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■がん拠点84病院で保険外の免疫療法を実施 厚労省調査 [健康ダイジェスト]

 がん診療の拠点病院の一部で、効果が確認されておらず保険診療が適用されていない免疫療法が実施されていたことを受けて、厚生労働省が実態調査した結果、全国の84の病院が実施していたことがわかりました。
 厚労省は、がんの拠点病院では効果が確認された標準治療を行うことが原則としていて、免疫療法を行う場合は効果を検証する臨床研究の枠組みで実施すべきだとしていますが、5つの病院はこれに該当せず、全国の拠点病院に対し臨床研究以外では原則、行わないよう求めることにしています。
 がん診療の拠点病院は地域の中核として質の高い診断や治療を行う医療機関として、厚労省が全国434の病院を指定しており、治療の診療報酬が加算されたり、国や都道府県から補助金を受けたりしています。
 この拠点病院の一部で、治療の効果が国によって確認されておらず、保険診療が適用されていない免疫療法が実施されていたことが明らかになり、厚労省が実態調査を行って、29日に開かれた検討会で結果を報告しました。
 報告によりますと、今年9月の時点で全国84の拠点病院が、保険診療が適用されていない免疫療法を自由診療として実施していました。うち79の病院は臨床研究の枠組みで行ったと回答していますが、残りの5つの病院は臨床研究ではなく、患者の依頼を受けたことなどから実施したとしています。
 厚労省は近く、全国の拠点病院に対し、効果を検証する臨床研究以外では原則、免疫療法を行わないよう求めることにしています。
 体の免疫機構を利用してがん細胞を攻撃する免疫療法は、手術や抗がん剤、放射線に続く第4の治療として注目され、研究が活発に行われています。一方で、一部の医療機関では、効果の期待できない免疫療法を研究以外の目的で高額で提供しているとの批判もあります。
 厚生労働省の検討会のメンバーで、国立がん研究センターの若尾文彦医師は、「がん診療の拠点病院では科学的根拠に基づいた医療を提供することが必要で、そうでないものはあくまで研究として行い、有効性が確認できたかどうか、結果をきちんと公表すべきだ。また、臨床研究であっても患者が高額な治療費を支払うケースがあり、それが妥当かどうか議論が必要ではないか」と話しています。

 2017年11月29日(水)

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■性同一性障害者の適合手術、来年度から保険対象に 従来は治療に100万円以上も [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は、体と心の性が一致しない性同一性障害(GID)の人が体を心の性に合わせる「性別適合手術」を、来年度から公的医療保険の対象に含める方針を固めました。29日に開かれた中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案し、大筋で了承されました。
 この手術は今、公的医療保険の対象外のため多額の費用がかかります。それが保険適用されれば、原則3~1割の自己負担額で済むようになります。高額療養費制度によって、自己負担額に上限も設けられます。
 医療機関で性同一性障害の診断を受けた人に対しては、カウンセリングなどの精神療法やホルモン療法のほか、子宮や卵巣、精巣を摘出したり陰茎を切断したりする性別適合手術の治療があります。ただ、精神療法以外は保険が適用されず、治療に100万円以上かかることも多くなっています。
 一方、2004年に施行された性同一性障害特例法では、戸籍の性別変更の条件として、「2人以上の医師による診断」「20歳以上」「婚姻していない」などに加え、性別適合手術を受けることを求めています。このため比較的費用が安い海外に渡航して手術を受ける人も多く、当事者へのアンケートでは国内と国外での手術件数がほぼ同数になっています。
 厚労省は性別適合手術を受けるための医療環境が整ったことや、性的少数者が社会的に認知されてきたことを踏まえて、保険適用の可否について議論が必要と判断していました。保険適用の範囲については、性別変更の条件を踏まえ、体を心の性に近付けるホルモン療法は対象から外す方向で検討します。
 性同一性障害は体と心の性が一致しない障害で、肉体的な性別に不快感を持ち、心の性別で日常生活を送ることを望みます。原因はわかっていません。
 厚労省などによると、性同一性障害で国内の医療機関を受診した人は、2015年末までに延べ約2万2000人。性別変更した人は、2016年末までに約6900人にとどまります。

 2017年11月29日(水)

