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■結核の「低蔓延国」達成、数年遅れの見通し 患者減少率が鈍化傾向に [健康ダイジェスト]

 1年間に新たに結核と診断される患者を、2020年までに「低蔓延(まんえん)国」とされる10万人当たり10人未満にするとの国の目標の達成が、数年遅れになる見通しです。厚生労働省が病原微生物検出情報2017年12月号で明らかにしました。高齢者、都市部での患者の割合増加が目立っています。
 2016年の新規届け出患者は全国で1万7625人、10万人当たりでは13・9人でした。世界保健機関(WHO)の定めた基準では、「中蔓延国」と位置付けられます。前年比でみると減ったものの、近年は年間4〜6%減で推移しており、このままのペースだと、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までの目標達成は難しいといいます。
 新規患者うち1万594人(約60%)が男性、7031人(約40%)が女性。35歳以上で男性の割合が増え、40歳以上80歳未満では男性が女性の約2倍に上っています。高齢化も目立ち、65歳以上の割合は1996年の43%、2006年の55%に対して、2016年は67%と、3分の2が高齢者になりました。
 東京都特別区と政令指定都市では、日本全体の人口比では29%ですが、結核の新規患者では35%、64歳以下では41%を占めています。都市部では、若い人や社会・経済的弱者の人に患者発生が目立っています。ネットカフェ、ゲームセンター、カラオケ、パチンコなど、不特定多数の人が集まるところでの集団感染の報告が相次いでいます。
 世界保健機関(WHO)は、患者が治癒したり一定の治療を終えたりした「治療成功率」の目標を85%に設定していますが、日本で2015年から2016年にかけての治療成功率は53%にとどまっています。
 これは、新規患者の3分の1以上が80歳以上で、治癒や治療完了前に死亡する例が多かったためとみられます。50歳未満での治療成功率は70%でした。
 新規患者のうち外国生まれの人は1338人で、8%を占めました。2006年の920人、4%から大きく増加しました。特に20歳代では59%を外国生まれが占めました。主に使われる2種類の抗結核薬であるイソニアジド、リファンピシンにいずれも耐性があった多剤耐性結核患者は全国で49人で、このうち15人が外国生まれでした。
 外国生まれの人の出身国別内訳は、フィリピン318人、次いで中国272人、ベトナム212人、ネパール135人となっています。アジア諸国では結核は依然大きな健康問題であり、アジア諸国からの入国が多い日本にとって、これらの国々の結核対策も結核問題を左右する課題です。

 2018年2月19日(月)




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