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■資生堂、「ストレス臭」を発見 緊張で皮膚からネギに似た臭いが発生 [健康ダイジェスト]

 大手化粧品メーカーの資生堂は2日、人が緊張やストレスを感じた時に、皮膚からネギの臭いに似た特徴的な臭いを持つ「ストレス臭」が発生することを発見したと発表しました。
 資生堂は、20年以上にわたって香りに関する研究を行っており、1999年には中高年の体臭の主な原因物質である「加齢臭」を発見しました。今回発見したストレス臭は「加齢臭に次ぐ大きな発見」と、同社は位置付けています。
 今回の発見は、体の中の状態が肌の調子を左右すると考えた研究員らが、皮膚から発生する気体である「皮膚ガス」に着目したことが切っ掛けでした。皮膚ガスにはさまざまな成分が含まれており、体調や食事内容によって変化します。過去の研究から、糖尿病患者の皮膚からはアセトンが多く検出されることなどが知られています。
 研究員は、人の手から発生する皮膚ガスを採取し、体調や食生活によって特徴があるかを調べているうちに、「ラーメンにトッピングされたネギのような臭いを発見した」といい、その臭いがする人の状態を調査したところ、緊張状態にあることが示唆されました。
 そこで、緊張によるストレス状態を再現するために、女性40人に対して、初対面の人が20分間インタビューを実施。その後、40人の皮膚から出る皮膚ガスを採取して臭気判定士が嗅ぐ実験で、ネギやタマネギの臭いに似ている硫黄化合物のような特有の臭いがあることを確認しました。ストレス臭を2~3分嗅ぐと、疲労や混乱を感じやすいこともわかったといいます。
 今回発見したストレス臭の主要成分は、「ジメチルトリスルフィド」と「アリルメルカプタン」の2つの化合物であるといいます。同社はこの2成分を「STチオジメタン」と名付けました。
 ストレス臭の発生メカニズムなどについては、今後研究を進めていきたいとしています。現在、ストレスの程度は主観的なテストによるチェックツールがほとんどで、ストレス臭のメカニズムが明らかになれば、臭いからストレスの程度を客観的に判定するチェックツールとしての展開も可能になるかもしれません。
 資生堂はストレス臭の対策として、臭い成分を包み込んで目立たなくさせる独自の「STアンセンティッド技術」を開発。この技術を用いたストレス臭専用のにおいケア製品を2019年春に発売する予定としています。

 2018年10月3日(水)

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■オプジーボ開発の小野薬品、今年最高値の株価を更新 ノーベル賞受賞決定から一夜明け [健康ダイジェスト]

 ノーベル医学・生理学賞受賞が決まった本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大学特別教授の研究成果を応用した大阪市の製薬会社「小野薬品工業」は、20年以上の長い時間と多くの資金を投じ、画期的ながん免疫薬「オプジーボ」の開発に至りました。
 時間と資金を費やし、大学と二人三脚で新薬創出を目指す手法は古典的といえますが、世界の製薬大手は巨額買収で新薬をそろえる戦略に軸足を移しており、小野薬品のような開発モデルは少数派となっています。
 本庶氏の受賞決定を受けた2日の東京株式市場で、小野薬品の株価は午前の取り引き開始直後に1日の終値より220円高い3430円まで上昇し、3月につけた今年の最高値を更新。2日の終値は98円高の3308円でした。
 小野薬品はオプジーボの販売が好調で、今年4月から6月までの3カ月間のグループ全体の決算は、売り上げが712億円余りと、昨年の同じ時期より17%増加しています。
 小野薬品は関西を地盤とする中堅製薬会社。かつては血流改善薬「オパルモン」やアレルギー性疾患治療薬「オノン」などで高収益を維持してきましたが、特許切れや後発薬の攻勢で陰りが出てきていました。2014年9月にがん治療に高い効果を持つオプジーボを発売し、売上高は約1400億円から約2600億円に、営業利益は約260億円から約600億円に上向きました。
 小野薬品は、アメリカのブリストル・マイヤーズスクイブと共同開発したオプジーボに多くの経営資源を投じてきました。研究開始から発売までは22年間。売上高に占める割合で1~2割が平均とされる研究開発費も、3割を振り向け続けました。
 同社が本格的に開発を始めた1999年ごろは、遺伝子の異常を調べ、そこに狙いすまして働き掛ける「分子標的薬」と呼ばれる医薬品の開発が花盛りでした。体内の免疫を利用してがんを治療するという考え方は、製薬会社で全くといっていいほど注目を集めてきませんでした。
 それでも小野薬品が京大と粘り強く共同研究を続けたのは、1960年代に京大との共同研究の成功体験があったからです。血管を広げて血圧を下げるなどの作用が知られていた体内物質を世界で初めて化合物として合成し、1974年に陣痛誘発剤として実用化に成功。20年以上の開発期間があっても、投資を回収できるとの想像力につながりました。
 大学と企業による強力なタッグを長期間続けたことが、画期的な医薬品を生み出せた理由です。エーザイのアルツハイマー病治療薬「アリセプト」、第一三共の高脂血症治療薬「メバロチン」など日本発の画期的新薬のほとんどはこうした創薬モデルで誕生しました。
 ただ創薬の成功確率は3万分の1とされ、1つの薬ができるまでに2000億円近くかかるといいます。時間がかかり、失敗するリスクも大きい上、すでに多くの薬が開発され、新たな薬を開発する難易度は上がっています。
 世界の製薬大手は、有望な新薬の種を持つスタートアップ企業を買収し、新薬候補をそろえる戦略に転換しています。アメリカのギリアド・サイエンシズは2017年、がん免疫薬を開発するアメリカの会社を1兆3000億円で買収しました。フランスのサノフィも2018年、血友病治療薬を手掛けるアメリカの会社を約1兆2000億円で買収しています。
 本庶氏の研究成果を花開かせた小野薬品の開発モデルが基礎研究に希望を与えたのは確かなものの、世界の製薬の潮流が同社のような開発モデルに回帰する動きは今のところありません。国内製薬会社の幹部は「小野薬品のケースは極めてまれ。莫大な投資と失敗リスクはもうとれない」と指摘しています。

 2018年10月3日(水)

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