考えられています。
子供は愛情ばかりでなく、十分な栄養を与えられていないこともあり、栄養不足も年齢に見合った身長の伸びを止めてしまう原因の1つになります。身体的な成長の遅れだけでなく、情緒の発達、言語や知的能力の発達の遅れを生じたり、行動異常を示すこともあります。
入院、死亡、離婚などによる母親不在の環境が原因となったり、母親など養育者が深い悩みを抱えていたり、うつ状態であったり、薬物依存や知的障害、精神的な病気を持っていたりして、適切な子育てができないことが原因となったりします。
母親など養育者自身が子供時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響する世代間伝達、愛情不足の連鎖もあります。夫婦仲が悪く、家庭環境の雰囲気が悪いことが原因になることもあります。
栄養障害によって現れる症状として、身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨(ろっこつ)が目立つ、お尻がへこんでいるなどがあります。不適切な養育の結果として観察される症状としては、おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ているなどがあります。子供の心理的な変化や行動異常によって現れる症状としては、目を合わせない、表情が乏しい、感情表現が乏しい、動作が緩慢、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、尿や便をもらす、寝付きが悪い、かんしゃくを起こすなどがあります。
愛情不足の養育や、より重大な問題がある虐待やネグレクト(育児放棄)が生後1年以内に始まり、3年以上続く時は、情緒や知能の障害が永久に回復しないといわれています。
養育者が子供の精神社会性低身長症に気付いたら、母子手帳の成長曲線をつけてみたり、子供らしい豊かな表情をしているかどうか、気を配りましょう。心配なことがあれば、小児科医や保健師に相談しましょう。
精神社会性低身長症の検査と診断と治療
小児科の医師による診断では、過去から現在までの身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、子供の成長を評価します。食事の内容から、栄養学的な分析をします。また、養育環境についての情報を集めます。
小児科の医師による治療では、食事の内容について養育者に栄養指導を行い、子供の年齢に見合った十分な食事を与えるようにします。
また、子供と養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。母親など養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。養育者は子供に対してストレスを与えていないつもりでも、気付いていない家庭の習慣が子供のストレスになっている場合もあります。
子供にとってストレスの少ない環境で、年齢に見合った十分な栄養を与えると体重が増加し、成長ホルモンの反応も回復して身長の伸びが促進されなど、成長の遅れは取り戻されます。
しかし、虐待やネグレクト(育児放棄)など養育者の子育てに重大な問題がある場合、ケースによっては養育者と子供を遠ざけることも必要です。入院で治療を受けさせたり、乳児院など保護観察施設で養育したりすることで遅れていた成長が改善されることもあります。
母親が不在の場合、あるいは母親がいても子供に愛情を十分に与えることができない場合には、母親に代わって父親や親に代わる養育者が十分な愛情を注ぐことで防ぐことは可能です。
■糖質制限、極端だと免疫力低下で健康被害も 専門家がブームに警鐘 [健康ダイジェスト]
ダイエット目的で米やパンなどの摂取を極端に減らす糖質制限ブームが、「ご飯離れ」に拍車をかけています。飲食業界はご飯抜きメニューを次々と考案するなど対応を進めていますが、「極端な制限は栄養学的に問題」と警鐘を鳴らす専門家もいます。
「ご飯は全くといっていいほど食べない」と、東京都内で働く会社員女性(26歳)は断言しています。ダイエットのため食事から米を含めた糖質を制限して以来、「明らかにやせた」と効果を実感しているといい、米からできた日本酒も抜くほどの徹底ぶり。
カレーをご飯ではなく、おからやキャベツの千切りにかけて食べることもあるといいます。「ライスなしでも満腹感を得られる」と話していますが、実は女性の実家は山形県の米農家。実家からは定期的に自家生産した米が送られてくるものの、「実家には伝えていないが、ほとんど友達にあげている」と打ち明けています。
糖質制限は、ご飯やパン、麺、芋、果物などの炭水化物に含まれる糖質の摂取量を1日130グラム以下に抑えることで体重を減らしたり、血糖値などの検査数値を改善したりすることをねらう民間療法の一種。数年前から雑誌やテレビなどが相次いで特集するなどし、広まりました。人気の秘密は、糖質さえ制限していれば、おかずは何でも好きなだけ食べていいという取り組みやすさと、目にみえて現れる効果にあります。