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■楽天、がん治療事業に参入へ アメリカの免疫ベンチャー企業に出資 [健康ダイジェスト]

 楽天はがん治療事業に参入します。新しいがん治療法として注目される「光免疫療法」の商業化を進めているアメリカのベンチャー企業、アスピリアン・セラピューティクス(カリフォルニア州)に2割超出資して持ち分法適用会社とします。
 楽天は電子商取引(EC)会員の健康データと組み合わせた医療サービスを検討し、新たな収益源に育てます。
 三木谷浩史会長兼社長が出資の意向を明らかにしました。光免疫療法は2011年にアメリカ国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員らが開発。これまでのがん治療法と大きく異なる新しい治療法です。
 アメリカではすでに臨床試験(治験)が始まっており、数年後には認可される見通し。楽天は日本でも早期に手続きを進める方針です。
 アスピリアン社は、がん細胞だけが持つタンパク質に結び付く性質がある抗体とセットになる特定の色素を狙って近赤外線を照射し、がん細胞だけを選んで死滅させる光免疫療法を開発しています。近赤外線はテレビのリモコンなどに使われ、人体に当たっても害がないといわれ、正常な細胞には影響しないため副作用も出にくいといいます。
 アスピリアン社に三木谷氏自らが筆頭株主として出資し、取締役会長にも就いています。楽天としても成長が見込めるとみて出資し、日本での事業化を目指します。日本法人のアスピリアンジャパン社は設立済みで、商用化に向け100人規模の体制にします。大学などとの共同研究も検討します。
 楽天の主力であるEC事業は、国内外の競合企業が増え競争が激しくなっています。一方、医療分野は高齢者の急増などで成長が見込めます。主力の「楽天市場」での商品・サービスや個人会員の健康状態といった膨大なデータを組み合わせれば、がん治療などの医療サービスを効率的に提供できるとみています。
 楽天は2017年夏に、遺伝子検査サービスのジェネシスヘルスケア(東京都渋谷区)に約14億円を出資。今年9月には寝具メーカーのエアウィーヴ(東京都中央区)にも出資するなど、医療・健康分野に注力しています。

 2017年11月29日(水)

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■用語 急迫性尿失禁 [用語(き)]

