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■京大、iPS細胞の論文不正で助教を懲戒解雇 所長の山中教授も処分 [健康ダイジェスト]

 京都大学iPS細胞研究所の助教が発表した論文に、捏造(ねつぞう)などの不正があった問題で、京都大学は28日、この助教を懲戒解雇にするとともに、所長の山中伸弥教授も監督責任があるとして処分しました。
 京都大学は今年1月、iPS細胞研究所の山水康平(やまみず・こうへい)・特定拠点助教(36歳)が、昨年2月に発表したiPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する論文の11のデータに捏造と改ざんがあったと公表し、関係者の処分を検討していました。
 京都大学は、「論文の根幹をなす部分において有利な方向に操作されていた」とし、山水助教について「大学の信用を傷付ける行為」をしたとして、28日付けで懲戒解雇の処分にしました。
 また、iPS細胞研究所の所長の山中伸弥教授については、監督責任があるとして処分しましたが、京都大学は訓告や厳重注意、注意の処分は公開基準に満たないとして、詳しい内容は明らかにしませんでした。
 不正が認定されたのは、人のiPS細胞から脳血管内皮細胞を作製し、血液中の薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ「血液脳関門」の機能を持つ構造体を作製することに成功したとする論文。創薬研究に利用できれば、アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があるとしました。山水助教は、任期が決まっている非正規雇用の研究者という立場ながら、筆頭・責任著者でした。昨年2月24日にアメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」の電子版に発表され、3月に同じ科学誌に掲載されました。
 iPS細胞から作製した脳血管内皮細胞で、細胞に特有の遺伝子が働いているかどうかを解析し、論文では有意に高いことが示されましたが、研究室に残されたデータではその結果は出ませんでした。また、生体内の血液脳関門と同じようなバリアー機能があるか調べる薬物透過性試験でも、論旨に沿うようにグラフを作成するなどしていました。
 iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、「今回の処分を真摯(しんし)に受け止めるとともに、所長として事態を未然に防ぐことができなかった責任を痛感し、自主的に、当面の給与相当額をiPS細胞研究基金へ寄付します。今後研究倫理への取り組みをより一層強化し、信頼回復に努めて参ります」とコメントしました。

 2018年3月29日(木)

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■日医工、エーザイ子会社買収 後発薬1位の座を固める [健康ダイジェスト]

 後発薬大手の日医工が新たなM&A(合併・買収)に踏み切り、新薬大手のエーザイの子会社エルメッドエーザイ(東京都豊島区)を約170億円で買収すると発表しました。薬価引き下げ圧力が強まり、競争環境が厳しさを増す中、さらなる規模拡大で収益の確保を図ります。
 沢井製薬や東和薬品を引き離して国内後発薬1位の座を固め、将来は世界トップ10入りを目指します。
 日医工の田村友一社長は28日、本社で開いた記者会見で「ジェネリック(後発)医薬品は規模で戦う時代だ」と強調しました。
 同社はまず4月に、エルメッドエーザイの株式の20%を取得。薬の成分となる原薬事業や販売促進の協業の成果を見ながら段階的に株式の取得を進め、2019年4月に完全子会社とする予定です。
 エルメッドエーザイは、高脂血症薬や降圧剤など約190品目の後発薬を扱います。2017年3月期の売上高は、前期比2%減の約280億円。競争が激しく、近年は業績が伸び悩んでいました。
 日医工によると、エルメッドエーザイの買収で国内シェアは約15・8%(2017年9月時点で計算)となり、沢井製薬をかわして1位の座を固めます。2021年3月期までには20%を目指します。両社を合わせると国内シェアが5割を超える品目が11あるため市場優位性が高まり、薬の原材料の共同購買で調達コスト低減も見込みます。
 日医工はこれまでも、後発薬事業を中心にM&Aを繰り返してきました。2004年にマルコ製薬の事業を引き継いだほか、2008年にはテイコクメディックス、2014年にはアステラス製薬子会社の工場を買収。2016年にはアメリカのセージェント・ファーマシューティカルズを買収しました。
 2004年11月期に182億円だった連結売上高は、2017年3月期で1633億円に増え、2018年3月期は2000億円を見込みます。
 規模拡大を急ぐ背景にあるのが、市場環境の変化。政府は後発薬シェアを2020年9月までに80%以上に高める目標を掲げる一方、膨張する医療費を抑えるため、これまで2年に1度だった薬価改定を2021年度から1年に1度へ改める方針です。田村社長はもともと安価な後発薬についても、「価格プレッシャーが増している」と危機感を示しています。
 後発薬事業からの撤退により事業を絞り込み、認知症などの新薬開発へ経営資源を集中させるエーザイとの戦略提携も進めます。2018年10月以降、エーザイが持つ「地域包括ケア」にかかわる医療機関や薬局向けの販路を生かし、日医工ブランドの製剤品を販売します。
 政府は介護から医療まで地域一体で高齢者らを支える地域包括ケア構想を進めており、この領域の需要開拓は製薬会社の共通課題です。田村社長は「他のジェネリックメーカーと違うアプローチができる」と期待しています。国内では珍しいケースとなる新薬大手と後発薬大手の連携効果を引き出します。
 今後の課題は、海外市場の開拓。国内首位の座を固める日医工も、世界の後発薬市場ではトップ10以内に入りません。国内市場の伸びが鈍る動きがみられる中、海外で新たなM&Aに踏み出す可能性もあります。

