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■胃がんによる死者数5年連続で減少傾向が続く ピロリ菌除菌治療の普及も一因に [健康ダイジェスト]





 肺がん、大腸がんと並ぶ日本人の3大がんである胃がんによる死者数の減少傾向が5年連続で続き、医療関係者からは「画期的だ」という声も上がっています。
 胃がんの原因となる菌の除菌治療が、保険適用で普及したことが一因とみられます。胃がんのリスクを見極める検査を導入する自治体も増えており、減少傾向がさらに続くことが期待されています。
 胃がんは日本人最多のがんで、国立がん研究センターの2013年の統計によると、年間に新たに胃がんと診断された患者数は13万1893人。大腸がんの13万1389人、肺がんの11万1837人を上回っています。
 しかし、国立がん研究センターの2016年の統計によると、胃がんによる年間の死者数は4万5531人。これは、大腸がんの5万99人、肺がんの7万3838人より少なくなっています。
 一貫して死者数の増加傾向が続く大腸がんや2016年に初めて減少に転じた肺がんに対し、胃がんは1973年に初めて5万人超えて以降、40年間ほぼ5万人弱で推移してきたものが、2011年以降は減り続け、2016年までの5年でおよそ1割減となりました。
 この胃がんの死者数の減少傾向について、胃の粘膜に生息するピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)研究の第一人者でもある北海道医療大学の浅香正博(あさか・まさひろ)学長は、「画期的です。保険適用の拡大で、ピロリ菌除菌治療を受ける人が増えた成果と思われる」と話しています。
 胃がんについては、世界保健機関(WHO)の専門組織「国際がん研究機関(IARC)」が2014年、「胃がん対策はピロリ菌除菌治療を中心とすべき」とする報告書をまとめています。IARCによると、胃がんの8割はピロリ菌感染が原因で、除菌によって発症は3~4割減ります。
 日本は2013年2月、それまでの胃・十二指腸潰瘍に加え、慢性胃炎にもピロリ菌除菌治療の保険適用を拡大。その結果、除菌治療を受ける人が増えました。除菌が必要か調べる際の内視鏡検査で早期胃がんが発見される頻度が増す効果もあり、相乗効果的に死者数の減少につながったというのが、浅香学長の見解です。
 もっとも、厚生労働省がん疾病対策課は、死者数ではなく「年齢構成を補正した年齢調整死亡率」を基準とした上で、「胃がんの死亡率は50年前から減少している。検診の普及や治療技術の進歩、ピロリ菌感染者の減少などさまざまな理由が考えられる」とし、除菌治療の成果とする考えには否定的です。
 厚労省のがん検診の指針では、胃がん対策として50歳以上に2年に1回のバリウムか内視鏡の検査を推奨している一方、ピロリ菌検査は推奨していません。
 それでも、ピロリ菌検査の導入は、自治体や企業で独自に進んでいます。中でも、血液検査でピロリ菌感染と胃粘膜委縮の有無を調べ、胃がん発症の危険度合いを調べる「胃がんリスク層別化検査(胃がんリスク検診)」を導入する自治体は2017年度で277を数え、全自治体の16%に上ります。
 NPO法人「日本胃がん予知・診断・治療研究機構」事務局長の笹島雅彦医師は、「リスク検診で高リスクに分類された人が確実に内視鏡による検診を受ける。これが、胃がんの早期発見・治療につながり、さらなる胃がんの死者減が期待できる」と話しています。
 すでに2008年度からリスク検診を導入している東京都目黒区では、2017年度までに約4万6000人が受け、10年間で100人に胃がんが見付かりました。目黒区健康推進課は「導入前の検診による発見は年1~2人だったが、導入後は平均年10人。7割が早期がんで、早期治療につながった」と評価しています。
 北海道医療大学では4月から学生にピロリ菌検査を義務付け、感染者には同意を得た上で内視鏡検査とピロリ菌除菌治療を実施。検査と治療にかかる費用は大学が負担しています。来年4月からは職員のバリウム検診を廃止し、リスク検診に切り替える予定です。
 浅香学長は、「胃がんで命を落とすのは“もったいない”時代に入った。ピロリ菌感染の有無が不明の人はぜひ一度検査を受け、感染がわかったら除菌治療や定期的な内視鏡検査を受けてほしい」と呼び掛けています。

 2018年9月14日(金)
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