[トイレ]急な強い尿意を催し、トイレに間に合わずに尿が漏れる状態
 急迫性尿失禁とは、急な強い尿意を催し、トイレにゆく途中やトイレで準備をする間に、尿が漏れる状態。切迫性尿失禁とも呼ばれます。
 この急迫性尿失禁は、自分の意思に反して勝手に膀胱(ぼうこう)が収縮する過活動膀胱が主な原因です。過活動膀胱の症状は、我慢できないような強い尿意である尿意切迫感と、昼夜を問わない頻尿です。
 普通、膀胱が正常であれば400~500mlの尿をためることが可能で、尿が250~300mlくらいになると尿意を感じて排尿が始まりますが、過活動膀胱では100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮するために、突然の尿意を催して、我慢できなくなるのが特徴です。膀胱が正常であれば、尿意を感じ始めて10~15分ぐらいは我慢できることもありますが、過活動膀胱ではそれも難しいとされています。
 この過活動膀胱を主な原因として起こる急迫性尿失禁は、せきやくしゃみ、運動時など、腹部に急な圧迫が加わった時に尿が漏れる腹圧性尿失禁と区別されていますが、実際は、切迫と腹圧の2つの要因が重なって失禁に至ることもあり、混合性尿失禁と呼ばれます。
 過活動膀胱の人はとても多く、日本では40歳以上の男女のうち8人に1人は過活動膀胱の症状があり、その約半数に急迫性尿失禁の症状があると報告されています。近年40歳以下でも、過活動膀胱の症状に悩まされている人が大変多くなってきています。
 女性が過活動膀胱になる最も多い原因は、膀胱と尿道を支えている骨盤底筋群や骨盤底を構成する靱帯(じんたい)が弱まる骨盤底障害です。骨盤底筋群や靱帯が弱まってたるむと、膀胱の底にある副交感神経の末端が膀胱に尿が十分にたまらないうちから活性化して、突然強い尿意が出るようになるのです。
 女性は若い時は妊娠や出産で、また、更年期以降は老化と女性ホルモン低下の影響で骨盤底障害になりやすいので、男性よりも多くの発症者がいます。男性の場合も、老化や運動不足で骨盤底筋や尿道括約筋が衰えることによって過活動膀胱になることがあります。
 また、男女ともに、脳と膀胱や尿道を結ぶ神経のトラブルで起こる過活動膀胱も増えています。こちらは、脳卒中や脳梗塞(こうそく)などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄(せきずい)損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害が原因となります。
 過活動膀胱のほか、急迫性尿失禁は膀胱炎、結石などによって膀胱の刺激性が高まって起こるものもあります。
 尿失禁は恥ずかしさのため医療機関への受診がためらわれ、尿パッドなどで対処している人も多いようですが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。症状が続くようであれば、泌尿器科を受診することが勧められます。
[トイレ]急迫性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、一般的に、初診時に問診を行い、尿失禁の状況、出産歴、手術歴、婦人科疾患の有無、便秘の有無などを質問します。急迫性尿失禁の主な原因となる過活動膀胱かどうかを調べるための過活動膀胱スクリーニング質問票(リンク)や、過活動膀胱の症状の程度を調べるための過活動膀胱症状質問票(OABSS)という簡単な質問票を、診断のために使うこともあります。
 問診以外には、膀胱の状態を調べるための検査を行うこともあります。急迫性尿失禁の症状があるからといって、必ずしも過活動膀胱とは限りませんので、ほかの疾患の可能性も含めて確認するための検査です。初診で行う検査は、主に腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査など比較的簡単な検査で、過活動膀胱の検査には尿流測定、パッドテスト、ストレステストなどもあります。
 泌尿器科の医師による治療では、膀胱の収縮を阻止し、副交感神経に働く抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または膀胱壁の筋肉である排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。抗コリン剤を1~2カ月内服すると、過活動膀胱の80パーセントの発症者で改善されます。
 次の治療では、できるだけ尿意を我慢して、膀胱を拡大するための訓練をします。毎日訓練すると、膀胱が少しずつ大きくなって尿がためられるようになりますので、200~400mlくらいまでためられるように訓練します。排尿間隔を少しずつ延長させ、2時間くらいは我慢できるようになれば成功です。尿道を締める筋肉の訓練も必要です。
 難産を経験した女性、40歳を過ぎた女性で、時に急迫性尿失禁と腹圧性尿失禁が重なる混合性尿失禁を起こしている場合、尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める骨盤底筋体操が割合効果的です。肛門の周囲の筋肉を5秒間強く締め、次に緩める簡単な運動で、仰向けの姿勢、いすに座った姿勢、ひじ・ひざをついた姿勢、机に手をついた姿勢、仰向けになり背筋を伸ばした姿勢という5つの姿勢で、20回ずつ繰り返します。
 朝、昼、夕、就寝前の4回に分けて、根気よく毎日続けて行うのが理想的です。3カ月以上続けても効果のない場合には、手術が必要となる可能性が高くなります。
 骨盤底筋の強化を目的として、電気刺激によって骨盤底筋や尿道括約筋など必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もあります。また、腟内コーンという器具を腟内に15分程度、1日2回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化し、症状を軽減する方法もあります。
 重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術などがあります。




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■用語 奇異性尿失禁 [用語(き)]

