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■インフルエンザで肺組織に障害、マウスで観察に成功 東京大医科学研究所  [健康ダイジェスト]

 インフルエンザに感染したマウスの肺を生きたまま観察し、蛍光技術を使って免疫細胞の動きや血流の変化、肺組織の損傷の様子をとらえることに初めて成功したと、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)らの研究チームが25日付のアメリカの「科学アカデミー紀要」(電子版)に発表しました。
 致死率の高いウイルスのほうが通常の季節性のウイルスよりも、血流速度の低下が早く起きるなど症状の違いも、判明しました。
 インフルエンザに感染した肺ではさまざまな免疫反応が起こりますが、肺は呼吸により動くため、生体で観察するのは困難でした。研究チームは、感染した細胞が蛍光を発するよう遺伝子改変したウイルスをマウスに感染させ、さらに肺の血流や免疫細胞の一種「好中球」を蛍光で光らせる薬剤を血管から投与。麻酔下で開胸し、特殊な顕微鏡を使って一定間隔で撮影した肺の画像を詳細に解析しました。
 致死率50%で流行が懸念されるH5N1型鳥インフルエンザと、季節性のウイルスをそれぞれ感染させたマウスに加え、健康なマウスも比較。感染したマウスの肺では血流が遅くなり、感染初期に好中球の数が増える一方、好中球の移動速度は落ちることがわかりました。そうした変化はH5N1型のほうが季節性より早く生じ、炎症や肺胞が潰れるなどの組織障害が激しく起こっていました。
 H5N1型が重篤化する理由の解明に役立つと期待され、河岡教授は「結果を数値化することもでき、ウイルスの特性の解明や治療法の開発などに役立つ可能性がある。また、他のさまざまな呼吸器感染症にも応用できる」と話しています。

 2018年6月28日(木)

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■難病の治療に使われる免疫抑制剤3種、妊婦の使用可能に 厚労省専門家会議 [健康ダイジェスト]

 薬を開発する際には、妊娠中の女性を対象にした安全性の試験ができないため、多くの薬は添付文書で妊婦の使用を禁止していますが、厚生労働省は一部の難病の治療に使われている3種の免疫抑制剤について、海外のデータなどで胎児に影響するという報告はないとして妊婦も使用できるように変更する方針を決めました。
 厚労省はこうした検討をさらに続け、妊婦が使える薬を増やしていくことにしています。
 製薬会社が薬を開発する際には、胎児に影響が出た場合を懸念して妊娠中の女性を対象にした安全性の試験ができないため、動物実験でのデータで懸念がある場合には、薬の添付文書に「妊娠または妊娠している可能性のある女性」には使用できないことを記載しています。
 そのため、こうした薬を服用している病気の女性の中には、本当に影響があるのかよくわからないまま、妊娠をあきらめたり、妊娠中は薬の使用をやめて症状が悪化したりすることがあるとして、厚労省は、海外の使用実績のデータや、医師の総合的な判断で投与した国内のケースのデータを集める事業を2016年から始めていました。
 26日、厚労省で開かれた専門家会議では、いずれも免疫の働きを抑える作用があり、「膠原(こうげん)病」や「潰瘍性大腸炎」などの重い自己免疫疾患の治療や、臓器移植後の拒絶反応を抑えるためなどに使われる「タクロリムス」、「シクロスポリン」、「アザチオプリン」の3種の免疫抑制剤について、流産や胎児の異常が増えたという報告はないとして、妊婦にも投与できるよう変更する方針を決めました。
 厚労省は、速やかに製薬会社に対して添付文書を変更するよう通知を出すほか、別の薬についてもデータを集め、安全性が確認できしだい通知を出し、妊婦が使える薬を増やしていくことにしています。
 この問題に取り組んできた成育医療研究センター(東京都世田谷区)の村島温子医師は、「胎児への影響がある薬もあり、勝手に判断することは危険だが、リスクが否定できるものについては、今後も積極的にデータを集めて添付文書の変更を働き掛けていきたい」と話しています。
 厚労省は、「この取り組みで、不必要に妊娠をあきらめたり、薬の服用をやめて症状が悪化したりする事例が避けられるのではないか」としています。
 筑波大学の研究チームが、日本とアメリカで使われている400種類の薬を調査したところ、妊婦に使用できないとされた薬はアメリカは18種類で、日本は103種類と5倍以上に上ることがわかっています。アメリカでは薬の市販後もデータを集めるシステムがあり、影響がないものについては変更することが行われていますが、日本にはこうしたシステムがないことが背景にあるとみられています。

 2018年6月28日(木)

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