■用語 HTLVー1関連脊髄症(HAM) [用語(A〜Z、数字)]
両足のまひによる歩行障害が起こり、ゆっくりと進行
HTLVー1関連脊髄(せきずい)症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM)とは、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(Human T Lymphotropic Virus type 1:HTLVー1)の白血球(リンパ球)への感染によって、両足の筋肉が徐々にまひしていく慢性進行性の脊髄疾患。ヒトTリンパ球向性ウイルス1型感染に関連する疾患群の一つとして、1986年に鹿児島大が初めて報告しました。
ヒトTリンパ球向性ウイルス1型を保持するキャリアの大多数は生涯にわたって、このHTLVー1関連脊髄症や成人T細胞白血病(ATL)などを発症しないまま健康に過ごし、ごく一部の人が発症します。
1998年の全国調査では、日本でのヒトTリンパ球向性ウイルス1型のキャリアは全国に約120万人いるとされましたが、HTLVー1関連脊髄症の発症者は約1500人と確認されました。現在、年間発症率はキャリア10万人当たり3人と極めて低くなっています。
発症者は全国的に分布し、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染者の多い九州、四国、沖縄に多くみられます。東京や大阪など人口の集中する大都市圏でも、頻度的には少ないものの相当数の発症者が見いだされています。
世界的にみると、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型キャリア、成人T細胞白血病の分布と一致して、カリブ海沿岸諸国、南アメリカ、アフリカ、南インド、イラン内陸部などに発症者の集積が確認されています。それらの地域からの移民を介して、ヨーロッパ諸国、アメリカ合衆国など、世界的に発症者の存在が報告されています。
ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染経路としては、母乳を介する母子間垂直感染と、輸血、性交渉による水平感染が知られていて、出産時や母胎内での感染もあります。輸血では、感染リンパ球を含んだ輸血により感染し、血漿(けっしょう)成分輸血、血液製剤では感染しません。
なお、日本では現在、献血に際して抗体スクリーニングが行われており、輸血後の発症はなくなりました。2008年には、厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の対象に追加されています。
発症は中年以降の成人に多くみられますが、10歳代、あるいはそれ以前の発症と考えられる例もあります。男女比は1:2・3と女性に多く、男性に多い成人T細胞白血病と対照的です。また、輸血後数週間で発症した例もあり、成人T細胞白血病が感染後長期のキャリア状態を経て発症するのとは異なります。
一義的な原因は、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染です。発症するメカニズムは、ウイルスに感染したTリンパ球が脊髄に浸潤し、その場でウイルス抗原を発現することにより、感染Tリンパ球を排除しようとするウイルス特異的免疫応答が生じ、その炎症反応に巻き込まれて周囲の脊髄組織が傷害されていると考えられています。感染者のごく一部にのみ発症するメカニズムはわかっていませんが、発症した人は体内のウイルス量が多いとされています。
基本的な症状は、慢性進行性の両足のまひで、痛みやしびれ、筋力の低下によって歩行障害を示します。初期の歩行障害は、足が棒のように突っ張って、ひきづりながら歩くため、足が内側を向いてしまい、靴の外側が擦れてきます。次第に突っ張りが強くなると、足を上げるのが困難となり、手すり歩行、車椅子移動になります。
同時に、自律神経症状は高率にみられ、特に、排尿困難、頻尿、残尿感、便秘などの膀胱直腸障害は初期より多くみられます。その他、進行例では皮膚乾燥、多くは汗をかきにくい発汗障害、起立性低血圧、インポテンツなども認められます。これらの症状はいずれも、脊髄の傷害を示唆するものであり、HTLVー1関連脊髄症の中核症状となっています。
それに加え、手指振戦、運動失調、眼球運動障害、あるいは軽度の認知症の症状を示し、病巣の広がりが想定される例もあります。
HTLVー1関連脊髄症の検査と診断と治療
HTLVー1関連脊髄症では、神経内科を受診することが重要で、医師の診察では極めて特徴的な所見の組み合わせがみられます。血液検査、腰椎穿刺(ようついせんし)で髄液検査を受け、血清抗HTLVー1抗体陽性、髄液抗HTLVー1抗体陽性を認めることが、診断の確定に必要です。また、類似の症状を示す他の疾患を除外するために、脊柱のレントゲン撮影やMRI検査が行われます。
治療においては、病態に対応した治療が行われます。脊髄の炎症の活動性がほとんどないと考えられる例では、足の突っ張りや排尿障害などに対する対症療法や、継続的なリハビリテーションのみでも有効です。筋弛緩(しかん)剤の使用や、腰や脊柱の筋力増強、アキレス腱の伸張により、歩行の改善が得られます。
排尿障害に対しては、尿道口からカテーテルを膀胱(ぼうこう)に挿入して、人工的に排尿させる導尿という方法により、外出への不安解消や夜間頻尿による不眠の改善など、日常生活動作(ADL)の改善が期待されます。
明らかな症状の進行がみられ、脊髄の炎症の活動期と判断される例では、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の増殖を抑制する抗ウイルス療法が最も理にかなった治療法といえます。しかし、残念ながらウイルスの体内での増殖を抑制する薬剤は、これまでに見付かっていません。他のいくつかの薬剤には、症状を軽減したり進行を遅らせる効果があることが報告されています。
副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の内服により、約7割の発症者で何らかの治療効果がみられていますが、むやみに大量投与や長期間継続することは避けられます。副作用、特に高齢者女性の骨粗鬆(こつそしょう)症による骨折、感染症の誘発、糖尿病の誘発には、十分注意が必要とされます。内服の中止により、しばしば再燃がみられています。
また、HTLVー1関連脊髄症に対して唯一医療保険適応となっているインターフェロンα剤も用いられ、ウイルス量の減少、免疫異常の改善がみられていますが、やはり、うつ症状や肝障害、白血球減少などの副作用には、十分な注意が必要とされます。
うつ症状や発熱による長期間の活動性低下は、運動機能の低下につながります。通常は徐々にまひしていく慢性進行性ですが、進行が早く数週間で歩行不能になる例もみられます。高齢での発症で進行度が早い傾向があり、重症例では両下肢の完全まひ、体の筋力低下による座位障害で寝たきりとなります。
一方で、運動障害が軽度のまま、長期に渡り症状の進行がほとんどみられない発症者も多くみられます。両腕の完全まひ、飲み下しや発声障害などを来す例はほとんどなく、基本的に生命予後は良好。
感染予防として、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型キャリアの妊婦の場合、産婦人科医と相談して、母乳を3カ月限定にするか、人工乳にします。血液を感染経路とするため、血の付いた歯ブラシなどは共用しないことです。
HTLVー1関連脊髄(せきずい)症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM)とは、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(Human T Lymphotropic Virus type 1:HTLVー1)の白血球(リンパ球)への感染によって、両足の筋肉が徐々にまひしていく慢性進行性の脊髄疾患。ヒトTリンパ球向性ウイルス1型感染に関連する疾患群の一つとして、1986年に鹿児島大が初めて報告しました。
ヒトTリンパ球向性ウイルス1型を保持するキャリアの大多数は生涯にわたって、このHTLVー1関連脊髄症や成人T細胞白血病(ATL)などを発症しないまま健康に過ごし、ごく一部の人が発症します。
1998年の全国調査では、日本でのヒトTリンパ球向性ウイルス1型のキャリアは全国に約120万人いるとされましたが、HTLVー1関連脊髄症の発症者は約1500人と確認されました。現在、年間発症率はキャリア10万人当たり3人と極めて低くなっています。
発症者は全国的に分布し、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染者の多い九州、四国、沖縄に多くみられます。東京や大阪など人口の集中する大都市圏でも、頻度的には少ないものの相当数の発症者が見いだされています。
世界的にみると、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型キャリア、成人T細胞白血病の分布と一致して、カリブ海沿岸諸国、南アメリカ、アフリカ、南インド、イラン内陸部などに発症者の集積が確認されています。それらの地域からの移民を介して、ヨーロッパ諸国、アメリカ合衆国など、世界的に発症者の存在が報告されています。
ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染経路としては、母乳を介する母子間垂直感染と、輸血、性交渉による水平感染が知られていて、出産時や母胎内での感染もあります。輸血では、感染リンパ球を含んだ輸血により感染し、血漿(けっしょう)成分輸血、血液製剤では感染しません。
なお、日本では現在、献血に際して抗体スクリーニングが行われており、輸血後の発症はなくなりました。2008年には、厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の対象に追加されています。
発症は中年以降の成人に多くみられますが、10歳代、あるいはそれ以前の発症と考えられる例もあります。男女比は1:2・3と女性に多く、男性に多い成人T細胞白血病と対照的です。また、輸血後数週間で発症した例もあり、成人T細胞白血病が感染後長期のキャリア状態を経て発症するのとは異なります。
