SSブログ

■CT検査の被曝線量、医療機関に記録義務付けへ 厚労省、発がん性の側面を考慮 [健康ダイジェスト]

 病気の診断に欠かせない放射線検査による医療被曝(ひばく)を低減するため、厚生労働省はCT(コンピューター断層撮影)検査をする医療機関に、患者の被曝線量の記録を義務付ける方針を決めました。他よりも高い線量で検査している施設には、線量の設定の再検討を促す仕組みを取り入れます。
 放射線検査の適正管理に関する厚労省の有識者検討会で了承されました。今後、医療法の省令を改定し、義務付ける項目を明記する方針。
 医療現場での放射線検査はCTのほか、乳がん検診のマンモグラフィーや、血管・血流を調べる血管造影があります。CT検査は増加傾向で、日本にあるCT装置は1万台以上、CT検査数は年間で約3000万件と推定され、ともに世界最多レベル。国連放射線影響科学委員会の報告によると、診療による日本人の被曝線量は年間平均3・87ミリシーベルトと、世界平均の0・6ミリシーベルトに比べ大幅に高くなっています。
 被曝線量が高ければ、がんのほか、不妊、白内障などを誘発することが懸念されています。
 これまでは、医療機関に線量を記録する義務はなく、実態はよくわかっていませんでした。このため、比較的強い放射線を使うCTと血管造影について被曝線量の記録を義務付け、患者に情報提供できるようにします。ただし、日本では広島、長崎での原爆投下から、被曝の実態を知ることに抵抗感を抱く患者もいるため、患者に線量の記録を提供するかどうかは、医師が患者の様子を見ながら判断することになるといいます。
 また、CTなどの検査の線量は施設ごとに差があります。新たな仕組みでは、線量が少ない順に施設を並べて全体の75%が入るまでの線量を目安とし、それを超える施設には診断の質を落とさない範囲で改善を促します。さらに、放射線検査の有益性、有害性を適切に判断してもらうため、携わる医療者に研修を義務付けます。
 医療被曝により、子供では白血病などの発生率が増えるとの報告もあります。科学者でつくる日本学術会議は昨年、CTによる医療被曝の低減を求める提言を発表。政府に対し、全国的な年間の線量を把握し、記録、保存、評価する仕組みづくりを求めていました。

 2018年5月15日(火)

nice!(5)  コメント(61) 
共通テーマ:健康