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■難病の治療に使われる免疫抑制剤3種、妊婦の使用可能に 厚労省専門家会議 [健康ダイジェスト]

 薬を開発する際には、妊娠中の女性を対象にした安全性の試験ができないため、多くの薬は添付文書で妊婦の使用を禁止していますが、厚生労働省は一部の難病の治療に使われている3種の免疫抑制剤について、海外のデータなどで胎児に影響するという報告はないとして妊婦も使用できるように変更する方針を決めました。
 厚労省はこうした検討をさらに続け、妊婦が使える薬を増やしていくことにしています。
 製薬会社が薬を開発する際には、胎児に影響が出た場合を懸念して妊娠中の女性を対象にした安全性の試験ができないため、動物実験でのデータで懸念がある場合には、薬の添付文書に「妊娠または妊娠している可能性のある女性」には使用できないことを記載しています。
 そのため、こうした薬を服用している病気の女性の中には、本当に影響があるのかよくわからないまま、妊娠をあきらめたり、妊娠中は薬の使用をやめて症状が悪化したりすることがあるとして、厚労省は、海外の使用実績のデータや、医師の総合的な判断で投与した国内のケースのデータを集める事業を2016年から始めていました。
 26日、厚労省で開かれた専門家会議では、いずれも免疫の働きを抑える作用があり、「膠原(こうげん)病」や「潰瘍性大腸炎」などの重い自己免疫疾患の治療や、臓器移植後の拒絶反応を抑えるためなどに使われる「タクロリムス」、「シクロスポリン」、「アザチオプリン」の3種の免疫抑制剤について、流産や胎児の異常が増えたという報告はないとして、妊婦にも投与できるよう変更する方針を決めました。
 厚労省は、速やかに製薬会社に対して添付文書を変更するよう通知を出すほか、別の薬についてもデータを集め、安全性が確認できしだい通知を出し、妊婦が使える薬を増やしていくことにしています。
 この問題に取り組んできた成育医療研究センター(東京都世田谷区)の村島温子医師は、「胎児への影響がある薬もあり、勝手に判断することは危険だが、リスクが否定できるものについては、今後も積極的にデータを集めて添付文書の変更を働き掛けていきたい」と話しています。
 厚労省は、「この取り組みで、不必要に妊娠をあきらめたり、薬の服用をやめて症状が悪化したりする事例が避けられるのではないか」としています。
 筑波大学の研究チームが、日本とアメリカで使われている400種類の薬を調査したところ、妊婦に使用できないとされた薬はアメリカは18種類で、日本は103種類と5倍以上に上ることがわかっています。アメリカでは薬の市販後もデータを集めるシステムがあり、影響がないものについては変更することが行われていますが、日本にはこうしたシステムがないことが背景にあるとみられています。

 2018年6月28日(木)

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■東京都の受動喫煙防止条例案、委員会で可決 27日に成立する見通し [健康ダイジェスト]

 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えて東京都が独自に制定を目指す受動喫煙防止条例案が25日、都議会厚生委員会で賛成多数で可決されました。
 面積にかかわらず従業員を雇っている飲食店を原則屋内禁煙とし、喫煙専用室(飲食不可)のみ喫煙を認めるのが特徴で、規制対象は国会で審議中の健康増進法改正案よりも広くなっています。
 自民党と共産党が修正案を提出しましたが、否決され、条例案は27日の本会議で可決、成立する見通し。
 条例案が成立すれば年内から段階的に施行し、罰則(5万円以下の過料)は2020年4月の全面施行時から適用されます。幼稚園や保育所、小中高校について屋内外の喫煙所の設置を認めず、完全禁煙とするほか、病院や行政機関も建物内を禁煙にすると規定。東京都などによると、都内の飲食店の約84%に当たる約13万4000軒が規制対象になります。一方、国の法改正案では、客席面積100平方メートル以下で、個人経営か資本金5000万円以下の中小企業が経営する既存の飲食店内での喫煙を認めており、規制対象は約45%といいます。
 都議会で、自民党は「混乱が生じるのは明らか」と主張し、国と同じ客席面積100平方メートルなどを基準に規制する修正案を提出。共産党は、健康被害が明らかになるまで加熱式たばこについて罰則を適用しない点を問題視し、紙巻きたばこと同様に扱う修正案を提出。しかし、いずれも反対多数で否決されました。
 東京都の条例案が、小池百合子知事が特別顧問を務める都民ファーストの会と公明党のほか、共産も賛成に回って可決されました。
 厚生委員会では、条例案に賛成した都民ファーストの会や公明党の都議から、「働く人や子供を守るため、国の法律の不十分な点を補うべきだ」などの意見が出されました。

 2018年6月26日(火)

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■厚労省、アレルギーの病気克服へ初の提言 患者数を10%減らし、死亡する患者をゼロに [健康ダイジェスト]