一義的な原因は、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染です。発症するメカニズムは、ウイルスに感染したTリンパ球が脊髄に浸潤し、その場でウイルス抗原を発現することにより、感染Tリンパ球を排除しようとするウイルス特異的免疫応答が生じ、その炎症反応に巻き込まれて周囲の脊髄組織が傷害されていると考えられています。感染者のごく一部にのみ発症するメカニズムはわかっていませんが、発症した人は体内のウイルス量が多いとされています。
基本的な症状は、慢性進行性の両足のまひで、痛みやしびれ、筋力の低下によって歩行障害を示します。初期の歩行障害は、足が棒のように突っ張って、ひきづりながら歩くため、足が内側を向いてしまい、靴の外側が擦れてきます。次第に突っ張りが強くなると、足を上げるのが困難となり、手すり歩行、車椅子移動になります。
同時に、自律神経症状は高率にみられ、特に、排尿困難、頻尿、残尿感、便秘などの膀胱直腸障害は初期より多くみられます。その他、進行例では皮膚乾燥、多くは汗をかきにくい発汗障害、起立性低血圧、インポテンツなども認められます。これらの症状はいずれも、脊髄の傷害を示唆するものであり、HTLVー1関連脊髄症の中核症状となっています。
それに加え、手指振戦、運動失調、眼球運動障害、あるいは軽度の認知症の症状を示し、病巣の広がりが想定される例もあります。
HTLVー1関連脊髄症の検査と診断と治療
HTLVー1関連脊髄症では、神経内科を受診することが重要で、医師の診察では極めて特徴的な所見の組み合わせがみられます。血液検査、腰椎穿刺(ようついせんし)で髄液検査を受け、血清抗HTLVー1抗体陽性、髄液抗HTLVー1抗体陽性を認めることが、診断の確定に必要です。また、類似の症状を示す他の疾患を除外するために、脊柱のレントゲン撮影やMRI検査が行われます。
治療においては、病態に対応した治療が行われます。脊髄の炎症の活動性がほとんどないと考えられる例では、足の突っ張りや排尿障害などに対する対症療法や、継続的なリハビリテーションのみでも有効です。筋弛緩(しかん)剤の使用や、腰や脊柱の筋力増強、アキレス腱の伸張により、歩行の改善が得られます。
排尿障害に対しては、尿道口からカテーテルを膀胱(ぼうこう)に挿入して、人工的に排尿させる導尿という方法により、外出への不安解消や夜間頻尿による不眠の改善など、日常生活動作(ADL)の改善が期待されます。
明らかな症状の進行がみられ、脊髄の炎症の活動期と判断される例では、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の増殖を抑制する抗ウイルス療法が最も理にかなった治療法といえます。しかし、残念ながらウイルスの体内での増殖を抑制する薬剤は、これまでに見付かっていません。他のいくつかの薬剤には、症状を軽減したり進行を遅らせる効果があることが報告されています。
副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の内服により、約7割の発症者で何らかの治療効果がみられていますが、むやみに大量投与や長期間継続することは避けられます。副作用、特に高齢者女性の骨粗鬆(こつそしょう)症による骨折、感染症の誘発、糖尿病の誘発には、十分注意が必要とされます。内服の中止により、しばしば再燃がみられています。
また、HTLVー1関連脊髄症に対して唯一医療保険適応となっているインターフェロンα剤も用いられ、ウイルス量の減少、免疫異常の改善がみられていますが、やはり、うつ症状や肝障害、白血球減少などの副作用には、十分な注意が必要とされます。
うつ症状や発熱による長期間の活動性低下は、運動機能の低下につながります。通常は徐々にまひしていく慢性進行性ですが、進行が早く数週間で歩行不能になる例もみられます。高齢での発症で進行度が早い傾向があり、重症例では両下肢の完全まひ、体の筋力低下による座位障害で寝たきりとなります。
一方で、運動障害が軽度のまま、長期に渡り症状の進行がほとんどみられない発症者も多くみられます。両腕の完全まひ、飲み下しや発声障害などを来す例はほとんどなく、基本的に生命予後は良好。
感染予防として、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型キャリアの妊婦の場合、産婦人科医と相談して、母乳を3カ月限定にするか、人工乳にします。血液を感染経路とするため、血の付いた歯ブラシなどは共用しないことです。
■テルモ、インスリンポンプの製造販売承認を取得 国内初の貼り付け式製品を来夏に発売へ [健康ダイジェスト]
医療機器の製造・販売の国内最大手「テルモ」(東京都渋谷区)は13日、主に1型糖尿病患者に持続的にインスリンを投与するインスリンポンプで、国内初となる貼り付け(パッチ)式製品の製造販売承認を取得したと発表しました。
2018年夏の発売を目指します。従来の製品では分離していたポンプと注入部を一体化させ、無線のリモコンで操作します。テルモがインスリンポンプを手掛けるのは初めてですが、使い勝手のよさでシェア獲得をねらいます。
インスリンポンプの製品名は「メディセーフウィズ」。インスリンポンプは皮下に刺し込んだ針を通じて、インスリンを投与します。時間帯ごとに注入量を変更でき、膵臓(すいぞう)の働きに近い血糖値の調整が可能になるなどのメリットがあります。自己注射に比べて血糖値の変動が改善されるという報告もあります。
ただ、これまで国内で販売されてきたインスリンポンプは注入部とポンプが別々の構造で、間をチューブでつないでいるため手や物にぶつかるトラブルも起きやすく、インスリン投与中断の原因になっているという問題がありました。
メディセーフウィズはポンプ機能を注入部に集約し、日常生活の中での使いやすさを重視しました。リモコンはタッチパネル式で、食事の種類や食べ方に応じたインスリンの注入量を設定できます。インスリンを充填したカートリッジは3日に1回交換。針部分を貼り付けたままポンプを取り外して、入浴も可能です。
2017年11月13日(月)
2018年夏の発売を目指します。従来の製品では分離していたポンプと注入部を一体化させ、無線のリモコンで操作します。テルモがインスリンポンプを手掛けるのは初めてですが、使い勝手のよさでシェア獲得をねらいます。
インスリンポンプの製品名は「メディセーフウィズ」。インスリンポンプは皮下に刺し込んだ針を通じて、インスリンを投与します。時間帯ごとに注入量を変更でき、膵臓(すいぞう)の働きに近い血糖値の調整が可能になるなどのメリットがあります。自己注射に比べて血糖値の変動が改善されるという報告もあります。
ただ、これまで国内で販売されてきたインスリンポンプは注入部とポンプが別々の構造で、間をチューブでつないでいるため手や物にぶつかるトラブルも起きやすく、インスリン投与中断の原因になっているという問題がありました。
メディセーフウィズはポンプ機能を注入部に集約し、日常生活の中での使いやすさを重視しました。リモコンはタッチパネル式で、食事の種類や食べ方に応じたインスリンの注入量を設定できます。インスリンを充填したカートリッジは3日に1回交換。針部分を貼り付けたままポンプを取り外して、入浴も可能です。
2017年11月13日(月)
■キャッスルマン病、指定難病に追加へ 厚労省、来春から医療費を助成 [健康ダイジェスト]
厚生労働省の検討委員会は13日、難病医療法に基づき来年度から医療費が助成される指定難病の第4次実施分に、特発性多中心性キャッスルマン病を新たに追加することで合意しました。
検討委員会は9月以降、研究班や関係学会から出された61疾患が指定難病の要件を満たしているか検討してきました。2015年1月に助成が始まった指定難病はこれで計331疾患となり、計約100万人が対象になります。
特発性多中心性キャッスルマン病は、リンパ節がはれて発熱や貧血、全身のだるさなど、さまざまな症状を引き起こす原因不明の病気で、国内の患者数は推計1500人。患者会の福島かおり代表は東京都内で記者会見し、「適切に診断されなかったり、薬代が高額で治療を受けられずに悪化したりする患者は多い。指定難病になることで認知度が上がって速やかな治療につながればうれしい」と話しました。
この特発性多中心性キャッスルマン病の研究班は、大阪大学の吉崎和幸特任教授(73歳)らが2年前に立ち上げました。吉崎さんは1980年代に病気の原因分子を特定し、大阪大がこの分子の働きを抑える薬の開発に貢献してきました。ただ現状では、薬で症状を抑えることしかできません。吉崎さんは、「根本的な原因を解明して根治治療を目指したい」と話しています。
検討委員会は同日、A20ハプロ不全症、関節型若年性特発性関節炎、自己免疫性後天性凝固第Ⅴ/5因子(F5)欠乏症、ジュベール症候群関連疾患、先天性声門下狭窄症の5疾患についても、すでに指定難病となっている疾病に統合することにしました。残りの疾患は、来年度以降に検討します。
2017年11月13日(月)
検討委員会は9月以降、研究班や関係学会から出された61疾患が指定難病の要件を満たしているか検討してきました。2015年1月に助成が始まった指定難病はこれで計331疾患となり、計約100万人が対象になります。
特発性多中心性キャッスルマン病は、リンパ節がはれて発熱や貧血、全身のだるさなど、さまざまな症状を引き起こす原因不明の病気で、国内の患者数は推計1500人。患者会の福島かおり代表は東京都内で記者会見し、「適切に診断されなかったり、薬代が高額で治療を受けられずに悪化したりする患者は多い。指定難病になることで認知度が上がって速やかな治療につながればうれしい」と話しました。
この特発性多中心性キャッスルマン病の研究班は、大阪大学の吉崎和幸特任教授(73歳)らが2年前に立ち上げました。吉崎さんは1980年代に病気の原因分子を特定し、大阪大がこの分子の働きを抑える薬の開発に貢献してきました。ただ現状では、薬で症状を抑えることしかできません。吉崎さんは、「根本的な原因を解明して根治治療を目指したい」と話しています。
検討委員会は同日、A20ハプロ不全症、関節型若年性特発性関節炎、自己免疫性後天性凝固第Ⅴ/5因子(F5)欠乏症、ジュベール症候群関連疾患、先天性声門下狭窄症の5疾患についても、すでに指定難病となっている疾病に統合することにしました。残りの疾患は、来年度以降に検討します。
2017年11月13日(月)
■北朝鮮からの大量難民を想定し、マラリアなどの感染症対策を検討へ 厚労省研究班 [健康ダイジェスト]
緊迫する北朝鮮情勢を受け、厚生労働省が有事に伴い大量の難民が日本にやってきた場合の感染症対策について検討を始めたことが13日、明らかになりました。
今年度中をめどに研究班が対策案を取りまとめ、国は医療体制や医薬品の整備などにつなげる方針です。厚労省によると、北朝鮮からの難民を想定した感染症対策の研究は初めて。