[トイレ]排尿障害があって十分に排尿できないために起こる残尿の一時的な漏れ
 奇異性尿失禁とは、排尿障害があって十分に排尿できず、常に膀胱が伸展しているために、一時的な少量の漏れを示す尿失禁。溢流(いつりゅう)性尿失禁とも呼ばれます。
 尿失禁というと、尿を流す部分が緩んで垂れ流しになることと思われがちですが、一時的な漏れではなく、一日中、常に漏れ続ける失禁は真性尿失禁、または全尿失禁と呼び、代表例として挙げられるのは尿管開口異常などの先天性尿路奇形によって常に尿が漏れているもの、または手術などの際、尿道括約筋を完全に損傷したものです。
 一方、一時的な漏れを示す奇異性尿失禁は、排尿障害があって尿が出にくい状態になっているのに、尿が無意識に漏れるものです。尿が出にくくても、新しい尿は腎臓(じんぞう)から次々に膀胱(ぼうこう)に送られてくるのでたまっていき、膀胱がいっぱいになると尿がチョロチョロと少量ずつあふれて出てきます。
 膀胱に尿を保持できるものの、排尿しようとしても十分に排尿できずに、尿が少量ずつ漏れ出る状態であり、尿を保持できない尿失禁とは異なるために奇異性尿失禁といわれます。
 この症状は、前立腺(ぜんりつせん)肥大症による下部尿路閉塞(へいそく)が原因となることが多いので、中高年男性に多くみられます。
 前立腺肥大症による排尿トラブルは、膀胱への刺激による頻尿から始まります。前立腺は膀胱から出てすぐの尿道を取り巻いているので、前立腺肥大によって膀胱の出口や尿道への刺激が強くなり、夜中に何度も排尿のために起きるというような頻尿が始まります。同時に、会陰(えいん)部の不快感や圧迫感、尿が出にくいといった症状も現れます。
 次に、排尿に際して尿が出切らずに、膀胱にたまる残尿が発生するようになります。この段階では排尿障害が次第に強くなり、息んで腹圧をかけないと出ないようになってきます。さらに、肥大した前立腺によって尿道が狭くなっていくと、慢性尿閉となります。残尿が多くなって膀胱は尿が充満した状態になり、尿意を感じなくなって気付かないうちに尿が少量ずつあふれて漏れる奇異性尿失禁の状態になります。
 ほかには、女性が子宮がんを手術した後、糖尿病や脳血管障害で膀胱が収縮しなくなった場合に、奇異性尿失禁がみられます。
 女性の場合は尿が出やすい体の構造なので、男性に比べて奇異性尿失禁の状態になるケースはまれですが、子宮がんや直腸がんの手術の後で一時的に膀胱が収縮しなくなった場合、大きな子宮筋腫(きんしゅ)で膀胱の出口が圧迫され尿閉になった場合、子宮脱や子宮下垂などで尿道が開きづらくなった場合に、奇異性尿失禁がみられます。
 また、糖尿病や脊髄(せきずい)損傷、脳血管障害などによって、膀胱を中心とする末梢(まっしょう)神経系が器質的に傷害されると、膀胱が収縮しなくなる神経因性膀胱となり、たまった尿があふれて漏れる奇異性尿失禁がみられます。糖尿病では知覚がまひするために、尿意を感じないまま膀胱が膨らんで、1000ミリリットルもたまることがあります。
 奇異性尿失禁がみられると、下着がぬれる、臭いが気になるなど、しばしば不快感を覚えることになります。最近は尿パッドも普及してきましたが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。
 奇異性尿失禁を放置していると、膀胱にたまっている尿に細菌が繁殖して尿路感染症や腎機能障害などを起こしたり、腎不全になることもあります。症状がみられたら、泌尿器科、ないし婦人科など専門医を受診してください。
[トイレ]奇異性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科、ないし婦人科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、奇異性尿失禁の原因を確定します。一般的には問診、尿検査、超音波検査、血液検査、尿流動態(ウロダイナミクス)検査(膀胱内圧、腹圧、排尿筋圧、外尿道括約筋活動、尿流量測定)、尿路造影検査、内視鏡検査などを行って、奇異性尿失禁の原因を探ります。
 泌尿器科、ないし婦人科の医師による治療は、奇異性尿失禁の原因になる疾患の種類によって異なり、基礎疾患があればその治療が第一です。前立腺肥大症や子宮脱、子宮下垂と診断すれば、その治療を行います。また、必要に応じて膀胱を収縮させる薬を用いることもあります。
 前立腺肥大症が奇異性尿失禁の原因の場合は、症状が軽い場合は薬物療法から始め、症状がひどい場合や合併症を引き起こしている場合は手術療法を行います。
 神経因性膀胱が奇異性尿失禁の原因の場合は、治療が可能ならばまず基礎疾患に対して行いますが、神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、薬物療法、排尿誘発、自己導尿法などで排尿効率を高めることになります。
 自己導尿法は、尿が出にくく残尿が多い場合に、1日に1〜2回、清潔なカテーテルを自分で膀胱内に挿入し、尿を排出させるものです。 これで、とりあえず症状は改善し、外出も容易になります。




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■用語 反射性尿失禁 [用語(は)]

