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■洗顔料・歯磨き粉で使用するマイクロプラスチック、自粛求める 海の生態系への悪影響を懸念 [健康ダイジェスト]

 政府は海に浮遊する微細なプラスチックによる汚染対策に乗り出し、洗顔料や歯磨き粉などに使われる「マイクロプラスチック」という微細な粒子を製品として提供する民間企業に対して、製造と販売の自粛を求めます。微細なプラスチックによる海の汚染が国際的な問題となっており、生態系や人体への悪影響の懸念に対応します。
 超党派の国会議員が、海岸の漂着ゴミ対策を盛り込んだ「海岸漂着物処理推進法」にマイクロプラスチックの使用抑制を明記する改正案を週内にも国会へ提出します。
 マイクロプラスチックはポリエチレンなどを原料とする微小な粒子で、洗顔料や歯磨き粉、ボディーソープなどに使われ、より小さな粒子は「マイクロビーズ」とも呼ばれます。小さな粒子が皮膚の汚れなどを落とす効果があるため、衛生用品メーカーなどが利用してきました。
 ただ、マイクロプラスチックは排水処理施設で取り除くことができず、大部分が海へ流れ込んでいるとされます。プランクトンや魚が誤飲することで、食物連鎖に影響したり、有害物質が人体にも取り込まれたりする恐れが指摘されています。イギリスが1月に製造禁止にするなど、海外ではより踏み込んだ動きが出ています。
 業界によっては、すでに製造を控える動きも出ています。化粧品関連メーカーで構成する日本化粧品工業連合会は2016年3月に、会員企業1100社に自主規制を呼び掛けました。主な大手メーカーは製品化を取りやめたものの、まだ一部メーカーでは利用が続いています。
 改正案は今国会で可決成立し、施行は今夏となる見込み。また、段階的により厳しい措置をとる方針で、マイクロプラスチックの利用を続けているメーカーは対応を迫られます。
 ペットボトルやレジ袋、包装容器などのプラスチック製品は世界で年間約3億1100万トンが生産され、そのうちおよそ1億トンがごみとなり、少なくとも800万トンが海に流出しているとされます。世界経済フォーラム(ダボス会議)が昨年、2050年までに海洋中のプラスチックが魚の総重量を上回るという試算を発表するほど、汚染は進んでいます。
 日本の対策は現在、企業や自治体の自主的な対応に委ねており、具体的にはレジ袋の有料化による使用削減策などにとどまっています。

 2018年6月10日(日)

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