核開発やミサイル発射を繰り返す北朝鮮で有事が起きた場合、大量の難民が発生し、その一部が日本にやってくる可能性があります。研究班は、北朝鮮から数万人の難民が日本にやってくるとの想定で対応策を検討。研究対象として、北朝鮮で発生している感染症の把握、難民保護施設などで集団感染が起きた場合の対応、予防接種対策などが挙がっています。
世界保健機関(WHO)の報告によると、北朝鮮では蚊が媒介する感染症「マラリア」など、日本では流行していない感染症が起きています。また、国民への予防接種が十分でない恐れがあり、はしか(麻疹)や風疹、ウイルス性肝炎など予防接種で防げる感染症が、難民保護施設などで流行する恐れもあります。そのため、研究班は国内であらかじめ準備すべき予防接種の種類や、医薬品と医療機器の量などを検討します。
北朝鮮有事に備えた研究は、感染症などの発生を把握する「感染症サーベイランス」の改善や強化について2015年度から研究している厚労省研究班の新たなテーマとして今月、追加されました。
研究班は国立感染症研究所の専門家、感染症に詳しい医師、保健所の職員などで構成され、世界で発生する新たな感染症や流行がぶり返した感染症などの把握の方法や対策を今年度末までの予定で検討しています。
2017年11月13日(月)
今年度中をめどに研究班が対策案を取りまとめ、国は医療体制や医薬品の整備などにつなげる方針です。厚労省によると、北朝鮮からの難民を想定した感染症対策の研究は初めて。
核開発やミサイル発射を繰り返す北朝鮮で有事が起きた場合、大量の難民が発生し、その一部が日本にやってくる可能性があります。研究班は、北朝鮮から数万人の難民が日本にやってくるとの想定で対応策を検討。研究対象として、北朝鮮で発生している感染症の把握、難民保護施設などで集団感染が起きた場合の対応、予防接種対策などが挙がっています。
世界保健機関(WHO)の報告によると、北朝鮮では蚊が媒介する感染症「マラリア」など、日本では流行していない感染症が起きています。また、国民への予防接種が十分でない恐れがあり、はしか(麻疹)や風疹、ウイルス性肝炎など予防接種で防げる感染症が、難民保護施設などで流行する恐れもあります。そのため、研究班は国内であらかじめ準備すべき予防接種の種類や、医薬品と医療機器の量などを検討します。
北朝鮮有事に備えた研究は、感染症などの発生を把握する「感染症サーベイランス」の改善や強化について2015年度から研究している厚労省研究班の新たなテーマとして今月、追加されました。
研究班は国立感染症研究所の専門家、感染症に詳しい医師、保健所の職員などで構成され、世界で発生する新たな感染症や流行がぶり返した感染症などの把握の方法や対策を今年度末までの予定で検討しています。
2017年11月13日(月)
■用語 低出生体重性低身長症 [用語(た行)]
極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない低身長症
低出生体重性低身長症とは、妊娠週数(在胎週数)の割に極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない状態。SGA(Small-for-Gestational Age)性低身長症とも呼ばれます。
子供の低身長症は、身長の伸びを妨げる原因によっていくつかの種類に分けられますが、その中の1つに相当します。
厚生労働省の調査によると、生まれたばかりの新生児の平均身長は男児49・2センチ、女児48・7センチ、平均体重は男児3076グラム、女児2990グラムと報告されています。実際には平均より大きく生まれる新生児もいれば、平均より小さく生まれる新生児もいるわけで、小さく生まれた新生児の中には、母親の胎内にいる間の妊娠週数(在胎週数)からみた時に、身長の伸びや体重の増加がゆっくりで、一定の基準に追い付かずに生まれてくる新生児がいます。
こうした新生児は、胎内発育遅延児(SGA児)と呼ばれます。原因については、母体や胎盤が原因のこともあれば、胎児や遺伝の問題ということもあり、さまざまな要因が重なりあっていると考えられます。
男児の標準的な成長をみると、1歳までに25センチ、1~2歳の間に10センチ、2~3歳の間に8センチ伸びますから、約50センチで生まれた新生児は3歳の時におよそ93センチに成長すると予測できます。子供の体には、こうした成長パターンが組み込まれているために、たとえ小さく生まれたとしても、10人中9人の子供は3歳になるまでの間に、身長が標準の範囲まで追い付きます。
しかし、10人中1人くらいの割合で、3歳を過ぎても身長が標準の範囲まで追い付かない子供がいます。こうした子供は、低出生体重性低身長症(SGA性低身長症)と呼ばれます。
低出生体重性低身長症の子供は、成長ホルモンの分泌はほぼ正常なものの、幼児期を過ぎ、小学校に上がってからも低身長のまま経過することが報告されています。また、通常に比べて思春期の訪れがやや早い傾向もあります。低身長のまま思春期を早く迎えることで、成人になっても背が低いことが予測されます。
低出生体重性低身長症か否かを知る手段の1つに、成長曲線をつける方法があります。成長曲線は、生まれた時からの子供の成長を折れ線グラフで示すもので、母子手帳にも付いています。子供の身長の測定値を継続して記載し、過去のものと線で結んでグラフ化します。あらかじめ標準的な身長グラフも記載されているので、その標準身長と子供の身長を比較してみましょう。もともと、胎内発育遅延児(SGA児)で、3歳になっても-2SD(標準偏差)以上の差がみられる場合は、低出生体重性低身長症が強く疑われます。
子供に低出生体重性低身長症が疑われたら、小児科、小児内分泌科の専門医を受診してください。低身長を改善するために、3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。成長ホルモンの効果は個人差がありますが、効果を出すにはなるべく早い時期から治療を開始するほうが望ましいとされています。
低出生体重性低身長症の検査と診断と治療
小児科、小児内分泌科の医師による診断では、まず生まれた時の様子や、妊娠週数(在胎週数)と体重と身長、その後の成長の様子などを聞くので、受診する保護者には母子手帳や成長曲線の記録などを持参するようにしてもらいます。また、身長と体重の測定などで現在の成長の状況なども調べ、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に判断します。
低身長には、低出生体重性低身長症以外にも、体質性のもの、疾患によるものなどさまざまな原因が考えられるため、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症による低身長などがあります。
小児科、小児内分泌科の医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することで、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンを補って、背の伸びを促進させる成長ホルモン療法を行います。ヒト成長ホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。
本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は保護者が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日1回寝る前に皮膚の下5ミリの部位に皮下注射します。
現在、使いやすくて安全なペン型の注射器が普及しています。従来のものよりも針先を細くして痛みを少なくしたり、注射器に補助具をつけることで針先が見えなくなるなどの工夫がされています。また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や、針のない圧力式注射器も登場しています。このような注射器を使えば安定した注射ができ、自宅で治療を続けることができます。ヒト成長ホルモンの注射を始めた子供の日常生活上の特別な注意点はなく、運動は自由、食事も自由です。
成長ホルモン療法により1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。
低出生体重性低身長症とは、妊娠週数(在胎週数)の割に極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない状態。SGA(Small-for-Gestational Age)性低身長症とも呼ばれます。
子供の低身長症は、身長の伸びを妨げる原因によっていくつかの種類に分けられますが、その中の1つに相当します。
厚生労働省の調査によると、生まれたばかりの新生児の平均身長は男児49・2センチ、女児48・7センチ、平均体重は男児3076グラム、女児2990グラムと報告されています。実際には平均より大きく生まれる新生児もいれば、平均より小さく生まれる新生児もいるわけで、小さく生まれた新生児の中には、母親の胎内にいる間の妊娠週数(在胎週数)からみた時に、身長の伸びや体重の増加がゆっくりで、一定の基準に追い付かずに生まれてくる新生児がいます。
こうした新生児は、胎内発育遅延児(SGA児)と呼ばれます。原因については、母体や胎盤が原因のこともあれば、胎児や遺伝の問題ということもあり、さまざまな要因が重なりあっていると考えられます。
男児の標準的な成長をみると、1歳までに25センチ、1~2歳の間に10センチ、2~3歳の間に8センチ伸びますから、約50センチで生まれた新生児は3歳の時におよそ93センチに成長すると予測できます。子供の体には、こうした成長パターンが組み込まれているために、たとえ小さく生まれたとしても、10人中9人の子供は3歳になるまでの間に、身長が標準の範囲まで追い付きます。
しかし、10人中1人くらいの割合で、3歳を過ぎても身長が標準の範囲まで追い付かない子供がいます。こうした子供は、低出生体重性低身長症(SGA性低身長症)と呼ばれます。
低出生体重性低身長症の子供は、成長ホルモンの分泌はほぼ正常なものの、幼児期を過ぎ、小学校に上がってからも低身長のまま経過することが報告されています。また、通常に比べて思春期の訪れがやや早い傾向もあります。低身長のまま思春期を早く迎えることで、成人になっても背が低いことが予測されます。
低出生体重性低身長症か否かを知る手段の1つに、成長曲線をつける方法があります。成長曲線は、生まれた時からの子供の成長を折れ線グラフで示すもので、母子手帳にも付いています。子供の身長の測定値を継続して記載し、過去のものと線で結んでグラフ化します。あらかじめ標準的な身長グラフも記載されているので、その標準身長と子供の身長を比較してみましょう。もともと、胎内発育遅延児(SGA児)で、3歳になっても-2SD(標準偏差)以上の差がみられる場合は、低出生体重性低身長症が強く疑われます。