[トイレ]尿意がないのに、膀胱が反射的に収縮して尿が漏れる状態
 反射性尿失禁とは、尿意を感じることができないまま、膀胱(ぼうこう)に尿が一定量たまると反射的に排尿が起こる状態。
 尿意を感じることができないため排尿の抑制ができず、腎臓(じんぞう)から尿が膀胱に送られた時に刺激が加わると、膀胱壁の筋肉である排尿筋が反射的に収縮して、自分の意思とは無関係に、不意に失禁が起こります。
 脳、脊髄(せきずい)など中枢神経系の障害や、交通事故などによる脊髄の損傷などによる後遺症の一つとして、脳の排尿中枢による抑制路が遮断されてしまうことによって起こります。膀胱には物理的に十分な量の尿がたまっているにもかかわらず、尿意が大脳まで伝わらないので尿意を催すことがなく、排尿を自分でコントロールすることができません。
 膀胱からの感覚は、脊髄反射により直接的に膀胱括約筋を刺激して、反射的に膀胱収縮を起こして排尿を起こします。漏れ出る尿量は多いことが、特徴です。
 逆に、排尿筋が反射的に収縮して膀胱が収縮する時に、外尿道括約筋が弛緩(しかん)せず尿道が閉鎖したままになると、膀胱内の圧力が異常に高くなり、腎臓に尿が逆流する膀胱尿管逆流症を起こします。尿の逆流を放置して進行すると、腎機能障害が起こりやすくなります。
[トイレ]反射性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、反射性尿失禁の原因を確定します。
 一般的には問診、尿の成分や感染症の有無を調べる尿検査、膀胱内の残尿量を調べる腹部超音波検査、尿が出始めてから終わるまでの量の変化を調べる尿流量検査、膀胱の収縮パターンを見る膀胱内圧測定のほか、尿道括約筋のパターンを表す尿道括約筋・筋電図測定、尿流量測定と膀胱内圧測定を同時に行うプレッシャーフロー・スタディ、あるいは尿失禁負荷テスト(ストレステスト)、尿失禁定量テスト(パッドテスト)などを行って、反射性尿失禁の原因を探ります。
 泌尿器科の医師による治療では、排尿訓練、自己導尿法、骨盤底筋体操、薬物療法、外科的治療、電気刺激療法などを行います。
 排尿訓練は、何度も早めに排尿する訓練を行います。自己導尿法は、清潔なカテーテルを自分で膀胱内に挿入し、尿を排出させるものです。
 骨盤底筋体操は、膀胱周囲の尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める体操で骨盤底筋を鍛えることで、症状が軽い反射性尿失禁を防ぐものです。
 薬物療法は、膀胱の収縮を阻止し、副交感神経に働く抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または膀胱壁の筋肉である排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。膀胱尿管逆流症を起こしている場合は、抗コリン剤により膀胱内圧を下げ、カテーテルで残尿を排出する自己導尿法を行います。
 外科的治療は、原因となる脊髄損傷がある時に機能を回復させる手術を行うことで、失禁を起こさないようにします。神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術を行うこともあります。
 電気刺激療法は、膀胱の周囲に電極を取り付けて、20~30分ほど電気パルスを送るものです。電気刺激によって必要な筋肉を収縮させ、骨盤底筋を鍛える効果があります。




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■用語 アスピリンじんましん [用語(あ行)]

