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■感染症最多の死者数の「結核」撲滅へ日本が調整役 国連が要請 [健康ダイジェスト]

 国連は感染症の中で最も死者数が多い結核の撲滅に向けて今年9月に開催する首脳会合で、医療分野の国際協力で実績のある日本に各国との調整役を委ねることになりました。
 国連は貧困の解消や教育の普及など持続可能な開発目標を定めており、医療分野では感染症で死因の上位を占める結核やエイズ、マラリアの流行を2030年までに防ぐことを掲げています。
 これについて、日本の別所国連大使は26日に開いた記者会見で、「今年の国連総会で結核に関するハイレベル会合が開かれるが、総会の議長から調整役をやってほしいと要請があった」と述べ、今年9月の国連総会に合わせて開催される結核に関する首脳会合で、各国間の調整役を委ねられたことを明らかにしました。
 日本は今後、各国政府、NGO、国会議員などさまざまなレベルの会合の議論を集約して首脳会合での議題を設定するほか、成果文書の取りまとめなどにもかかわるということです。
 世界保健機関(WHO)によりますと、結核による死者数は世界で年間170万人と感染症の中で最多となっています。
 日本が調整役となったのは医療分野の国際協力での実績が評価されたものといえ、別所大使は「日本は国内で保健医療に力を入れて結核をかなり抑え込んだ。その経験を生かしたい」と意欲を示しました。
 一方、日本に滞在する外国人の結核患者が増加していることから、厚生労働省は東南アジアなどからの90日を超える長期滞在者に対し、ビザ申請時に「結核非罹患(りかん)証明書」か「結核感染性消失・治癒証明」の提出を求める方針を決め、26日に厚生科学審議会の部会で提案し、大筋で了承されました。
 2016年の国内の新規結核患者数は1万7625人(死亡者数は1889人)。このうち国外で生まれた人は、過去最多の1338人(7・6%)を占めます。
 出入国管理法は、現行の規定でも結核患者の入国を認めていません。しかし、罹患していても自覚症状がないことがあり、検疫で確認するのが難しい面がありました。政府はビザ発給手続きの運用を変更し、指定の医療機関でのX線検査受診と、結核非罹患証明書などの提出を求めます。
 対象者は、感染拡大のリスクの高い、留学や就労など長期滞在者に限定します。対象国はまず、日本国内で患者数が多いフィリピン、インドネシア、ミャンマー、ネパール、ベトナム、中国の6カ国とします。人口10万人当たりの年間新規患者数(罹患率)が50人以上の約100カ国にも順次広げる方針で、実施時期は国ごとに調整します。

 2018年2月28日(水)

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■病気やダイエットなどに最適な献立をAIが提案 おいしい健康が専用アプリ開発 [健康ダイジェスト]

 献立レシピサイトを運営する「おいしい健康」(東京都中央区)は、病気を持つ人やダイエット中の人などを対象に最適な献立を提案するスマートフォン(スマホ)向けアプリを開発しました。利用者が個人データを入力すると、食事摂取基準を算出して管理栄養士が監修したレシピの中から献立を作成する仕組み。
 26日からアメリカのアップルのiOS向けアプリの提供を始めました。おいしい健康には社内外の管理栄養士の監修のもとで7400品以上のレシピがあり、病気ごとの相性も踏まえて、人工知能(AI)が献立を提案します。
 利用者には生活習慣病を予防したい人、すでに糖尿病・高血圧になった人、高齢者やその家族などを想定。利用者が年齢や身長、体重、健康状態を入力すると、食事摂取基準内で食べていい料理が複数表示され主菜から主食、副菜、汁物の順で選べます。
 献立は患者団体や医療従事者らとも連携して作成しました。無料でレシピを公開し、企業からの広告などで運営。初年度は100万件の顧客獲得を目指します。来年からはアンドロイドにも対応し、一部で有料サービスも始める計画。製薬会社や食品会社などと組んだプロモーションも視野に入れます。
 また、利用者が実際に食べた料理をスマホのカメラで撮影してもらい、遠隔での生活指導といった用途にも使えるようにします。妊娠時や難治性の疾患にかかった人向けのメニューも拡充し、疾病予防を目的とした健康保険組合との連携も図ります。
 おいしい健康は2012年にクックパッドのヘルスケア事業部として発足し、2016年7月に分割して同社子会社になりました。同年12月に野尻哲也氏らがMBO(経営陣が参加する買収)を行いました。「暮しの手帖」前編集長の松浦弥太郎氏が取締役として加わり、社内にエンジニアやデザイナーのほか、管理栄養士6人を抱えています。
 野尻社長は、「栄養士が監修し料理研究家がつくったレシピを食べてもらい、患者にも食生活の楽しさを味わってもらう。健康寿命を延ばし、医療費を抑制する効果も見込める」と述べています。

 2018年2月27日(火)

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■インフルエンザ、飛沫や接触でない空気感染のリスクも  アメリカのメリーランド大学が報告 [健康ダイジェスト]