子供に低出生体重性低身長症が疑われたら、小児科、小児内分泌科の専門医を受診してください。低身長を改善するために、3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。成長ホルモンの効果は個人差がありますが、効果を出すにはなるべく早い時期から治療を開始するほうが望ましいとされています。
低出生体重性低身長症の検査と診断と治療
小児科、小児内分泌科の医師による診断では、まず生まれた時の様子や、妊娠週数(在胎週数)と体重と身長、その後の成長の様子などを聞くので、受診する保護者には母子手帳や成長曲線の記録などを持参するようにしてもらいます。また、身長と体重の測定などで現在の成長の状況なども調べ、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に判断します。
低身長には、低出生体重性低身長症以外にも、体質性のもの、疾患によるものなどさまざまな原因が考えられるため、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症による低身長などがあります。
小児科、小児内分泌科の医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することで、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンを補って、背の伸びを促進させる成長ホルモン療法を行います。ヒト成長ホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。
本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は保護者が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日1回寝る前に皮膚の下5ミリの部位に皮下注射します。
現在、使いやすくて安全なペン型の注射器が普及しています。従来のものよりも針先を細くして痛みを少なくしたり、注射器に補助具をつけることで針先が見えなくなるなどの工夫がされています。また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や、針のない圧力式注射器も登場しています。このような注射器を使えば安定した注射ができ、自宅で治療を続けることができます。ヒト成長ホルモンの注射を始めた子供の日常生活上の特別な注意点はなく、運動は自由、食事も自由です。
成長ホルモン療法により1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。
■用語 重症虚血肢 [用語(し)]
足や手の動脈に慢性的に動脈硬化が起こっている虚血肢が重症化した状態
重症虚血肢とは、足や手への血流障害によって、安静時にも足に痛みがあり、足先に潰瘍(かいよう)や壊死(えし)が生じた状態。
足や手の動脈が動脈硬化になって細くなったり、詰まったりして、慢性的に血の巡りが悪くなっている虚血肢の症状が進行すると、重症虚血肢の症状が現れます。虚血肢は、閉塞(へいそく)性動脈硬化症、もしくは慢性動脈閉塞症と呼ばれている疾患が、末梢(まっしょう)動脈、すなわち足や手の動脈に起きている状態で、症状は主に足に現れます。
動脈に脂肪分が沈着して粥状(じゅくじょう)硬化(アテローム硬化)が起こると、血管の内膜が肥厚して内腔(ないくう)が狭くなったり、潰瘍ができたりします。結果として、血流に障害が起き、血液が固まって血栓を生じ、詰まりやすい状態になります。
虚血肢を起こした場合、足や手の動脈だけでなく、全身の血管にも動脈硬化を来している場合が少なくありません。3割の人で冠動脈疾患の合併、2割の人で脳血管障害の合併が認められます。
発症しやすいのは、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの動脈硬化の危険因子を持っている人。食生活やライフスタイルの欧米化により、動脈硬化を基盤とする虚血肢が急速に増えています。
初期の症状は、足の冷感やしびれです。進行すると、短い距離を歩いただけで、ふくらはぎや太ももの裏側が重くなってきたり、痛みを感じるようになります。2〜3分休むとよくなり、再び歩くことができます。この間欠性跛行(はこう)や足のしびれなどの症状が神経痛の症状と似ているために、勘違いされて見逃されることも多く見受けられます。
さらに進行して重症虚血肢になると、じっとしている安静時にも足に痛みが現れるようになったり、靴擦れや深爪(ふかづめ)といったちょっとしたけがが治らず、足先に潰瘍ができてただれ、傷口が治りにくくなったりします。病変がある動脈で、急に血液が固まって急性閉塞が起きた場合には、24時間を経過した後で、筋肉に壊死が起こることもあります。
重症虚血肢は自然によくなることはなく、個人差はありますが次第に進行してゆきます。重症虚血肢をほうっておくと、最終的には末期重症虚血肢となって全く血が通わない虚血のために足が腐敗し、切断しなければならない可能性が高くなります。
重症虚血肢の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による診断では、血管が閉塞した部位より先の動脈は、拍動が触れなくなります。四肢の血圧から足関節/上腕血圧比を測ることにより、さらに詳しく下肢の虚血を診断できます。
血管の閉塞した部位を確認するために、CT(コンピュータ断層撮影)検査 、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うこともあります。確定診断には、血管造影検査が必要になります。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による治療では、初期の足の冷感やしびれに対しては、血管を広げる血管拡張薬や、血液を固まりにくくする抗血小板薬を中心に治療を行います。手足の痛みが強く、肘(ひじ)や膝(ひざ)から上の比較的狭い範囲で慢性の動脈閉塞が起きている場合には、カテーテル治療、レーザー血管形成術、バイパス手術、血管新生療法などを行います。
カテーテル治療は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)の治療で行われるバルーン療法と同じ血管内治療。閉塞した部位にカテーテルを通し、そこで風船を膨らませて閉塞を治した後、再閉塞を防ぐためにコイルを留置します。レーザー血管形成術は、閉塞部近くまでカテーテルを挿入し、レーザー光を発して血栓や肥厚した内膜を霧状に散らす療法。
バイパス手術は、閉塞した動脈の代わりに人工血管や自家静脈、自家動脈を使ってバイパス(側副血行路)を作り、動脈の血行を再建する治療。腹部から太ももにある太い動脈の再建には、ダクロンやゴアテックスなどの素材でできた人工血管が用いられることが多く、膝下から足先にある細い動脈の再建には、自家静脈が適しています。自家静脈としては、足の表面近くにある大伏在静脈や小伏在静脈が用いられます。
血管新生療法は、肝細胞を増殖させる物質の遺伝子が血管を新しく作ることがわかったため、それを使って行う新しい治療。血管を新生する因子(HGF)を産生する遺伝子を含む医薬を筋肉に注射し、新しい血管を誕生させて血流をよみがえらせます。
治療方法は数多くあるものの、虚血肢が進行して重症虚血肢、末期重症虚血肢になり、壊死が進行した場合は、足の切断が必要になることがあります。日本では毎年、1万人程度が足の切断を余儀なくされていると推定されます。しかし、血液の流れを改善して壊死に陥った足指を切断すれば、脛(すね)や太ももで切断する大切断を避けられる可能性があります。
この虚血肢は、糖尿病や高血圧、高脂血症がある人に起こりやすいので、このような既往症のある人は、食生活を正して食べすぎを避け、減塩を守ること、ストレスを解消すること、禁煙をすることが必要です。
また、足の症状が出るまでは、休みながらも繰り返し歩くように心掛けます。歩くことにより、バイパス(側副血行路)が発達し血行が改善します。靴下、毛布などを使って、足の保温にも努めます。寒冷刺激は足の血管をさらに収縮させ、血液の循環を悪くさせるからで、入浴も血行の改善に役立ちます。
足はいつも清潔にしておき、爪を切る時は深爪をしないようにし、靴も足先のきつくないものを選ぶようにします。
重症虚血肢とは、足や手への血流障害によって、安静時にも足に痛みがあり、足先に潰瘍(かいよう)や壊死(えし)が生じた状態。
足や手の動脈が動脈硬化になって細くなったり、詰まったりして、慢性的に血の巡りが悪くなっている虚血肢の症状が進行すると、重症虚血肢の症状が現れます。虚血肢は、閉塞(へいそく)性動脈硬化症、もしくは慢性動脈閉塞症と呼ばれている疾患が、末梢(まっしょう)動脈、すなわち足や手の動脈に起きている状態で、症状は主に足に現れます。
動脈に脂肪分が沈着して粥状(じゅくじょう)硬化(アテローム硬化)が起こると、血管の内膜が肥厚して内腔(ないくう)が狭くなったり、潰瘍ができたりします。結果として、血流に障害が起き、血液が固まって血栓を生じ、詰まりやすい状態になります。
虚血肢を起こした場合、足や手の動脈だけでなく、全身の血管にも動脈硬化を来している場合が少なくありません。3割の人で冠動脈疾患の合併、2割の人で脳血管障害の合併が認められます。
発症しやすいのは、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの動脈硬化の危険因子を持っている人。食生活やライフスタイルの欧米化により、動脈硬化を基盤とする虚血肢が急速に増えています。
初期の症状は、足の冷感やしびれです。進行すると、短い距離を歩いただけで、ふくらはぎや太ももの裏側が重くなってきたり、痛みを感じるようになります。2〜3分休むとよくなり、再び歩くことができます。この間欠性跛行(はこう)や足のしびれなどの症状が神経痛の症状と似ているために、勘違いされて見逃されることも多く見受けられます。
さらに進行して重症虚血肢になると、じっとしている安静時にも足に痛みが現れるようになったり、靴擦れや深爪(ふかづめ)といったちょっとしたけがが治らず、足先に潰瘍ができてただれ、傷口が治りにくくなったりします。病変がある動脈で、急に血液が固まって急性閉塞が起きた場合には、24時間を経過した後で、筋肉に壊死が起こることもあります。
