SSブログ

■厚労省の概算要求、過去最大の31兆8956億円に 働き方改革の実現費用の拡充も [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は8月29日、2019年度予算の概算要求をまとめました。要求額は31兆8956億円と今年度の当初予算と比べて7694億円(2・5%)の増額とし、過去最大の予算規模を求めました。
 高齢化に伴い医療や介護、年金など社会保障費の増加が続いており、厚労省の予算は大半を社会保障費が占めます。2015年度から児童手当などを内閣府の所管に移したため見掛け上の金額は減っているものの、実質的には過去最高を更新し続けています。2019年度の概算要求では31兆8956億円の要求額のうち、29兆8241億円が年金や医療、介護などにかかる経費で、2018年度予算と比べて2・1%増を見込みます。
 そのうち公的医療保険への国からの支出は2018年度当初予算比2・0%増の約11兆8746億円、介護保険関連では3・7%増の3兆1866億円を見込みました。介護は年齢を重ねるほど費用がかさむようになるため、高齢化が進む近年では特に伸びが大きくなっています。年金は団塊の世代向けの支給がすでに始まっているため、医療や介護ほどの伸びを見込んでおらず、1・4%増の11兆7822億円を求めました。
 政府は高齢化などによる社会保障費の自然増を2019年度は6000億円と見込んでいます。5000億円まで圧縮する目標を掲げていた2018年度までと異なり、2019年度は圧縮の数値目標を設定せず、高齢化による増加分に収めるとしています。具体的にどこまで自然増を圧縮できるかが、年末の予算編成の大きな焦点となります。
 概算要求では、働き方改革の推進が柱の一つに位置付けられました。同一労働同一賃金や残業時間の上限規制を盛り込んだ働き方改革関連法は来年4月から順次施行されます。中小企業は同一賃金と残業規制の施行が1年遅れルものの、勤務間インターバル制度の導入支援や相談体制の整備などに1222億円を求めます。働き方改革全体で、2018年度当初予算比で2割弱増える約3800億円を計上しました。
 効率的な社会保障の提供体制の整備も重点テーマで、地域の病床再編、医療・介護連携の推進などに645億円を求めました。また、健康保険組合の解散の動きが相次いでいることを受けて、健保への新たな財政支援策として31億円を計上しました。
 介護離職ゼロに向けた人材の処遇改善や受け皿整備には543億円を求めました。また、児童相談所の体制強化、保護が必要な児童の情報を共有する新たなシステムの構築といった児童虐待の防止対策などには1655億円を計上しました。さらに今後、増加が見込まれる外国人材の受け入れ環境を整えるため、ハローワークの体制を充実する経費などとして、100億円を盛り込みました。

 2018年9月2日(日)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

■二酸化炭素濃度の上昇で穀物の栄養素が低下 世界が栄養不足に陥にる恐れ [健康ダイジェスト]

 大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇が原因で小麦や米といった主要穀物から有益な栄養素が徐々に失われる恐れがあるとの研究論文が8月27日、発表されました。研究結果は、世界で多くの人々が栄養不足に陥ることへの懸念を高めるものだと、論文は警告しています。
 イギリスの科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載された研究論文によると、現在の傾向が続けば、世界の主要穀物に含まれる鉄、亜鉛、タンパク質などの濃度がCO2濃度の上昇によって今世紀半ばまでに最大で17%低下することが考えられるといいます。
 論文の主要執筆者で、アメリカのハーバード大学公衆衛生大学院の研究者のマシュー・スミス氏は、「主にアフリカ、東南アジア、インド、中東などの地域で、栄養不足の状態に陥る人が数億人増える恐れがある」と語りました。また、現在すでに栄養不足の問題に直面している数十億人については、その状況がさらに悪化するとしました。
 全世界で供給されるタンパク質、亜鉛、鉄の約40%は、小麦、米、トウモロコシの世界3大穀物によってもたらされています。一般に、人が食事から摂取するタンパク質の約60%、鉄の約80%、亜鉛の約70%は、植物性食物からのもの。
 大気中の過剰なCO2が、2050年までに世界の人々の健康に与える影響について調べるため、スミス氏と共同研究者のサミュエル・マイヤーズ氏の研究チームは、151の国々で栽培されている小麦、米、トウモロコシ、モロコシ、エンドウ豆、大豆などさまざまな種類の食用植物225種についてモデル計算を行いました。
 人類が現在の水準で石炭、石油、天然ガスなどの燃焼による温室効果ガスを放出し続けると、大気中のCO2濃度は2050年までに550ppmに達すると考えられます。現在の大気中CO2濃度は400ppm超となっています。
 モデルを使った計算の結果、この条件の下では、世界人口の2%近くに当たる1億7500万人が新たに亜鉛欠乏に陥り、1億2200万人が十分なタンパク質を摂取できなくなる可能性があることがわかりました。
 鉄に関しては、女性と5歳未満の子供約14億人に摂取量4%超の減少に直面する恐れがあり、そのうちの5億人には鉄欠乏に関連する病気発症のリスクがあるとされました。
 研究チームによると、最も大きな影響が及ぶ国はインドで、約5000万人が亜鉛の欠乏状態となり、最小必要量のタンパク質を取れない人も3800万人に上ることが考えられるといいます。その他、中国、インドネシア、バングラデシュ、ブラジル、ケニアや他の新興国と発展途上国でも、影響を受ける人々の数が劇的に増加するとされました。
 世界保健機関(WHO)によると、現状でも全世界の20億人あまりが、何らかの栄養素が不足した状態にあるといいます。

 2018年9月2日(日)

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:健康