 アトピー性皮膚炎や花粉症など、国民の半数が発症しているとされるアレルギーの病気を克服するため、今後10年間の研究の方向性を示した初めての提言を厚生労働省の特別研究班がまとめました。
 アレルギー患者の数を10%減らすことなどを目標に掲げており、厚労省はこれを基に検討を進めて、秋ごろをめどに具体的な戦略を決め、来年度から取り組みを始めることにしています。
 アレルギーは、体内に入り込んだ異物に免疫が過剰に反応することで起きる症状で、アトピー性皮膚炎や花粉症、食物アレルギーなど、国内の患者は2人に1人と急増しているとされ、日常生活に影響が出たり、場合によっては死亡したりするケースもあります。
 今回の提言の中では、アレルギーのメカニズムを解明して、予防や治療につなげるなどの「基盤研究開発」や、年齢によって症状が異なるアレルギーの特徴に合わせた診断や治療法を開発するなどの「重点研究開発」、それに患者の意見を取り入れて効果的に研究を推進するなどの「横断研究開発」の3つの柱を掲げています。
 そして、10年間で遺伝子や生活環境なども考慮した患者一人一人に合った医療を実現し、患者の数を10%減らすことや、食品や医薬品を原因として重いアレルギー症状を起こすなどして死亡する患者をゼロにすることを目指すとしています。
 研究班の代表を務める東京慈恵会医科大学の玉利真由美教授は、「アレルギーで悩む人は増えていて、今後10年をかけて、患者たちに研究成果が届く仕組みを作っていく必要がある」と話しています。
 厚労省の専門委員会が、2005年にまとめた報告書では、日本人の3人に1人ほどが、何らかのアレルギーを発症していると報告されていますが、2011年の報告では、およそ2人に1人と報告され、アレルギーの患者は急増しています。
 スギ花粉症を含むアレルギー性鼻炎は、国民の40%以上が発症していると考えられるとしているほか、アトピー性皮膚炎は小学生までの子供の12%前後が発症しており、食物アレルギーは乳幼児の5%から10%で症状がみられるとしています。
 また、最近ではあらゆる年齢層で重症の患者が増え、一般的には大人になると症状が緩和するケースが多いとされる食物アレルギーを大人になってから発症する人や、原因がよくわからないまま全身のアレルギー症状に悩む人など、患者の症状も多様化していると報告されています。そして、食品や医薬品を原因とした重いアレルギーの症状で、2013年までの10年余りでは、毎年30人前後の患者が死亡しています。
 厚労省は2015年に「アレルギー疾患対策基本法」を施行し、総合的な対策を推進しています。この法律に基づく基本指針に従って、昨年7月、地域にかかわらず、すべての患者が適切な治療を受けられるよう、アレルギー診療の拠点病院を設置して、医療体制を整備することを各都道府県知事に求めています。
 また、この基本指針では、アレルギー研究の中長期的な戦略の策定について検討を行うことも盛り込まれており、厚労省は今回の提言を基に、アレルギーや免疫に関係する病気について検討を進めて、具体的な戦略を策定します。

 2018年6月26日(火)

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■高額な注射用抗がん剤、2回まで使用を認める 医療費削減へ厚労省指針 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は22日、「オプジーボ」などの注射で使う高額な注射用抗がん剤について、1瓶で2回まで使用を認めるとする指針をまとめました。廃棄されていた残薬を安全に有効活用することで医療費削減を目指します。
 液状の抗がん剤は、「バイアル」というガラスの瓶に入っています。オプジーボの場合、1瓶100ミリグラム約36万5000円で、患者の体重に合わせて必要な量を使います。だが、例えば30ミリグラム残っても、細菌汚染の恐れがあるとしてメーカー側は使用しないよう注意喚起しています。廃棄すると10万円以上が無駄になる計算で、こうした廃棄分が年数百億円に上るという試算があり、自民党行革推進本部が昨年7月、対応を求めていました。
 今後、残薬の使用が認められるのは、開封後も有効成分が分解しないなどの安定性がある抗がん剤。使用後はふたを消毒し、滅菌シールで保護するなどの厳格な取り扱いを求めます。保管期間は原則当日中で、無菌室内の保管庫では7日まで可能。
 残薬を巡っては、1瓶から同時に複数の患者へ使用することは認められており、別の患者に残薬を使用しても1人に1瓶ずつ使ったことにして医療費を請求しているケースが確認されています。日本病院薬剤師会の調査では、こうした事案で過大に医療費を受け取っている医療機関が18%にも上りました。
 厚労省は、別の患者に残薬を使用した場合、使用量に応じた医療費の請求を徹底するよう求める通知も、11日付で関係団体に送りました。

 2018年6月24日(日)

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