重症虚血肢は自然によくなることはなく、個人差はありますが次第に進行してゆきます。重症虚血肢をほうっておくと、最終的には末期重症虚血肢となって全く血が通わない虚血のために足が腐敗し、切断しなければならない可能性が高くなります。
重症虚血肢の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による診断では、血管が閉塞した部位より先の動脈は、拍動が触れなくなります。四肢の血圧から足関節/上腕血圧比を測ることにより、さらに詳しく下肢の虚血を診断できます。
血管の閉塞した部位を確認するために、CT(コンピュータ断層撮影)検査 、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うこともあります。確定診断には、血管造影検査が必要になります。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による治療では、初期の足の冷感やしびれに対しては、血管を広げる血管拡張薬や、血液を固まりにくくする抗血小板薬を中心に治療を行います。手足の痛みが強く、肘(ひじ)や膝(ひざ)から上の比較的狭い範囲で慢性の動脈閉塞が起きている場合には、カテーテル治療、レーザー血管形成術、バイパス手術、血管新生療法などを行います。
カテーテル治療は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)の治療で行われるバルーン療法と同じ血管内治療。閉塞した部位にカテーテルを通し、そこで風船を膨らませて閉塞を治した後、再閉塞を防ぐためにコイルを留置します。レーザー血管形成術は、閉塞部近くまでカテーテルを挿入し、レーザー光を発して血栓や肥厚した内膜を霧状に散らす療法。
バイパス手術は、閉塞した動脈の代わりに人工血管や自家静脈、自家動脈を使ってバイパス(側副血行路)を作り、動脈の血行を再建する治療。腹部から太ももにある太い動脈の再建には、ダクロンやゴアテックスなどの素材でできた人工血管が用いられることが多く、膝下から足先にある細い動脈の再建には、自家静脈が適しています。自家静脈としては、足の表面近くにある大伏在静脈や小伏在静脈が用いられます。
血管新生療法は、肝細胞を増殖させる物質の遺伝子が血管を新しく作ることがわかったため、それを使って行う新しい治療。血管を新生する因子(HGF)を産生する遺伝子を含む医薬を筋肉に注射し、新しい血管を誕生させて血流をよみがえらせます。
治療方法は数多くあるものの、虚血肢が進行して重症虚血肢、末期重症虚血肢になり、壊死が進行した場合は、足の切断が必要になることがあります。日本では毎年、1万人程度が足の切断を余儀なくされていると推定されます。しかし、血液の流れを改善して壊死に陥った足指を切断すれば、脛(すね)や太ももで切断する大切断を避けられる可能性があります。
この虚血肢は、糖尿病や高血圧、高脂血症がある人に起こりやすいので、このような既往症のある人は、食生活を正して食べすぎを避け、減塩を守ること、ストレスを解消すること、禁煙をすることが必要です。
また、足の症状が出るまでは、休みながらも繰り返し歩くように心掛けます。歩くことにより、バイパス(側副血行路)が発達し血行が改善します。靴下、毛布などを使って、足の保温にも努めます。寒冷刺激は足の血管をさらに収縮させ、血液の循環を悪くさせるからで、入浴も血行の改善に役立ちます。
足はいつも清潔にしておき、爪を切る時は深爪をしないようにし、靴も足先のきつくないものを選ぶようにします。
タグ:過敏性血管炎 脈なし病 用語(し) 用語 重症虚血肢 表在性血栓性静脈炎 用語(さ行) 健康創造塾 虚血肢 キャッスルマン病 早朝高血圧 HTLVー1関連脊髄症 深部静脈血栓症 無症候性心筋虚血(SMI) 顆粒球減少症 真性多血症 末梢動脈疾患(PAD) ボタロー管開存症(動脈管開存症) 解離性大動脈瘤 菌血症 側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎) 赤血球増加症 ビュルガー病 ロングフライト血栓症 動脈管開存症 仮面高血圧 肺高血圧症 高安病 本態性血小板血症 二次性赤血球増加症 血栓性静脈炎 肺塞栓、肺梗塞 続発性赤血球増加症 対称性壊疽 旅行者血栓症 閉塞性血栓血管炎(バージャー病) 巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎) 急性肺血栓塞栓症 神経循環無力症
■用語 虚血肢 [用語(き)]
血管の病変が手足の動脈に慢性的に起こっている状態
虚血肢とは、足や手の動脈が動脈硬化になって細くなったり、詰まったりして、慢性的に血の巡りが悪くなっている状態。
閉塞(へいそく)性動脈硬化症、もしくは慢性動脈閉塞症と呼ばれている疾患が、末梢(まっしょう)動脈、すなわち足や手の動脈に起きている状態で、症状は主に足に現れます。
動脈に脂肪分が沈着して粥状(じゅくじょう)硬化(アテローム硬化)が起こると、血管の内膜が肥厚して内腔(ないくう)が狭くなったり、潰瘍(かいよう)ができたりします。結果として、血流に障害が起き、血液が固まって血栓を生じ、詰まりやすい状態になります。
虚血肢を起こした場合、足や手の動脈だけでなく、全身の血管にも動脈硬化を来している場合が少なくありません。3割の人で冠動脈疾患の合併、2割の人で脳血管障害の合併が認められます。
発症しやすいのは、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの動脈硬化の危険因子を持っている人。食生活やライフスタイルの欧米化により、動脈硬化を基盤とする虚血肢が急速に増えています。
初期の症状は、足の冷感やしびれです。進行すると、短い距離を歩いただけで、ふくらはぎや太ももの裏側が重くなってきたり、痛みを感じるようになります。2〜3分休むとよくなり、再び歩くことができます。この間欠性跛行(はこう)や足のしびれなどの症状が神経痛の症状と似ているために、勘違いされて見逃されることも多く見受けられます。
さらに進行して重症虚血肢になると、じっとしている安静時にも足に痛みが現れるようになったり、靴擦れや深爪(ふかづめ)といったちょっとしたけがが治らず、足先に潰瘍ができてただれ、傷口が治りにくくなったりします。病変がある動脈で、急に血液が固まって急性閉塞が起きた場合には、24時間を経過した後で、筋肉に壊死(えし)が起こることもあります。
重症虚血肢は自然によくなることはなく、個人差はありますが次第に進行してゆきます。重症虚血肢をほうっておくと、最終的には末期重症虚血肢となって全く血が通わない虚血のために足が腐敗し、切断しなければならない可能性が高くなります。
虚血肢の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による診断では、血管が閉塞した部位より先の動脈は、拍動が触れなくなります。四肢の血圧から足関節/上腕血圧比を測ることにより、さらに詳しく下肢の虚血を診断できます。
血管の閉塞した部位を確認するために、CT(コンピュータ断層撮影)検査 、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うこともあります。確定診断には、血管造影検査が必要になります。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による治療では、初期の足の冷感やしびれに対しては、血管を広げる血管拡張薬や、血液を固まりにくくする抗血小板薬を中心に治療を行います。手足の痛みが強く、肘(ひじ)や膝(ひざ)から上の比較的狭い範囲で慢性の動脈閉塞が起きている場合には、カテーテル治療、レーザー血管形成術、バイパス手術、血管新生療法などを行います。
カテーテル治療は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)の治療で行われるバルーン療法と同じ血管内治療。閉塞した部位にカテーテルを通し、そこで風船を膨らませて閉塞を治した後、再閉塞を防ぐためにコイルを留置します。レーザー血管形成術は、閉塞部近くまでカテーテルを挿入し、レーザー光を発して血栓や肥厚した内膜を霧状に散らす療法。
バイパス手術は、閉塞した動脈の代わりに人工血管や自家静脈、自家動脈を使ってバイパス(側副血行路)を作り、動脈の血行を再建する治療。腹部から太ももにある太い動脈の再建には、ダクロンやゴアテックスなどの素材でできた人工血管が用いられることが多く、膝下から足先にある細い動脈の再建には、自家静脈が適しています。自家静脈としては、足の表面近くにある大伏在静脈や小伏在静脈が用いられます。
血管新生療法は、肝細胞を増殖させる物質の遺伝子が血管を新しく作ることがわかったため、それを使って行う新しい治療。血管を新生する因子(HGF)を産生する遺伝子を含む医薬を筋肉に注射し、新しい血管を誕生させて血流をよみがえらせます。
治療方法は数多くあるものの、虚血肢が進行して重症虚血肢、末期重症虚血肢になり、壊死が進行した場合は、足の切断が必要になることがあります。日本では毎年、1万人程度が足の切断を余儀なくされていると推定されます。しかし、血液の流れを改善して壊死に陥った足指を切断すれば、脛(すね)や太ももで切断する大切断を避けられる可能性があります。
この虚血肢は、糖尿病や高血圧、高脂血症がある人に起こりやすいので、このような既往症のある人は、食生活を正して食べすぎを避け、減塩を守ること、ストレスを解消すること、禁煙をすることが必要です。
また、足の症状が出るまでは、休みながらも繰り返し歩くように心掛けます。歩くことにより、バイパス(側副血行路)が発達し血行が改善します。靴下、毛布などを使って、足の保温にも努めます。寒冷刺激は足の血管をさらに収縮させ、血液の循環を悪くさせるからで、入浴も血行の改善に役立ちます。
足はいつも清潔にしておき、爪を切る時は深爪をしないようにし、靴も足先のきつくないものを選ぶようにします。
虚血肢とは、足や手の動脈が動脈硬化になって細くなったり、詰まったりして、慢性的に血の巡りが悪くなっている状態。
閉塞(へいそく)性動脈硬化症、もしくは慢性動脈閉塞症と呼ばれている疾患が、末梢(まっしょう)動脈、すなわち足や手の動脈に起きている状態で、症状は主に足に現れます。
動脈に脂肪分が沈着して粥状(じゅくじょう)硬化(アテローム硬化)が起こると、血管の内膜が肥厚して内腔(ないくう)が狭くなったり、潰瘍(かいよう)ができたりします。結果として、血流に障害が起き、血液が固まって血栓を生じ、詰まりやすい状態になります。