飲食業界も流行に対応。回転ずし大手「くら寿司」は「野菜(831)の日」に当たる8月31日から、すしのシャリを大根の酢漬けに替える新商品「シャリ野菜」の販売を開始。シャリの量を半分にした「シャリプチ」も提供し、女性客を中心に好評だといいます。
同社の担当者は、「ご飯は控えたいが、すしを楽しみたいお客様のニーズに合わせた商品」と説明。ほかに、弁当のご飯をブロッコリーや湯豆腐に変更できる飲食店も登場したほか、ご飯以外でも炭水化物である麺抜きで野菜たっぷりのラーメンなどを提供する店もあります。
文教大学健康栄養学部の福永淑子教授(調理学)は、「健康な人でも極端に炭水化物を食習慣から取り除くなどの糖質制限は免疫力の低下を招き、さまざまな疾病につながりかねない」と強調。「健康被害の恐れもあり、極端な糖質制限の風潮が浸透するのは危険」と警鐘を鳴らしています。
糖質制限ブームは、日本人の主食である米の消費にも影響を与えかねません。もともと食生活の多様化や人口減などを背景に、日本人の1人当たりの米消費量は1962年度の年118・3キロをピークに下落に転じ、2016年度には年54・4キロ(概算)に半減し、歯止めがかかっていません。
こうした中、ご飯を食べてやせる「おにぎりダイエット」を提唱しているのが、全国農業協同組合連合会(JA全農)。
おにぎり1個は約180キロカロリーで、これを基準に食事量をコントロールしてもらいます。2016年2月から、おにぎりを食べてトレーニングをするキャンペーンを始め、実践した人の7割が1カ月間で500グラム以上の減量に成功し、体重が戻るリバウンドも起こしにくいとしています。
JA全農の担当者は、「極端な糖質制限の風潮は、米を含めた農業生産全体にかかわる問題」と危機感を抱いており、「ご飯を楽しみながら、バランスのよい食事を取ってほしい」と期待しています。
2017年11月12日(日)
「ご飯は全くといっていいほど食べない」と、東京都内で働く会社員女性(26歳)は断言しています。ダイエットのため食事から米を含めた糖質を制限して以来、「明らかにやせた」と効果を実感しているといい、米からできた日本酒も抜くほどの徹底ぶり。
カレーをご飯ではなく、おからやキャベツの千切りにかけて食べることもあるといいます。「ライスなしでも満腹感を得られる」と話していますが、実は女性の実家は山形県の米農家。実家からは定期的に自家生産した米が送られてくるものの、「実家には伝えていないが、ほとんど友達にあげている」と打ち明けています。
糖質制限は、ご飯やパン、麺、芋、果物などの炭水化物に含まれる糖質の摂取量を1日130グラム以下に抑えることで体重を減らしたり、血糖値などの検査数値を改善したりすることをねらう民間療法の一種。数年前から雑誌やテレビなどが相次いで特集するなどし、広まりました。人気の秘密は、糖質さえ制限していれば、おかずは何でも好きなだけ食べていいという取り組みやすさと、目にみえて現れる効果にあります。
飲食業界も流行に対応。回転ずし大手「くら寿司」は「野菜(831)の日」に当たる8月31日から、すしのシャリを大根の酢漬けに替える新商品「シャリ野菜」の販売を開始。シャリの量を半分にした「シャリプチ」も提供し、女性客を中心に好評だといいます。
同社の担当者は、「ご飯は控えたいが、すしを楽しみたいお客様のニーズに合わせた商品」と説明。ほかに、弁当のご飯をブロッコリーや湯豆腐に変更できる飲食店も登場したほか、ご飯以外でも炭水化物である麺抜きで野菜たっぷりのラーメンなどを提供する店もあります。
文教大学健康栄養学部の福永淑子教授(調理学)は、「健康な人でも極端に炭水化物を食習慣から取り除くなどの糖質制限は免疫力の低下を招き、さまざまな疾病につながりかねない」と強調。「健康被害の恐れもあり、極端な糖質制限の風潮が浸透するのは危険」と警鐘を鳴らしています。
糖質制限ブームは、日本人の主食である米の消費にも影響を与えかねません。もともと食生活の多様化や人口減などを背景に、日本人の1人当たりの米消費量は1962年度の年118・3キロをピークに下落に転じ、2016年度には年54・4キロ(概算)に半減し、歯止めがかかっていません。
こうした中、ご飯を食べてやせる「おにぎりダイエット」を提唱しているのが、全国農業協同組合連合会(JA全農)。
おにぎり1個は約180キロカロリーで、これを基準に食事量をコントロールしてもらいます。2016年2月から、おにぎりを食べてトレーニングをするキャンペーンを始め、実践した人の7割が1カ月間で500グラム以上の減量に成功し、体重が戻るリバウンドも起こしにくいとしています。
JA全農の担当者は、「極端な糖質制限の風潮は、米を含めた農業生産全体にかかわる問題」と危機感を抱いており、「ご飯を楽しみながら、バランスのよい食事を取ってほしい」と期待しています。
2017年11月12日(日)