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■京大、パーキンソン病患者にiPS細胞移植へ 患者7人が参加予定 [健康ダイジェスト]

 京都大は8月1日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経細胞を神経難病のパーキンソン病の患者の脳に移植する世界初の臨床試験(治験)を始めました。治験は、iPS細胞を使った目の難病や心臓病患者に対する臨床研究に比べて実用化により近い点が特徴で、早期の治療法確立と保険適用を実現させる狙いがあります。
 パーキンソン病は手足の震えや筋肉のこわ張りといった症状が出る難病で、脳内で神経伝達物質のドーパミンを作る神経細胞が徐々に減ることが原因。国内の患者数は16万人とされ、根本的な治療法はまだありません。
 治験では、他人由来のiPS細胞から作製した神経前駆細胞を患者の左右の脳に計約500万個注射。移植細胞が神経細胞になってドーパミンを出すことで症状の改善や服用薬の減量が期待されますが、移植後1年間は拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与します。2年間の経過観察で、移植細胞のがん化の有無や改善効果などを確認します。
 京大病院によると、8月1日からパーキンソン病患者の選定作業を始めました。治験には50~69歳の患者7人が参加予定で、神経細胞を移植する1例目の患者は京大病院の患者から選びます。残り6人は全国から募集し、中程度の症状で、認知症を発症していないなどの条件を満たした応募者から絞り、京大病院の医師などでつくる患者選定委員会で決定。1例目の移植は年内にも実施し、7人の治験は2022年度までに終了予定です。
 先行する理化学研究所などによる目の難病や大阪大の心臓病患者に対する臨床研究はいずれも治療の実施に向けた研究段階で、再生医療安全性確保法に基づいて国から承認されました。iPS細胞から作製した目の網膜や心筋細胞を医療製品と認可してもらうには、改めて医薬品医療機器法(薬機法)に基づく治験をする必要があります。
  一方、治験は臨床研究の一つであるものの、国から医薬品や再生医療製品としての承認を受けることを目的に薬機法が定める厳しい基準で実施されます。京大チームは治験の審査を担当する国の機関と事前相談を重ねるなどし、7人の治験で有効データが得られれば条件付きで早期に承認を受けることができ、より早く一般医療として保険適用が認められます。
 京大チームは2020~2023年度ごろの早期承認を目指しており、チームの高橋淳・京大iPS細胞研究所教授は「7例のデータを基に治療法の承認を得たい。他の治療法と組み合わせることで根治に近付けられる」と話しています。

 2018年8月17日(金)

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