虚血肢を起こした場合、足や手の動脈だけでなく、全身の血管にも動脈硬化を来している場合が少なくありません。3割の人で冠動脈疾患の合併、2割の人で脳血管障害の合併が認められます。
発症しやすいのは、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの動脈硬化の危険因子を持っている人。食生活やライフスタイルの欧米化により、動脈硬化を基盤とする虚血肢が急速に増えています。
初期の症状は、足の冷感やしびれです。進行すると、短い距離を歩いただけで、ふくらはぎや太ももの裏側が重くなってきたり、痛みを感じるようになります。2〜3分休むとよくなり、再び歩くことができます。この間欠性跛行(はこう)や足のしびれなどの症状が神経痛の症状と似ているために、勘違いされて見逃されることも多く見受けられます。
さらに進行して重症虚血肢になると、じっとしている安静時にも足に痛みが現れるようになったり、靴擦れや深爪(ふかづめ)といったちょっとしたけがが治らず、足先に潰瘍ができてただれ、傷口が治りにくくなったりします。病変がある動脈で、急に血液が固まって急性閉塞が起きた場合には、24時間を経過した後で、筋肉に壊死(えし)が起こることもあります。
重症虚血肢は自然によくなることはなく、個人差はありますが次第に進行してゆきます。重症虚血肢をほうっておくと、最終的には末期重症虚血肢となって全く血が通わない虚血のために足が腐敗し、切断しなければならない可能性が高くなります。
虚血肢の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による診断では、血管が閉塞した部位より先の動脈は、拍動が触れなくなります。四肢の血圧から足関節/上腕血圧比を測ることにより、さらに詳しく下肢の虚血を診断できます。
血管の閉塞した部位を確認するために、CT(コンピュータ断層撮影)検査 、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うこともあります。確定診断には、血管造影検査が必要になります。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科などの医師による治療では、初期の足の冷感やしびれに対しては、血管を広げる血管拡張薬や、血液を固まりにくくする抗血小板薬を中心に治療を行います。手足の痛みが強く、肘(ひじ)や膝(ひざ)から上の比較的狭い範囲で慢性の動脈閉塞が起きている場合には、カテーテル治療、レーザー血管形成術、バイパス手術、血管新生療法などを行います。
カテーテル治療は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)の治療で行われるバルーン療法と同じ血管内治療。閉塞した部位にカテーテルを通し、そこで風船を膨らませて閉塞を治した後、再閉塞を防ぐためにコイルを留置します。レーザー血管形成術は、閉塞部近くまでカテーテルを挿入し、レーザー光を発して血栓や肥厚した内膜を霧状に散らす療法。
バイパス手術は、閉塞した動脈の代わりに人工血管や自家静脈、自家動脈を使ってバイパス(側副血行路)を作り、動脈の血行を再建する治療。腹部から太ももにある太い動脈の再建には、ダクロンやゴアテックスなどの素材でできた人工血管が用いられることが多く、膝下から足先にある細い動脈の再建には、自家静脈が適しています。自家静脈としては、足の表面近くにある大伏在静脈や小伏在静脈が用いられます。
血管新生療法は、肝細胞を増殖させる物質の遺伝子が血管を新しく作ることがわかったため、それを使って行う新しい治療。血管を新生する因子(HGF)を産生する遺伝子を含む医薬を筋肉に注射し、新しい血管を誕生させて血流をよみがえらせます。
治療方法は数多くあるものの、虚血肢が進行して重症虚血肢、末期重症虚血肢になり、壊死が進行した場合は、足の切断が必要になることがあります。日本では毎年、1万人程度が足の切断を余儀なくされていると推定されます。しかし、血液の流れを改善して壊死に陥った足指を切断すれば、脛(すね)や太ももで切断する大切断を避けられる可能性があります。
この虚血肢は、糖尿病や高血圧、高脂血症がある人に起こりやすいので、このような既往症のある人は、食生活を正して食べすぎを避け、減塩を守ること、ストレスを解消すること、禁煙をすることが必要です。
また、足の症状が出るまでは、休みながらも繰り返し歩くように心掛けます。歩くことにより、バイパス(側副血行路)が発達し血行が改善します。靴下、毛布などを使って、足の保温にも努めます。寒冷刺激は足の血管をさらに収縮させ、血液の循環を悪くさせるからで、入浴も血行の改善に役立ちます。
足はいつも清潔にしておき、爪を切る時は深爪をしないようにし、靴も足先のきつくないものを選ぶようにします。
タグ:用語(か行) ビュルガー病 用語 用語(き) 赤血球増加症 虚血肢 うっ血 健康創造塾 特発性脱疽(バージャー病) 血栓症 顕微鏡的多発血管炎 結節性多発動脈炎 閉塞性血栓血管炎(バージャー病) 肺高血圧症 鉄欠乏性貧血 脈なし病 高安病 深部静脈血栓症 ボタロー管開存症(動脈管開存症) 旅行者血栓症 二次性赤血球増加症 低血圧症 真性多血症 本態性血小板血症 多血症(赤血球増加症) 大動脈瘤 大血管転位症 エコノミークラス症候群 大動脈炎症候群 キャッスルマン病 解離性大動脈瘤 静脈瘤 重症虚血肢 仮面高血圧 閉塞性動脈硬化症 顆粒球減少症 動脈管開存症(ボタロー管開存症) 大動脈縮窄症 レイノー病 過敏性血管炎 静脈血栓症 早朝高血圧 白血球増加症 菌血症 HTLVー1関連脊髄症 白衣高血圧 末梢動脈疾患(PAD) 肺動脈狭窄症 バージャー病 肺塞栓、肺梗塞 巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
■用語 肥大型心筋症 [用語(ひ)]
心臓の筋肉の疾患で、左心室心筋の異常肥大を特徴とする疾患
肥大型心筋症とは、心臓で血液を送り出している左心室心筋の異常肥大を特徴とし、原因または原因との関連が不明な疾患。原因として多くは、心筋収縮に関連する蛋白(たんぱく)質の遺伝子変異が認められます。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、心臓は絶え間なく血液を全身に送り出すことができるのです。リズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。
心筋が肥大して厚くなると、心臓内部の空間が狭くなって、心臓は十分な量の血液を送り出せなくなります。右心室と左心室の間にある心室中隔の上部で、左心室心筋の肥大が著しい場合には、心臓が収縮する時に左心室の血液流出路の狭窄(きょうさく)を生じるものがあり、これを閉塞(へいそく)性肥大型心筋症と呼びます。
狭窄の生じないものは、非閉塞性肥大型心筋症と呼びます。この非閉塞性肥大型心筋症の中で、肥大する部位が心臓の底の心尖(しんせん)部に限局するものは、心尖部肥大型心筋症と呼びます。
また、肥大型心筋症では、心室中隔以外の部分である左心室自由壁に比べて、心室中隔の異常肥大が著しいことが一般的なため、非対称性中隔肥大と呼ぶこともあります。
症状としては、非閉塞性肥大型心筋症では、動悸(どうき)、呼吸困難、胸部圧迫感、胸痛などが自覚症状として現れます。
閉塞性肥大型心筋症では、さらにめまい、あるいは失神が加わります。失神の多くは運動時に起こりますが、運動をすると安静時よりも心臓が強く収縮するため、左心室の血液流出路の閉塞を強めるためと考えられます。重い場合には、運動中に急死することもあります。多くみられるのは、若年者で家族歴に急死例のある人。
非閉塞性肥大型心筋症では多くの場合、無症状か症状が軽度なので、検診の心電図異常で見付かるか、自覚症状がないまま突然死でたまたま見付かることもまれではありません。
肥大型心筋症の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、症状、身体所見、心電図などの各種検査、特に心臓超音波検査(心エコー)の所見により、心筋肥大の分布、心臓全体の収縮力の状態を判断します。
閉塞性肥大型心筋症の場合には、左心室の血液流出路付近の狭窄部分の血流の速さを超音波ドップラー法を用いて測定し、重症度を調べます。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、β(ベータ)遮断剤やカルシウム拮抗(きっこう)剤、ジソピラミド(リスモダン)などを処方します。これらの薬剤は、心筋の弾力性を保ったり、左心室の血液流出路の狭窄を軽減したりする目的で用います。しかし、これらの薬剤も急死を予防できるものではありません。
閉塞性肥大型心筋症の場合には、ペースメーカーの植え込みによる治療を行うこともあります。この治療は、右心室側へ外的な電気刺激を与えて心筋の収縮リズムをコントロールすることにより、左心室側の心筋の収縮に遅れが生じて血液流出路の狭窄が著しく軽減することを利用したもので、ぺースメーカーの植え込み後はほとんどの症例で、短期間のうちに失神発作などの症状がなくなります。
心筋の異常肥大が著しい場合には、肥大している心筋に栄養を送っている冠動脈にエタノールを注入して、その心筋を部分的に壊死(えし)させたり、肥大している心筋の一部を切り取って血液が流れやすくする手術を行うこともあります。
日常生活では、自覚症状のない軽症例でも運動中の急死が起こりますから、急激な運動は避けます。
肥大型心筋症とは、心臓で血液を送り出している左心室心筋の異常肥大を特徴とし、原因または原因との関連が不明な疾患。原因として多くは、心筋収縮に関連する蛋白(たんぱく)質の遺伝子変異が認められます。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、心臓は絶え間なく血液を全身に送り出すことができるのです。リズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。
心筋が肥大して厚くなると、心臓内部の空間が狭くなって、心臓は十分な量の血液を送り出せなくなります。右心室と左心室の間にある心室中隔の上部で、左心室心筋の肥大が著しい場合には、心臓が収縮する時に左心室の血液流出路の狭窄(きょうさく)を生じるものがあり、これを閉塞(へいそく)性肥大型心筋症と呼びます。
狭窄の生じないものは、非閉塞性肥大型心筋症と呼びます。この非閉塞性肥大型心筋症の中で、肥大する部位が心臓の底の心尖(しんせん)部に限局するものは、心尖部肥大型心筋症と呼びます。
また、肥大型心筋症では、心室中隔以外の部分である左心室自由壁に比べて、心室中隔の異常肥大が著しいことが一般的なため、非対称性中隔肥大と呼ぶこともあります。
