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■日本調剤、病院向けに薬剤師を派遣へ 病院勤務を経験しスキルアップ [健康ダイジェスト]

 調剤薬局チェーンの日本調剤(東京都千代田区)は、病院向けに薬剤師を派遣するサービスを始めます。産休・育休を取得する薬剤師の代わりとして、全国47都道府県の日本調剤の店舗で働く薬剤師らを派遣します。
 薬剤師は女性の比率が高く、人材の一時的な不足を補いたい需要は高いとみており、日本調剤にとっては自社の薬剤師に病院勤務を経験させることでスキルアップも狙います。
 7月中にもサービスを始める予定で、4月1日に東京本社で労働者派遣事業許可を取得しました。日帰りで通勤できる範囲の病院で契約を受け付け、日本調剤の店舗勤務に就いている薬剤師らを派遣します。派遣期間は1〜2年を想定しています。
 日本調剤は全国で約3000人の薬剤師を抱えています。派遣する人数は未定ですが、現場のニーズに応じて対応を検討します。今後は東京本社以外の事業所でも、労働者派遣事業許可を順次取得していく考え。
 自社の無期雇用の社員を派遣する「常用型派遣」である点が特徴で、希望者から登録を受け付けて派遣先の契約期間と同じ長さの雇用契約を結ぶ「登録型派遣」ではありません。病院が登録型派遣で薬剤師を雇うケースはあるものの、今回のようなモデルは珍しいことです。薬剤師は日本調剤の店舗で実務に従事しており、病院にとっては一定のスキルが担保される利点もあります。
 日本調剤は子会社メディカルリソース(東京都千代田区)を通じ、薬局向けの薬剤師の登録型派遣はすでに実施しています。
 資格を持っていながら活用されていない薬剤師は、業界で「たんす薬剤師」と呼ばれることもあります。厚生労働省によると2016年12月末時点で、約30万人の薬剤師全体のうち無職の者は3・5%。約61%を女性が占める薬剤師の場合、出産や育児を機に仕事から離れてしまうケースもあるといいます。
 大手の日本調剤の場合、店舗で勤める正社員の薬剤師のうち5・5%が産休・育休を取得しているといい、業界全体でも同程度のニーズがあると判断しました。病院が派遣を受け入れ、産休・育休を取りやすくすることで、女性薬剤師のつなぎ留めや新規獲得につながることを期待しています。
 日本調剤にとっても、自社の薬剤師に病院内での勤務経験を積ませられる利点は大きく、病院では医師の処方箋に基づき医療用医薬品を提供する調剤以外にも、入院患者向けに薬を提供したり、服薬指導をしたりする業務があります。医師の近くで服薬についての考えを知ることは、薬剤師のキャリアにプラスになるとみています。
 厚労省は2015年、薬局の将来像を示す「患者のための薬局ビジョン」を策定。患者の服薬情報を一元管理する「かかりつけ機能」に加え、抗がん剤の副作用が起きた時の助言など「高度薬学管理機能」も求めています。
 日本調剤は全国47都道府県で展開する約590店のうち、7割以上が病院などに近接する「門前薬局」。高度医療を手掛ける大学病院前などの立地も多く、大学病院内での実務研修も行っています。2018年度からは専門性を高めるため、知識や技能などに応じて薬剤師を4段階で評価する制度も導入しました。
 日本調剤は高度医療に対応できる専門性が強みで、新たな派遣事業を始めることで病院との連携を深め、幅広いニーズに対応します。

 2018年7月7日(土)

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■厚労省、病気腎移植を条件付きで先進医療に承認 入院費などに保険適用 [健康ダイジェスト]

 がん患者から摘出した腎臓を別の腎不全の患者に移植する「病気腎移植」について、厚生労働省の先進医療会議は5日、健康保険外の治療ながら、入院や投薬の費用に健康保険が適用される「先進医療」に条件付きで承認しました。倫理的な課題が解消されたと判断しました。
 申請したのは徳洲会グループの東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)とともに、重症の腎不全患者を対象に移植手術を実施します。ドナー(臓器提供者)は、直径7センチ以下のがんが腎臓にあり、がんの部分だけを切除するのが難しく、全摘出した腎臓の提供に同意した人がなります。
 2病院の計画では、有効性や安全性を確認するため、4年間で42例の移植手術を実施する予定で、移植後の5年間の生存率やがん発生がないかどうかなどを調べます。ただし、21例目までに4例で腎臓が機能しなければ中止します。
 先進医療会議は承認に当たり、移植のためにドナーのがん治療に不利益がないよう「細心の配慮が必要」とし、移植を受ける腎不全患者の選定にも「客観性と公平性を担保する必要がある」と指摘。「ドナーの適格性だけでなく患者の選定にも日本移植学会などの関係学会が推薦する外部委員が2人以上参加すべきだ」と条件を付けました。
 病気腎移植は、宇和島徳洲会病院の万波誠医師らが1990年ごろから実施していたことが2006年に発覚。日本移植学会などが安全性や倫理面に問題があると指摘するなど、議論を巻き起こしました。病院を運営する徳洲会グループも一時中止していましたが、腎臓移植を待つ人が1万人以上いるため病気腎移植を進めるべきだとして、2009年に臨床研究として再開。その後、医療費の一部に健康保険が適用される先進医療への承認を申請していました。
 厚労省の先進医療技術審査部会が2017年10月、条件付きで承認し、この日の先進医療会議で正式決定しました。厚労省は8月以降、病院内での手続きなどが適切に進んだことを確認した上で、先進医療として告示し、移植手術が実施されます。
 東京西徳洲会病院の小川由英・腎臓病総合医療センター長は、「我々には相当に責任があるので、慎重にやっていかなければならない」と話しました。
 先進医療会議座長の宮坂信之・東京医科歯科大名誉教授は、「病気腎移植にもろ手を挙げて賛成ではない。保険適用をするかどうかを評価するスタート地点についたにすぎない」と話しました。

 2018年7月7日(土)

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