 2018年3月29日(木)

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■たばこを吸わない社員に6日間の有給休暇 全面禁煙の企業が増加中 [健康ダイジェスト]

 社員に禁煙を促すため、喫煙所を休憩スペースに変えて全面禁煙にしたり、採用条件にしたりする企業の取り組みが進んでいます。健康被害を防ぎ、仕事の効率化を促す狙いです。発想を変え、たばこを吸わない社員に有給休暇を与える企業もあります。
 東京都内の損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険本社の一室は、白を基調にした清潔感のある休憩スペースで、社員がくつろいでいます。昨年まで喫煙室だった雰囲気はありません。
 同社は昨年8月、全国の営業拠点を含めた全社を終日禁煙にしました。「顧客の健康づくりへの貢献を目指す企業として、社員の健康は不可欠」と判断し、禁煙治療費の一部を補助しています。
 社員の矢野允規さん(31歳)は、「喫煙室があれば吸ってしまう。いずれやめる気はあり、背中を押されたように感じた」と話し、完全禁煙化を控えた昨年5月、10年間吸い続けたたばこをきっぱりとやめました。かつては1日に10回以上、喫煙室に通う日もあり、気分転換はできたものの、頻繁に通うと仕事の中断にもなりました。禁煙後は「効率的な働き方ができ、帰宅時間が早くなった」といいます。
 コンビニ大手のローソンも昨年から、本社と地域の事業所を終日禁煙にしました。ヤフーは、2020年度中に全拠点で喫煙室をなくす予定です。
 約1万社が回答した帝国データバンクの調査によると、換気をした喫煙所などがある「完全分煙」が56%で最多。「全面禁煙」は22%で、何らかの形で喫煙を制限している企業は92%に上りました。
 喫煙者の割合も、50%近くだった半世紀前から大幅に低下し、2017年は18%になる一方で、男性の30歳代から50歳代は依然として35%前後で推移しています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、受動喫煙防止の強化が強く叫ばれるものの、職場での意見はさまざま。喫煙者が「分煙を徹底すれば迷惑にならない」「たばこ休憩まで奪われたら、仕事がはかどらない」と主張すれば、吸わない人は「吸う人だけに部屋と休憩時間があるのは不公平だ」と反論しています。
 ホテルや旅館を運営する「星野リゾート」(長野県軽井沢町)は、他社に先駆け1994年から喫煙者の不採用方針を明確に打ち出し、現在も取り組みを続けています。入社時にたばこを断つと約束できないと、採用選考に臨むことはできません。担当者は、「社員をたばこの健康被害から守る責任がある。喫煙所のスペースがあるなら、顧客のために活用すべきだ」と話しています。
 一方、ウェブマーケティング事業のピアラ(東京渋谷区)は、たばこを吸わない社員を評価する逆転の発想で、2017年9月から、喫煙しない社員に年間最大で6日間の有給休暇を与える「スモ休」制度を始ました。
 切っ掛けは、社長に寄せられた社員からの「たばこ休憩は不公平」という意見。オフィスのある29階には喫煙所がないため、たばこを吸うには地下1階まで降りなければならず、喫煙1回当たり10~15分の休憩を取っているのと同じだと、喫煙しない社員から不満の声が上がりました。
 そこで導入されたのが、スモ休制度。過去1年間にたばこを吸っていないことが条件で、労働時間の不平等感の解消と禁煙促進を図るためにスタートし、社内では好評だそうです。
 喫煙がさまざまな疾病の危険因子であることは、いうまでもありません。従業員の健康管理を戦略的に実践する「健康経営」を経済産業省が企業に促していることもあり、禁煙を呼び掛ける企業の動きは加速していくものと思われます。

 2018年3月29日(木)

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