症状としては、非閉塞性肥大型心筋症では、動悸(どうき)、呼吸困難、胸部圧迫感、胸痛などが自覚症状として現れます。
閉塞性肥大型心筋症では、さらにめまい、あるいは失神が加わります。失神の多くは運動時に起こりますが、運動をすると安静時よりも心臓が強く収縮するため、左心室の血液流出路の閉塞を強めるためと考えられます。重い場合には、運動中に急死することもあります。多くみられるのは、若年者で家族歴に急死例のある人。
非閉塞性肥大型心筋症では多くの場合、無症状か症状が軽度なので、検診の心電図異常で見付かるか、自覚症状がないまま突然死でたまたま見付かることもまれではありません。
肥大型心筋症の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、症状、身体所見、心電図などの各種検査、特に心臓超音波検査(心エコー)の所見により、心筋肥大の分布、心臓全体の収縮力の状態を判断します。
閉塞性肥大型心筋症の場合には、左心室の血液流出路付近の狭窄部分の血流の速さを超音波ドップラー法を用いて測定し、重症度を調べます。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、β(ベータ)遮断剤やカルシウム拮抗(きっこう)剤、ジソピラミド(リスモダン)などを処方します。これらの薬剤は、心筋の弾力性を保ったり、左心室の血液流出路の狭窄を軽減したりする目的で用います。しかし、これらの薬剤も急死を予防できるものではありません。
閉塞性肥大型心筋症の場合には、ペースメーカーの植え込みによる治療を行うこともあります。この治療は、右心室側へ外的な電気刺激を与えて心筋の収縮リズムをコントロールすることにより、左心室側の心筋の収縮に遅れが生じて血液流出路の狭窄が著しく軽減することを利用したもので、ぺースメーカーの植え込み後はほとんどの症例で、短期間のうちに失神発作などの症状がなくなります。
心筋の異常肥大が著しい場合には、肥大している心筋に栄養を送っている冠動脈にエタノールを注入して、その心筋を部分的に壊死(えし)させたり、肥大している心筋の一部を切り取って血液が流れやすくする手術を行うこともあります。
日常生活では、自覚症状のない軽症例でも運動中の急死が起こりますから、急激な運動は避けます。
■用語 急性心不全 [用語(き)]
心臓のポンプ機能が急速に低下し、体に十分な血液を供給できなくなるとともに、肺や全身にうっ血が起こる病態
急性心不全とは、心臓の血液を送り出すポンプ機能が急速に低下することによって、体の血液循環が維持できない状態と、肺や全身に血液が滞るうっ血状態とが短期間のうちに起こる病態。
急性心不全の原因として最も多いのは、突発的に発症する急性心筋梗塞(こうそく)などの虚血性心疾患です。心臓を動かす心筋に栄養分や酸素を運ぶ冠動脈が動脈硬化などで閉塞(へいそく)して、心臓の機能が低下したり、心筋に壊死(えし)が起こることに起因します。
一方で、慢性心不全を抱えている場合に、安定した状態から急激に悪化して、急性心不全が起こる場合もあります。例えば、心臓に余分な負担がかかる高血圧症、心臓内の血流を制御する弁に障害を生じる心臓弁膜症、心臓を動かす心筋に障害を生じる心筋症や心筋炎が原因となります。
そのほかにも、先天性心疾患や甲状腺(こうじょうせん)機能高進症、不整脈、糖尿病などが原因となって慢性心不全を抱えている場合に、精神的・肉体的ストレスを受けたり、暴飲暴食をしたり、風邪などの感染症にかかったり、あるいは貧血や妊娠などを切っ掛けになって、急性心不全を起こすことがあります。
急性心不全の症状は、軽症のものから命にかかわるわるものまで多彩です。代表的な症状としては、激しい呼吸困難、せき込み、血たん、胸部の痛みや圧迫感、脈拍数の増加、動悸(どうき)、乏尿、腹部膨満、冷や汗、顔面の皮膚蒼白(そうはく)、冷感、浮腫(ふしゅ)、腹水で、全身が酸素不足に陥いると唇(くちびる)や爪先(つまさき)、皮膚や粘膜などが青紫色に変色するチアノーゼ、さらに意識障害が現れることもあります。多くの場合、血圧は低下します。
急性心不全では、急速に進行して死亡するケースも少なくありません。症状に気付いたら一刻も早く、専門医のいる救急病院に入院することです。呼吸の状態が悪い場合は、救急車による搬送を依頼します。
急性心不全の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断は、一刻を争う場合が多いため、治療と同時に行います。まず行う検査は、胸部X線検査、心電図、心臓超音波検査(心エコー)、血液検査、カテーテル検査です。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療は、まずは呼吸困難の改善と臓器のうっ血状態の改善、いわゆる救命救急措置を早急に行います。
一般的に行われる初期治療は、酸素療法と薬物療法です。酸素療法によって、呼吸の安定化とともに動脈血の酸素含量を高め、臓器虚血の改善を図ります。鼻カニューレ、フェイスマスク、リザーバーマスクなどを使用して酸素を投与し、呼吸の状態が非常に悪い場合は気管内挿管をして人工呼吸を行います。また、投薬によって、臓器のうっ血状態の改善、血液循環の改善を図ります。
急性心不全を起こした際に、心臓が収縮した際の収縮期血圧が100mgHg以下と低い場合には、血圧を上げる昇圧薬や強心薬を用います。収縮期血圧に異常が認められない場合や高い場合には、硝酸薬やカルペリチドなどの血管拡張薬を投与し、血液の臓器循環の改善を図ります。うっ血の改善には、体内水分貯留を防ぐ利尿薬を使用します。
これらの措置により急性期の発作的症状が治まった後は、入院安静の状態を保ちながら心不全の原因特定のための精密検査を行い、その後の治療方針を決めていきます。
すなわち、心不全に至った原因となる基礎疾患によっては、心筋梗塞、狭心症に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術、不整脈に対するペースメーカの植え込みなどを検討します。場合によっては、心臓移植を検討することもあり得ます。
内科的治療も重要で、特定された原因や、高血圧、糖尿病、高脂血症などの基礎疾患によって、継続的な投薬治療を行っていきます。
退院後は、再発予防のために食塩と水分の過剰摂取や飲酒は避け、過食に気を付けます。さらに、休養と睡眠を十分にとります。
急性心不全とは、心臓の血液を送り出すポンプ機能が急速に低下することによって、体の血液循環が維持できない状態と、肺や全身に血液が滞るうっ血状態とが短期間のうちに起こる病態。
急性心不全の原因として最も多いのは、突発的に発症する急性心筋梗塞(こうそく)などの虚血性心疾患です。心臓を動かす心筋に栄養分や酸素を運ぶ冠動脈が動脈硬化などで閉塞(へいそく)して、心臓の機能が低下したり、心筋に壊死(えし)が起こることに起因します。
一方で、慢性心不全を抱えている場合に、安定した状態から急激に悪化して、急性心不全が起こる場合もあります。例えば、心臓に余分な負担がかかる高血圧症、心臓内の血流を制御する弁に障害を生じる心臓弁膜症、心臓を動かす心筋に障害を生じる心筋症や心筋炎が原因となります。
そのほかにも、先天性心疾患や甲状腺(こうじょうせん)機能高進症、不整脈、糖尿病などが原因となって慢性心不全を抱えている場合に、精神的・肉体的ストレスを受けたり、暴飲暴食をしたり、風邪などの感染症にかかったり、あるいは貧血や妊娠などを切っ掛けになって、急性心不全を起こすことがあります。
急性心不全の症状は、軽症のものから命にかかわるわるものまで多彩です。代表的な症状としては、激しい呼吸困難、せき込み、血たん、胸部の痛みや圧迫感、脈拍数の増加、動悸(どうき)、乏尿、腹部膨満、冷や汗、顔面の皮膚蒼白(そうはく)、冷感、浮腫(ふしゅ)、腹水で、全身が酸素不足に陥いると唇(くちびる)や爪先(つまさき)、皮膚や粘膜などが青紫色に変色するチアノーゼ、さらに意識障害が現れることもあります。多くの場合、血圧は低下します。
急性心不全では、急速に進行して死亡するケースも少なくありません。症状に気付いたら一刻も早く、専門医のいる救急病院に入院することです。呼吸の状態が悪い場合は、救急車による搬送を依頼します。
急性心不全の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断は、一刻を争う場合が多いため、治療と同時に行います。まず行う検査は、胸部X線検査、心電図、心臓超音波検査(心エコー)、血液検査、カテーテル検査です。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療は、まずは呼吸困難の改善と臓器のうっ血状態の改善、いわゆる救命救急措置を早急に行います。
一般的に行われる初期治療は、酸素療法と薬物療法です。酸素療法によって、呼吸の安定化とともに動脈血の酸素含量を高め、臓器虚血の改善を図ります。鼻カニューレ、フェイスマスク、リザーバーマスクなどを使用して酸素を投与し、呼吸の状態が非常に悪い場合は気管内挿管をして人工呼吸を行います。また、投薬によって、臓器のうっ血状態の改善、血液循環の改善を図ります。
急性心不全を起こした際に、心臓が収縮した際の収縮期血圧が100mgHg以下と低い場合には、血圧を上げる昇圧薬や強心薬を用います。収縮期血圧に異常が認められない場合や高い場合には、硝酸薬やカルペリチドなどの血管拡張薬を投与し、血液の臓器循環の改善を図ります。うっ血の改善には、体内水分貯留を防ぐ利尿薬を使用します。
これらの措置により急性期の発作的症状が治まった後は、入院安静の状態を保ちながら心不全の原因特定のための精密検査を行い、その後の治療方針を決めていきます。
すなわち、心不全に至った原因となる基礎疾患によっては、心筋梗塞、狭心症に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術、不整脈に対するペースメーカの植え込みなどを検討します。場合によっては、心臓移植を検討することもあり得ます。
内科的治療も重要で、特定された原因や、高血圧、糖尿病、高脂血症などの基礎疾患によって、継続的な投薬治療を行っていきます。
退院後は、再発予防のために食塩と水分の過剰摂取や飲酒は避け、過食に気を付けます。さらに、休養と睡眠を十分にとります。
■用語 SGA性低身長症 [用語(A〜Z、数字)]
極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない低身長症
SGA性低身長症とは、妊娠週数(在胎週数)の割に極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない状態。低出生体重性低身長症とも呼ばれます。