[天秤座]アスピリンを始めとした非ステロイド性抗炎症薬の使用によって誘発されるじんましん
 アスピリンじんましんとは、アスピリンを始めとした解熱鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用することによって誘発され、じんましんや血管浮腫(ふしゅ)の症状が出る疾患。NSAIDs(エヌセイズ)過敏じんましん、NSAIDs過敏症皮膚型などとも呼ばれます。
 アスピリンは、発熱があった時などに使用する解熱鎮痛薬で、アセチルサリチル酸により作られています。非ステロイド性抗炎症薬は全般として、体内でプロスタグランジンという痛みを起こし、熱を上げる炎症物質が合成されるのを妨げる作用を持ち、解熱薬や鎮痛薬、抗炎症薬として幅広く用いられています。
 アスピリンじんましんを誘発しやすいのは、非ステロイド性抗炎症薬のうち酸性のものが知られています。酸性解熱鎮痛薬に共通してみられるシクロオキシゲナーゼ抑制作用、つまり体内でのプロスタグランジンの合成に作用するシクロオキシゲナーゼという酵素の働きを阻害する作用が関係しているのではないかと考えられていますが、アスピリンじんましんを誘発する真のメカニズムは不明です。
 アスピリンを始めとした非ステロイド性抗炎症薬の内服薬、座薬、注射薬、あるいは貼付(ちょうふ)薬、塗布薬を使用してから数分から半日で、副作用による急性の過敏反応により、皮膚に地図状に盛り上がった大小の赤いはれが生じ、かゆみを伴うじんましんや、まぶたや唇がはれる血管浮腫の症状が現れます。
 じんましんは体のどんな部位にも現れ、全身に生じることもあります。血管浮腫が現れた場合は、顔全体がはれてきて、話しづらくなったり、目が開けづらくなったりすることもあります。
 じんましんは基本的には24時間以内に、遅くとも48時間以内に消えますが、血管浮腫は翌日になるとさらに症状が悪化し、数日間持続することもあります。
 皮膚症状のほかに、咽頭(いんとう)浮腫によるのどの詰まり、息苦しさ、せき、腹痛、吐き気などが起こった場合は、アナフィラキシーショックにつながる危険があります。アナフィラキシーショックは、急激に全身の血管が拡張することによる血圧低下、呼吸困難、意識障害などが起こり、生命の危険がある状態で、緊急の治療を必要とします。
 もともと慢性じんましんがベースにある人の20~35%は、非ステロイド性抗炎症薬の使用によって、じんましんが発症もしくは増悪する可能性があるといわれています。ふだんは全く症状が出ないのに、非ステロイド性抗炎症薬を使用した時だけ、じんましんなどの症状が出る人もいます。
 過労なども誘因になりやすいことが知られており、非ステロイド性抗炎症薬の使用した時の体調により、症状が現れる程度が異なり、同じ非ステロイド性抗炎症薬や量で必ず症状が現れるわけではありません。一般には、効き目の強い非ステロイド性抗炎症薬ほど、症状が現れやすいことが知られています。
 アスピリンじんましんを発症する体質が疑われる人は、市販の風邪薬や、少量の解熱鎮痛成分の入った湿布、目薬などを使用する際は、常に慎重を期す必要があります。また、色素や防腐剤などの食品添加物でも症状が出ることがあるので、注意を要します。
 じんましんの症状が出たもののすぐに消失したというような軽度の場合は、自宅で様子をみても大丈夫ですが、副作用を放置していると重くなり健康に影響を及ぼすことがあるので、次に非ステロイド性抗炎症薬を使用する際は医師や薬剤師に報告し、指示を仰ぐことが大切です。
 特に息苦しさを感じた場合は、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため、救急車などを利用して直ちに内科、アレルギー科を受診してください。その際は、使用した非ステロイド性抗炎症薬と服用時間を伝えてください。
[天秤座]アスピリンじんましんの検査と診断と治療
 内科、アレルギー科の医師による診断では、詳細な問診を行い、過去に非ステロイド性抗炎症薬の使用により、明らかにじんましんや血管浮腫の症状が誘発されたことがあるかどうかを確認します。
 また、アスピリンあるいは他の非ステロイド性抗炎症薬の吸入や経口負荷試験により病状を判断します。アレルギー反応ではないので、薬剤アレルギーの血液検査やプリックテストなどの皮膚テストは陰性になります。
 内科、アレルギー科の医師による治療では、アスピリンじんましんの根本原因が不明で完全な予防策がないため、解熱鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬の服用を避け、医薬品や食品の添加物を除外することが処置となります。
 軽症の場合は、抗ヒスタミン薬による内服治療を行います。中等症で医師が必要と判断した場合は、症状に応じ抗ヒスタミン薬とリン酸エステル型ステロイド薬の点滴などを行います。
 アナフィラキシーショックを起こしている場合は、アドレナリンの筋肉注射、抗ヒスタミン薬とリン酸エステル型ステロイド薬の点滴などを行います。急速な進行例では、アドレナリンの筋肉注射だけでなく点滴も考慮します。




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