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■オリンパス内視鏡使用後、欧米で190人院内感染 アメリカの遺族が提訴 [健康ダイジェスト]

 医療用光学機器の世界的メーカー、オリンパス(東京都新宿区)の十二指腸内視鏡による検査・治療後、欧米の患者190人以上が抗生物質の効きにくい薬剤耐性菌に感染していたことが25日、判明しました。内視鏡の洗浄、滅菌しにくい構造が原因の可能性があります。アメリカの医療機関への注意喚起は積極的に行わないよう社内メールで指示していたことも判明しました。
 死者も複数出ています。薬剤耐性菌への感染が直接の死因かどうかは不明ですが、アメリカ国内では35人死亡の報道もあります。遺族らは約50件の損害賠償訴訟を起こしました。
 日本からNHK、朝日新聞、共同通信が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が今春から医療機器全般の事故を世界規模で調査し、明らかになりました。
 アメリカの民主党議員の報告書や訴訟資料などによると、問題の内視鏡は福島県会津若松市の工場で製造され、2010年から欧米で販売された十二指腸内視鏡TJF-Q180Vで、2012~15年にアメリカ、オランダ、フランス、ドイツの17医療施設で190人以上が薬剤耐性菌に感染しました。
 日本ではこの内視鏡は販売されず、感染は起きていません。欧米ではその後、特殊な洗浄ブラシの提供や注意喚起で安全対策が取られました。
 オリンパスは、「訴訟に影響を与えるため、コメントは差し控える」としました。

 2018年11月26日(月)

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■中国で世界初のゲノム編集の双子誕生か 生命倫理面で論議も [健康ダイジェスト]

 中国の南方科技大学(広東省深圳市)の研究者が、遺伝子を効率よく改変できる「ゲノム編集」技術を人の受精卵に適用し、双子の女児が11月に誕生したとAP通信などが26日、報じました。事実なら、ゲノム編集で遺伝子を操作した子供が生まれたのは世界で初めて。ただ生命倫理や安全面での課題が多く、議論を呼びそうです。
 大学側はホームページで、「学内では報告されていない。学術倫理や規範に反する」との声明を出し、調査を進める方針。
 同大の賀建奎副教授が、AP通信や中国メディアに語りました。27~29日に香港で開くゲノム編集の国際学会で詳細を発表する見通し。
 エイズウイルス(HIV)が細胞に侵入する入り口となるタンパク質の働きを遺伝子操作で抑えることで、エイズ感染を防ぐ狙いといいます。7組の男女が実験に参加し、1組が妊娠・出産しました。男性全員がHIVに感染しているものの、実際に女児がHIVの耐性を持って生まれてきたかどうかは不明で、今後18年かけて追跡調査するとしています。
 これまで遺伝性難病の治療などを目的としたゲノム編集の研究は、海外で進められてきました。今回実験した賀副教授はアメリカのスタンフォード大などに留学した後、中国に戻り研究を続けました。ゲノム関連のベンチャー企業2社も起業したといいます。
 ゲノム編集は生命の設計図とされる遺伝情報を精度よく改変できる画期的な技術ですが、安全性は確立していません。ある病気に感染しないように操作しても、他の病気にかかりやすくなる可能性があります。生命倫理面でも、望み通りに遺伝子を書き換える「デザイナーベビー」への応用につながりかねないとの懸念がありました。
 ゲノム編集で改変した遺伝子が子孫に伝わる恐れがあり、ドイツ、フランスなどは受精卵のゲノム編集を法律で禁止しました。日本は子宮に戻す医療応用は当面禁止するものの、基礎研究のみ認める指針を国が作成中で、2019年4月にも解禁する見通しです。
 南方科技大学は声明で、賀副教授が2月から休職中であることも明らかにしました。
 生命倫理に詳しい北海道大学の石井哲也教授は報道を受けて、「中国では指針でこのような遺伝子改変は禁止となっているはずで、まだ論文が出ていないので真偽のほどは定かではない。生まれてから健康障害を起こす可能性があり、追跡調査が必要だ」と話しています。

 2018年11月26日(月)

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■体内埋め込み型医療機器の健康被害、調査結果を公表 国際調査報道ジャーナリスト連合 [健康ダイジェスト]

 世界各国の記者で作る団体が、ペースメーカーや人工関節など体内に埋め込む医療機器の不具合などによって引き起こされる健康被害の実態について世界規模で調査を行い、26日から結果の公表を始めました。
 調査を行ったのは、アメリカに本部を置く国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)です。
 ペースメーカーや人工関節、輸液ポンプといった体内埋め込み型医療機器は、さまざまな国で同じ製品が販売されていますが、国によって認可の制度が異なる上、不具合や事故などが起きても、その情報が国境をまたいで十分に共有されているとは言い難いのが現状です。
 このためICIJは、計36カ国、59の報道機関の250人以上の記者と連携して、医療機器の安全性に関する情報を世界規模で集めて分析する調査を行い、日本からもNHK、朝日新聞、共同通信が参加しました。
 約1年をかけた調査では、各国で合わせて1500件以上の情報公開請求を行ったほか、医療機器が原因とみられる死傷事案や、医療機器のリコール(回収・修理)に関する情報800万件余りを集めました。
 これらの情報を分析した結果、不具合などが原因で死亡したと疑われる人が過去10年間に世界で約8万3000人に上ることが判明したとしています。
 ICIJは、26日からホームページに調査の結果をまとめた記事を掲載するとともに、今後、各国で集めた情報を横断的に検索できる独自のデータベースを公開することにしており、世界で流通している医療機器の安全確認に役立ててほしいとしています。
 データベースの利用者は、国や医療機器メーカー、医療機器の名前で検索すれば、リコールや安全上の警告が得られます。
 ICIJの調査では、医療機器メーカーは同じ医療機器を世界中で販売しています。技術の進歩により高額で最新鋭の医療機器が開発され、使用が多く見込まれる65歳以上の人口も、2030年までに世界で10億人に達するとされます。業界の年間売上高は2000年の1180億ドル(約13兆円)から、今年は4000億ドル(約45兆円)に増える見通し。
 一方で、ある国でリコールや販売停止の処置が取られた医療機器が、別の国では売られ続け、不具合などによる健康被害が拡大しています。ICIJは、医療機器メーカーの対応を批判するとともに、各国政府が医師や患者に他国の情報を提供するシステムを欠いていると指摘しています。

 2018年11月26日(月)

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