子供の低身長症は、身長の伸びを妨げる原因によっていくつかの種類に分けられますが、その中の1つに相当します。
厚生労働省の調査によると、生まれたばかりの新生児の平均身長は男児49・2センチ、女児48・7センチ、平均体重は男児3076グラム、女児2990グラムと報告されています。実際には平均より大きく生まれる新生児もいれば、平均より小さく生まれる新生児もいるわけで、小さく生まれた新生児の中には、母親の胎内にいる間の妊娠週数(在胎週数)からみた時に、身長の伸びや体重の増加がゆっくりで、一定の基準に追い付かずに生まれてくる新生児がいます。
こうした新生児は、英語では「Small-for-Gestational Age」の頭文字をとって「SGA」(胎内発育遅延児) と呼ばれます。原因については、母体や胎盤が原因のこともあれば、胎児や遺伝の問題ということもあり、さまざまな要因が重なりあっていると考えられます。
男児の標準的な成長をみると、1歳までに25センチ、1~2歳の間に10センチ、2~3歳の間に8センチ伸びますから、約50センチで生まれた新生児は3歳の時におよそ93センチに成長すると予測できます。子供の体には、こうした成長パターンが組み込まれているために、たとえ小さく生まれたとしても、10人中9人の子供は3歳になるまでの間に、身長が標準の範囲まで追い付きます。
しかし、10人中1人くらいの割合で、3歳を過ぎても身長が標準の範囲まで追い付かない子供がいます。こうした子供は、SGA性低身長症(低出生体重性低身長症)と呼ばれます。
SGA性低身長症の子供は、成長ホルモンの分泌はほぼ正常なものの、幼児期を過ぎ、小学校に上がってからも低身長のまま経過することが報告されています。また、通常に比べて思春期の訪れがやや早い傾向もあります。低身長のまま思春期を早く迎えることで、成人になっても背が低いことが予測されます。
SGA性低身長症か否かを知る手段の1つに、成長曲線をつける方法があります。成長曲線とは、生まれた時からの子供の成長を折れ線グラフで示すもので、母子手帳にも付いています。子供の身長の測定値を継続して記載し、過去のものと線で結んでグラフ化します。あらかじめ標準的な身長グラフも記載されているので、その標準身長と子供の身長を比較してみましょう。もともとSGAで、3歳になっても-2SD(標準偏差)以上の差がみられる場合は、SGA性低身長症が強く疑われます。
子供にSGA性低身長症が疑われたら、小児科、小児内分泌科の専門医を受診してください。低身長を改善するために、3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。成長ホルモンの効果は個人差がありますが、効果を出すにはなるべく早い時期から治療を開始するほうが望ましいとされています。
SGA性低身長症の検査と診断と治療
小児科、小児内分泌科の医師による診断では、まず生まれた時の様子や、妊娠週数(在胎週数)と体重と身長、その後の成長の様子などを聞くので、受診する保護者には母子手帳や成長曲線の記録などを持参するようにしてもらいます。また、身長と体重の測定などで現在の成長の状況なども調べ、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に判断します。
低身長には、SGA性低身長症以外にも、体質性のもの、疾患によるものなどさまざまな原因が考えられるため、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症による低身長などがあります。
小児科、小児内分泌科の医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することで、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンを補って、背の伸びを促進させる成長ホルモン療法を行います。ヒト成長ホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。
本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は保護者が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日1回寝る前に皮膚の下5ミリの部位に皮下注射します。
現在、使いやすくて安全なペン型の注射器が普及しています。従来のものよりも針先を細くして痛みを少なくしたり、注射器に補助具をつけることで針先が見えなくなるなどの工夫がされています。また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や、針のない圧力式注射器も登場しています。このような注射器を使えば安定した注射ができ、自宅で治療を続けることができます。ヒト成長ホルモンの注射を始めた子供の日常生活上の特別な注意点はなく、運動は自由、食事も自由です。
成長ホルモン療法により1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。
SGA性低身長症とは、妊娠週数(在胎週数)の割に極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない状態。低出生体重性低身長症とも呼ばれます。
子供の低身長症は、身長の伸びを妨げる原因によっていくつかの種類に分けられますが、その中の1つに相当します。
厚生労働省の調査によると、生まれたばかりの新生児の平均身長は男児49・2センチ、女児48・7センチ、平均体重は男児3076グラム、女児2990グラムと報告されています。実際には平均より大きく生まれる新生児もいれば、平均より小さく生まれる新生児もいるわけで、小さく生まれた新生児の中には、母親の胎内にいる間の妊娠週数(在胎週数)からみた時に、身長の伸びや体重の増加がゆっくりで、一定の基準に追い付かずに生まれてくる新生児がいます。
こうした新生児は、英語では「Small-for-Gestational Age」の頭文字をとって「SGA」(胎内発育遅延児) と呼ばれます。原因については、母体や胎盤が原因のこともあれば、胎児や遺伝の問題ということもあり、さまざまな要因が重なりあっていると考えられます。
男児の標準的な成長をみると、1歳までに25センチ、1~2歳の間に10センチ、2~3歳の間に8センチ伸びますから、約50センチで生まれた新生児は3歳の時におよそ93センチに成長すると予測できます。子供の体には、こうした成長パターンが組み込まれているために、たとえ小さく生まれたとしても、10人中9人の子供は3歳になるまでの間に、身長が標準の範囲まで追い付きます。
しかし、10人中1人くらいの割合で、3歳を過ぎても身長が標準の範囲まで追い付かない子供がいます。こうした子供は、SGA性低身長症(低出生体重性低身長症)と呼ばれます。
SGA性低身長症の子供は、成長ホルモンの分泌はほぼ正常なものの、幼児期を過ぎ、小学校に上がってからも低身長のまま経過することが報告されています。また、通常に比べて思春期の訪れがやや早い傾向もあります。低身長のまま思春期を早く迎えることで、成人になっても背が低いことが予測されます。
SGA性低身長症か否かを知る手段の1つに、成長曲線をつける方法があります。成長曲線とは、生まれた時からの子供の成長を折れ線グラフで示すもので、母子手帳にも付いています。子供の身長の測定値を継続して記載し、過去のものと線で結んでグラフ化します。あらかじめ標準的な身長グラフも記載されているので、その標準身長と子供の身長を比較してみましょう。もともとSGAで、3歳になっても-2SD(標準偏差)以上の差がみられる場合は、SGA性低身長症が強く疑われます。
子供にSGA性低身長症が疑われたら、小児科、小児内分泌科の専門医を受診してください。低身長を改善するために、3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。成長ホルモンの効果は個人差がありますが、効果を出すにはなるべく早い時期から治療を開始するほうが望ましいとされています。
SGA性低身長症の検査と診断と治療
小児科、小児内分泌科の医師による診断では、まず生まれた時の様子や、妊娠週数(在胎週数)と体重と身長、その後の成長の様子などを聞くので、受診する保護者には母子手帳や成長曲線の記録などを持参するようにしてもらいます。また、身長と体重の測定などで現在の成長の状況なども調べ、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に判断します。
低身長には、SGA性低身長症以外にも、体質性のもの、疾患によるものなどさまざまな原因が考えられるため、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症による低身長などがあります。
小児科、小児内分泌科の医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することで、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンを補って、背の伸びを促進させる成長ホルモン療法を行います。ヒト成長ホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。
本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は保護者が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日1回寝る前に皮膚の下5ミリの部位に皮下注射します。
現在、使いやすくて安全なペン型の注射器が普及しています。従来のものよりも針先を細くして痛みを少なくしたり、注射器に補助具をつけることで針先が見えなくなるなどの工夫がされています。また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や、針のない圧力式注射器も登場しています。このような注射器を使えば安定した注射ができ、自宅で治療を続けることができます。ヒト成長ホルモンの注射を始めた子供の日常生活上の特別な注意点はなく、運動は自由、食事も自由です。
成長ホルモン療法により1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。
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