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■介護実習生の在留資格見直しへ 無期限で日本で勤務可能に [健康ダイジェスト]

 厚生労働省と法務省は介護現場で受け入れが始まる外国人技能実習生について、介護福祉士の国家試験に合格すれば日本で働き続けることができるように制度を見直します。2025年度に37万人超の人材が不足するとされる介護現場では、貴重な担い手となります。発展途上国への技能の移転を目的とした技能実習制度の本来の趣旨とどう整合性を図るかが、今後の課題となります。
 技能実習は発展途上国との技術協力や国際貢献を目的に、労働現場で外国人を実習生として受け入れる制度。建設業や農業などに加え、2017年11月から介護が新たな受け入れ先となりました。技能実習制度では初めての対人サービスとなり、2018年中に実習生の第1陣が来日します。
 現行制度でも、一定の実務経験などの条件を満たした上で国家試験に合格すれば、介護福祉士の資格を得られます。ただし、日本に残って働き続けることは認めていません。介護現場で外国人を受け入れる枠組みには経済連携協定(EPA)もありますが、対象国はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国に限られています。
 新しい仕組みを導入すれば、受け入れ国を限定せずに、介護職員として日本で3年以上働き、介護福祉士の資格を取得した人が就労ビザを得て日本で無期限に働けるようになります。厚労省と法務省は、必要となる省令を改正した上で、早ければ2018年度中にも始めます。
 介護業界は、慢性的な人手不足とそれによる人件費の上昇に悩んでいます。団塊の世代が75歳以上になる2025年度には37・7万人の介護人材が不足するという推計もあり、人手の確保が急務になっています。
 技能実習制度は本来、日本で先進的な技能を身に着けた上で、母国に帰って技術を生かしてもらうことが目的。在留資格を得て日本で働き続けることになれば、技能実習の本来の理念とは離れかねません。
 そのため厚労省と法務省は最大5年の実習期間が終わった段階で、実習生に一度母国に帰国してもらうことも視野に入れています。その場合は、介護の在留資格で再入国して働き続けてもらうことになります。一方で、専門知識を身に着けた人材には日本国内で活躍の場を与えるべきだとの声もあり、一度帰国してもらうかどうかは慎重に検討します。
 介護福祉士の試験は、日本語で専門用語も多く、外国人には難関。EPAの枠組みでは、2016年10月までに約2800人を介護福祉士候補として受け入れましたが、資格を取得できたのは累計で2割に達していません。外国人も含めた介護人材の確保には、現場の実態に即した試験の在り方も課題になります。

 2018年1月3日(水)




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