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■京大とグンゼ、人工皮膚を開発 糖尿病性皮膚潰瘍の治療に有効 [健康ダイジェスト]

 肌着大手のグンゼと京都大学は16日、重いやけどに加え、糖尿病で生じる皮膚の潰瘍などの回復を早める人工皮膚「ペルナック Gプラス」を開発し、10日付で国の製造・販売承認を取得したと発表しました。
 ブタの皮膚や腱由来のスポンジ状のコラーゲンにゼラチンを混ぜた製品で、皮膚の再生を促すタンパク質と組み合わせて効果を高めました。従来より治りが2~3倍早いといい、グンゼは新製品を医療機器として夏以降に順次発売します。
 京大の鈴木茂彦名誉教授(形成外科)、関西医大の森本尚樹准教授(形成外科、元京大医学部講師)らと共同開発しました。新製品はスポンジのコラーゲンにゼラチンを混ぜることで、皮膚の血管の再生を促すタンパク質「bFGF」を蓄える機能を持たせました。傷に張り付けると、2週間かけてゆっくり分解しながらタンパク質を放出します。
 動物実験では、患者自身の細胞を用いる高価な方法と同等の効果を確認しました。価格は1平方センチメートル当たり607円と、数分の1~10分の1に抑えられます。グンゼが発売する製品は7種類のサイズがあり、価格は最小サイズ(12平方センチメートル)で1枚約5500円、最大サイズで1枚約21万円で、保険適用で原則3割が自己負担となります。
 従来のコラーゲン100%の人工皮膚は、治りが遅い糖尿病患者では感染症になりやすく使いにくいというリスクがありました。新製品は治りが早いため、糖尿病患者にも使いやすいといいます。2010~2012年に実施した京大などの治験では、糖尿病などで皮膚の傷が治らない30~80歳代の17人のうち16人で傷が早く治る効果を確かめました。
 京大によると、新製品が適用できる糖尿病患者は概算で年間2万人に上ります。糖尿病では足の末端の血行が悪くなり、潰瘍や壊死で切断が必要になることもあります。糖尿病患者全体の1~10%が潰瘍になり、その7~20%が切断に至るといいます。
 森本准教授は、「限られていた糖尿病性皮膚潰瘍の治療の幅が広がり、悪化前に治療できる」と話しています。

 2018年4月17日(火)

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