 インフルエンザ感染者が普通に呼吸するだけでも、ウイルスは周囲に拡散し、同じ室内にいる人に「空気感染」してしまう可能性が予想以上に高いことが、アメリカのメリーランド大学の研究で判明しました。
 インフルエンザの主な感染経路に関してはこれまで、感染者の咳(せき)やくしゃみとともに飛び散ったウイルスを含むしぶきを吸い込むことで感染する「飛沫(ひまつ)感染」か、ウイルスが付着したものを触った手指を介して感染する「接触感染」のいずれかによって広まると考えられていました。
 しかし、このほどメリーランド大学のドナルド・ミルトン教授(環境衛生学)らの研究者が行った研究で、インフルエンザの感染者が咳やくしゃみをしていなくても、その吐く息を吸い込んだだけで空気感染が起こる可能性が指摘されました。感染者の吐く息に含まれる微細な粒子にも感染性のあるウイルスが含まれいるために、直接患者の咳やくしゃみを浴びなくても、同じ室内にいるだけでも、感染が起こり得るといいます。
 研究者たちは今回、インフルエンザが疑われる若者355人を選び出し、呼気の中に排出されるインフルエンザウイルスの量と感染力を調べました。
 355人のうち、インフルエンザと診断され、発症から3日以内に鼻の粘膜から標本(鼻咽頭スワブ)が採取されていて、同時に30分間の呼気も提出していた142人を分析対象にしました。142人の年齢の中央値は20歳、男性が49%で、89人がA型、50人はB型、3人は両方の型に感染していました。これらの患者は、発症から3日以内に計218回受診して、標本の提出に協力していました。
 計218回の受診のうち、195回(89%)の受診では1回以上の咳が観察されていましたが、くしゃみが観察されたのは11回(5%)のみでした。多くの患者は、咳、鼻水などの「上気道症状」は軽症から中等症で、全身症状は中等症から重症、痰(たん)、気管支炎などの「下気道症状」は軽症だと報告していました。
 呼気の採取は、自由に話したり、咳やくしゃみをしたりする中で30分間行いました。呼気標本は、空気感染の原因となる「飛沫核」と同じ大きさの直径5μm以下の微細粒子が含まれる標本と、飛沫感染の原因となる「飛沫」と同じ大きさの直径5μm超の粗大粒子を含む標本に分けました。
 標本中にインフルエンザのウイルスRNAが存在するかどうかを調べたところ、微細粒子の標本の76%、粗大粒子の標本の40%、鼻咽頭スワブ標本の97%が陽性でした。さらに、感染性を持つインフルエンザウイルスの存在を調べたところ、微細粒子標本の39%と鼻咽頭スワブ標本の89%が陽性でした。
 微細粒子の標本中にウイルスRNAが存在することと関係していた要因は、「呼気採取中の30分間に出た咳の回数」「上気道症状あり」「症状発現から経過した日数が少ないこと」などでした。つまり、咳や鼻水などの上気道症状が出ていて、発症早期のインフルエンザ患者ほど、呼気中にウイルスが含まれていて空気感染を起こす可能性が高いということが考えられます。
 なお、呼気採取中に、くしゃみはまれにしかみられておらず、感染性のある微細粒子の産生にくしゃみは必須ではないと考えられました。
 ミルトン教授はプレス資料で、「インフルエンザ感染者が咳やくしゃみをしなくても、普通に呼吸をするだけでも、周囲の空気にウイルスが放出されるという現象が判明した。であるならば、感染者が職場や学校に出てくる例に関してはこれまで以上の注意が必要だろう。周囲への感染を防ぐという優先度からも、職場や学校にはとどまらせず、即座に帰宅してもらうべきだろう」、「我々がさらに強調したいのは、今回の研究成果をぜひ企業や教育関係施設、あるいは通勤・通学車内の換気システム改善などを通じたインフルエンザ予防策として、その向上に活かしてほしいという点である」と述べています。
 メリーランド大学の研究論文は、2018年1月18日付のアメリの「科学アカデミー紀要」(電子版)に掲載されました。

 2018年2月27日(火)

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■強制不妊手術、北海道の男性も提訴へ 全国で3人目 [健康ダイジェスト]

 旧優生保護法(1948年~1996年)に基づく障害者らへの強制不妊手術を巡り、北海道札幌市に住む70歳代の男性が人権侵害に当たるとして国に損害賠償を求め、札幌地裁に提訴する意向を固めたことが明らかになりました。
 代理人となる弁護士によると、他に数人の男女から提訴の相談を受けており、集団提訴も視野に入れています。男性は、1月末に知的障害を理由に不妊手術を強制されたとして、仙台地裁に国賠訴訟を起こした60歳代女性や、同地裁に提訴する意向を固めた70歳代女性に続く3人目の原告となり、北海道内では初めて。
 関係者によると、男性は20歳前後の時に札幌市内の精神科を受診した後、旧優生保護法に基づく精管切除の不妊手術を強制されたということです。男性は「拒否できるような状況ではなかった」と話しているといいます。今後、手術の諾否を決めた北海道優生保護審査会や手術の関係書類を集めます。
 一方、宮城県内では、手術記録の台帳などが残っていなかったことから提訴をあきらめていた70歳代女性が、同県の救済方針を受けて仙台地裁に提訴する意向を固めています。札幌市の70歳代男性の手術記録が確認されなかった場合、北海道の対応に注目が集まります。
 旧厚生省の衛生年報などによると、記録が残る1949年以降の全国の強制不妊手術1万6475件のうち、北海道は2593件と全国最多でした。北海道は今月19日、1962年~1973年度に審査された1210人分の資料があったと発表。うち不妊手術が適当な「適切」とされたのは1129人で、内訳は、男性233人、女性896人。未成年者は男性が28人、女性が144人で、最年少は男性が14歳、女性は11歳でした。

 2018年2月26日(月)

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