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■京大がニホンザルのiPS細胞の作製に成功 脳機能や人の進化の解明に道 [健康ダイジェスト]

 ニホンザルの細胞から、体のあらゆる組織になれるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製に成功したと、京都大学霊長類研究所の今村公紀助教らの研究チームが30日、発表しました。他のサルや人から作製したiPS細胞と比較することで、脳機能や人の進化の解明につながります。
 研究成果は、イギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表しました。
 人に近い霊長類は、進化などの研究に有用な半面、傷や苦痛を与える実験をするには倫理的に高いハードルがあります。iPS細胞を作製することで、発生の仕組みなどを容易に調べることができるようになるといいます。
 iPS細胞は京都大学の山中伸弥教授が2006年にマウスで、2007年に人で作製に成功。それ以降、医学研究に使われることの多いチンパンジーやカニクイザルでも作製できましたが、ニホンザルではまだ作製されていませんでした。
 霊長類研究所で飼育するメスのニホンザル2頭の耳の皮膚の細胞を採取し、人のiPS細胞を作製するための4種類の遺伝子をウイルスを用いて導入しました。25日間培養すると、iPS細胞ができました。体のさまざまな細胞に成長できることや増殖することを確認し、神経幹細胞や神経細胞にも育てられました。
 ニホンザルは知能が高く、社会生活や脳の働きの研究の蓄積があります。研究チームはiPS細胞から神経細胞や脳の組織などを育てて詳細に解析することで、霊長類の脳の機能の解明に役立てます。将来は多くの個体のiPS細胞を凍結保存し種の保存につなげます。iPS細胞から生殖細胞を作製する実験にも取り組みます。 

 2018年8月31日(金)

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■iPS細胞で腎臓病の初期症状を再現 治療法の開発に光 [健康ダイジェスト]

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、血液中のタンパク質が尿に大量に漏れる腎臓の難病「先天性ネフローゼ症候群」の初期症状を再現することに、熊本大学発生医学研究所などの研究チームが成功しました。
 腎臓の機能をつかさどる細胞の異常が、遺伝子操作で正常化することも確かめました。発病の仕組みの解明と有効な治療法の開発につながる可能性があるといいます。
 アメリカの科学誌「ステム・セル・リポーツ」(電子版)に31日、論文が掲載されました。
 先天性ネフローゼ症候群は、腎臓の中で血液から尿をこし取る細胞の濾過(ろか)膜が十分形成されていないために起こります。熊本大の西中村隆一教授(腎臓発生学)らの研究チームは、小児患者の皮膚から作製したiPS細胞で腎臓の組織を作り、濾過膜の形成が進まない状態を初めて再現しました。実際に、腎臓の組織になる途中の細胞をマウスに移植したところ、先天性ネフローゼの初期段階の症状が確認されたといいます。
 この小児患者は、濾過膜を構成する主要なタンパク質「ネフリン」の一部に異常があるものの、細胞の遺伝子操作で修復したところ、濾過膜の形成が進みました。このため、ネフリンの異常が病気の原因であると特定できました。
 先天性ネフローゼ症候群は根治が難しく、生後3カ月以内に血液中のタンパク質が大量に尿の中に漏れ出し、多くは2、3歳のうちに腎不全に至り、人工透析や腎臓の移植手術が必要となります。濾過膜の人工的な再現方法がないことが、研究の課題でした。
 熊本大によると、小児のネフローゼ症候群患者のうち2%程度は先天性とみられ、全国で100人弱の患者がいると推定されます。濾過膜の障害は、成人の腎臓病との関連も指摘されており、西中村教授は「濾過機能を持つ細胞に直接作用する薬を見付けられれば、他の種類の腎臓病治療でも効果が得られる可能性が出てくる」としています。

 2018年8月31日(金)
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